食道をゆく 第34回 水煮魚

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シュイジューユー
水煮魚
~重慶市~

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水煮魚は、20元程度。皿に食パンを置いて、油を吸い取らせてから食べる店もある

油まみれの豪快な料理
発明者は新婚の女性!?

 油を大量に使用する中華料理。
その代表とも言えるのが、「水煮魚」(魚の油煮)だ。
大きなスープ皿に並々と注がれた油、その中にまるごと浮かんだ魚、
ふんだんに散らされた唐辛子と山椒…と、その見た目は、迫力十分。
何とも豪快なこの料理だが、
発明したのは、意外にも新婚ほやほやの若くてか弱い女性だったという――。

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石灰岩の石柱が林立する万盛石林。今からおよそ4億6000万年前に形成された

 それはちょうど、明代から清代へと王朝が移り変わる頃のことだった。
今の重慶市に、張という姓の金持ち一家がいた。
ある日、その家の娘が、家を出て他所に嫁ぐ日を迎える。
そこで張家では親戚や友人を招待し、宴を開くことになった。
そしてその土地の風習では、宴の料理は新婚の娘が作る決まりになっていたのだ。
 しかし、幼い頃から甘やかされて育った娘は、料理など生まれてこの方一度もしたことがない。
途方に暮れた娘は、とりあえず魚を水で煮込むことに。
柔らかくなるまで火を通すと、現地の特産物であった唐辛子と山椒、香料を加えた。
そしてさらにどういう意図だったかは不明だが、煮立った油を、魚を盛った碗に注ぎ込んだのだ。
 料理が運ばれてくるなり、宴席にいた人々はその食欲をそそる香りに色めき立った。
さらに口当たりも柔らかく味も絶妙だったため、絶賛した人々の口から瞬く間に噂が広まり、
新婚の娘たちはこぞってこの料理を作るようになったという。
 これから迎えるじめじめした梅雨や暑い夏。
そんな季節こそ、武漢・南京と並んで三大釜と呼ばれる猛暑の重慶へ、
ぐつぐつと煮えたぎる本場の水煮魚を食しに行こう。

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【アクセス】
①上海浦東空港から重慶江北国際空港まで、約3時間
②上海南駅から重慶駅または重慶北駅まで、空調快速で約31時間~、硬座242元~

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~上海ジャピオン6月18日号より

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