あの行列店は今!?

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ふわふわの中華スイーツ

最初にやって来たのは、今年2月に出店後、連日7時間待ちの行列で話題となったケーキ屋「鮑師傅」。今回は「人民広場」駅近くにある本店ではなく、2・11号線「江蘇路」駅から徒歩3分にある支店に突撃した。時刻は土曜日の13時、さぞかし混んでいるだろう…と覚悟を決めて向かうが、たったの6人待ち。少し拍子抜けしつつ、列に加わる。

ワクワクしながら待つこと20分。ようやくレジに辿り着き、人気だという「牛肉風味鶏肉絲小貝」(20元)と「海苔肉松小貝」(29元/各500㌘)をオーダーした。店員がケースから商品を取り、秤で重さを量って、料金を伝えてくれる。そして手渡されたのは…モコモコした餅?のようなケーキ、まるでオレンジ色のマリモのようだ。一口かじると肉松(肉でんぶ)の香りがフワッと広がり、中のクリームはやさしい甘さ。ケーキというよりは惣菜パンのような感じだ。

 ダフ屋や偽の店舗が出現

「鮑師傅」は現在、本店のほかに江蘇路店と徐家匯店の2店舗を展開している。その人気ゆえ、商品を転売するダフ屋が横行し、対策に苦労しているんだとか。また偽の店舗が出現しており、口コミサイト「大衆点評」で店名を検索すると40件以上がヒットする。とは言え、以前のような白熱ぶりは見られず、若い世代が多かったという客層も、今では子ども連れや30代以上が大半を占めているそう。もしかするとブームが一段落したこれからは、シニア世代にも浸透していくのかもしれない。

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住所  江蘇路398号舜元企業発展大厦1楼

TEL  なし

営業時間  9時半~21時半

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購入は1人2杯まで

次に向かったのはドリンクスタンド「喜茶」。今年2月、先の「鮑師傅」本店の真向かいで、同じく7時間超の大行列を作った人気店だ。

あれから半年…すでに市内に5店舗をオープンしていることもあり、いくら人気とは言え30分も待てば買えるだろう、と思ったが甘かった。開店したばかりの興業太古匯店に向かうと、店舗が見えない場所にまで列が伸びている…人数はざっと60人ほど。購入数は1人2杯までだ。

行列は店員と警備員がしっかり管理しているので、横入りの心配なし。店員が事前に注文を取ったり、マイクで人員誘導したりする手際のよさは、人気店ならではだ。同店は以前、転売を防ぐため、客に身分証の提示を求めてクレームを受けた苦い過去を持つ。そんな失敗を経て、今の管理システムがあるのだろう。ん?でもまだ身分証を見せている客がいる…。聞けば、誕生日当日は待ち時間なしでオーダーできると言う。

 女性に人気のドリンク

やっとのことで注文し、受け取り番号をもらったらなんと70人待ち。結局注文までに50分、受け取りまでに40分を費やした。店の看板メニューである「金鳳茶王」(23元/杯)は、抹茶をまぶしたチーズクリームとサッパリした紅茶が相性バツグン。フタをスライドさせることで飲み口の広さを調整でき、広くするほど濃厚なクリームを味わえる。

客の8割以上が女性で、待ち時間もスマホを片手に自撮りやチャットに大忙し。流行に敏感な女子の圧倒的支持を得ているようだ。

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住所  南京西路789号興業太古匯L377

TEL  5230-0520

営業時間  10時~22時

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葱油餅を作り続けて34年

昨年英国放送協会(BBC)が取材に訪れ、絶賛したことでさらなる人気に拍車が掛かった「阿大葱油餅」。〝阿大〟と呼ばれる店主のおじさんが1人で34年間、ネギ入りの薄焼きパン「葱油餅」(6元/枚)を作り続けている。一時は7時間待ちという混雑ぶりだったが、営業許可証を所持していなかったことから、昨年9月に閉店。その後場所を瑞金二路に移し、再オープンに漕ぎ着けた。

平日の昼下がりに訪れてみると、約10人の列。炎天下の中汗を拭き拭き順番を待つ。

看板を見れば〝注文は1人5枚、14時以降は1人2枚まで〟、〝1~4時間くらい待つので焦らない〟、〝もし急な用事で列を抜ける場合は、前後の人に声を掛け、20分以内に戻ってくること〟と独自のルールがズラリ。ある。客同士の助け合いが必要なようだ。

一度に焼き上げる数が10個と少量なので、列はなかなか進まない。その間に待っている客同士が仲良くなり、あちこちで上海語が飛び交う。時折店主に「今日も忙しいかい?」なんて声を掛けていく人がおり、地元に根付いた店だということが伝わってくる。

 上海人に愛される店

ついに手に入れたアツアツの葱油餅は、かじるとサクッ、ネギがたっぷりの中はふんわりしていて、塩がよく利いている。〝網紅店〟の1つと言われているものの、客層を見れば一時の流行りでできた行列ではないことがよくわかる。1つひとつ店主の手作りである素朴な味は、これからも上海人に末永く愛されていくことだろう。

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住所  瑞金二路120-1号

TEL  なし

営業時間  6~15時(水曜休み)

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~上海ジャピオン2017年7月21日発行号

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