カンフー特集②

武術とスポーツの融合


卓越した身体能力で華麗な演武を見せるのが競技武術。10代から20代までの若い選手が棍を持ち、刀を持ち、剣を持ち、槍を持つ。優雅さなどの芸術性や難易度などの技術性を競い、見せることを軸にしたスポーツへと姿を変えた中国武術を知るために、上海武術院に話しを聞いた。

競技武術と健康の促進

 「武術院では、中国武術をスポーツとしての側面から管理しています。そこでは大きく分けてふたつの役目があります。ひとつ目は競技としての武術の質を高めること。上海を始め中国各地から選手を選抜したり、選手のトレーニングをしたり、審判員の登録などを行なうことです。ふたつ目は、武術を通じて国民の健康を促すこと。例えば、トレーニング施設や市内各大学へコーチを派遣しています」と説明するのは、上海武術院の陳徳友副院長。この役目を果たすために、国際的な武術大会「姚記杯」を定期的に上海で開催したり、定期的な刊行物を発行したりするなど、中国武術に対する認知を高める活動も行なっている。

△競技武術では、素質のある人でも一人前になるまで5年は必要になる

スポーツ武術の今後

 「中国武術のスポーツ化が急速に始まったのは、1959年の『第1回全国運動会』で武術競技種目と表演種目が設けられてからだと思います」と陳副院長。07年開催予定の北京オリンピックで正式競技種目として中国武術を推す声も高かったが、残念ながらこちらのほうは否決された。

実践、健康、スポーツ

現在の中国武術は、実戦、健康、スポーツの3つの側面から考えると理解しやすい。民間の伝統武術では実戦と健康を軸にすえ、武術院など公的機関ではスポーツと健康を軸にしているからだ。
ただ、実戦における中国武術は、小説や映画、漫画、ゲームなどで誇張され、長い歴史と伝統武術ゆえの閉鎖性から、様々な臆測と誤解がうまれているのも事実。「中国武術は格闘技として通用するのか、中国武術は強いのか?」。真実は分からない。ただ、だからこそ格闘ファンのロマンを掻き立てる魅力が、中国武術に秘められていることだけは確かなのだ。
                                              

100倍楽しむ武術ワード集


【太極拳】
中国武術のひとつ。明代末から清代初頭ごろに誕生したといわれているが、はっきりとしたことは分かっていない。陳式、楊式、呉式、武式、孫式の伝統五派のほか、制定太極拳などがある。

【伝統拳】
武術として継承されてきた伝統的な太極拳(太極拳以外の中国武術でもこのように呼ばれることもある)のこと。一般的に簡化二十四式太極拳などの制定太極拳に対してこのように呼ばれることが多い。

【簡化二十四式太極拳】
難易度の高い太極拳を普及させるために、1956年に発表された。楊式太極拳の動作をベースに構成されている。日本で普及している太極拳の多くは、この簡化二十四式太極拳。

【武侠小説】
武術に長じ、義理を重んじる人々を主人公とした中国の大衆小説の一種。格闘だけでなく、作品ごとに恋愛やコメディ、ミステリーなど様々な要素が盛り込まれているのも特徴のひとつ。

【金庸(1924~)】
中国を代表する武侠小説家。1955年から72年の断筆までに15作の武侠小説を書いた。作中に、史実の人物を登場させるなど、その作品は虚実入り混じった壮大な世界観を持つ。梁羽生、古龍と供に武侠小説の三大家に数えられる。中国・香港の『明報』とシンガポールの『新明日報』の創刊者でもある。

【北斗の拳】
原作・武論尊、作画・原哲夫。1983年から1988年まで『週刊少年ジャンプ』に連載され絶大な人気を誇った少年漫画。19××年の最終戦争後の地球を舞台に、伝説の暗殺拳である北斗神拳の伝承者、ケンシロウの生き様を描いている。「ひでぶ」、「あべし」、「お前はもう死んでいる」など、数多くの名セリフも残した。

【少林寺】
各地にある仏教寺院。河南省嵩山にある少林寺は、武術の修行場所として世界的に知られている。

~上海ジャピオン2月2日発行号より

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