ミクシィ中国事業担当が語る
中国のSNS事情
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「『mixi』が、世界のコミュニケーションのプラットフォームとなるのが夢」と語るのは、
日本で最大級のシェアを持つソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「mixi(ミクシィ)」
を運営する株式会社ミクシィの中国事業担当斉藤氏。
斉藤氏は、今後中国はますますインターネット利用が一般的になり、
ビジネス的に大きな可能性があると睨んでいる。
そんな、中国のSNS事情に詳しい斉藤氏に中国の現状を聞いた。
急成長する中国市場
友人が友人を誘い会員増
現在中国には、大小合わせて数百個のSNSサイトが存在する。
中でも人気を集めているのは、昨年農耕ゲームで急成長を遂げた「開心網(カイシンワン)」や、
米国の学生向け人気サイト「Facebook(フェイスブック)」のような
「人人網(レンレンワン、旧名を校内網)」など。
上海在住の日本人の中にも、中国人の友人や同僚で、隠れ利用者がいるはずだ。
どのSNSサイトにも、「mixi」同様、日記や写真のアップロード機能、
他の利用者と相互に友人関係の登録を行なう「マイミク」ならぬ「好友」機能、
同じテーマに共感を持つ利用者同士がコミュニケーションできるコミュニティ機能などがある。
しかし利用者の多くは、サイト内のゲームをメインで利用しているとか。
このゲームは、SNSの利用者コミュニケーションを活性化させるために作られたもので、
主にSNS上で友人と絡みながら楽しむもの。
ゲームの中には、「好友」同士の間でしか遊べないものも多く、
友人に進められて会員登録をした人も多いという。
日中利用者の相違点
溢れかえるSNS中毒者
「『mixi』の場合、日本では日記機能が最も利用されていますが、
中国では、ニュースの記事を引用し、自分の意見を述べるなどの利用法が一般的。
また、感情をストレートかつ簡単に表現できる『チャット』や、
『ツイッター』のようなつぶやき系のコンテンツを好んで利用する傾向がありますね」と斎藤氏は分析する。
また、利用者の多くは20代の若者で、彼らが利用する1番の目的は「暇つぶし」。
利用者のほとんどが複数のSNSを利用していて、1人あたり2~3個の登録は当たり前だという。
学生の中には、1日中サイトをつなぎっぱなしの人も多く、
社会人の中にも勤務時間前や昼休みに利用している人も少なくない。
その上、上司の目を盗んで、勤務中でもゲームに没頭するヘビー利用者も見られるとか!?
それほどハマっているSNSとは一体どんなものなのか。
次のページから中国で人気のSNSサイトを紹介する。
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OLを中心に人気沸騰
「友人たちと、ゲームの中で育てた野菜や動物を奪い合うのが快感!」と語る李さんがハマっているのは、
OLを中心に人気を集めている「開心網」。
同サイトは開設以来、広告を一切打たず、口コミと友達からの紹介のみで急成長を遂げた。
基本機能や内容はミクシィとほぼ同じだが、実名登録が必要で、
日本のSNSサイトよりもソーシャルゲームが充実しているという特徴がある。
友人同士をつなぐゲーム
「留学中に、中国にいる友達と連絡が取れる便利なサイトがあると友人に勧められ、
始めたのがきっかけ」という李さん。
お気に入りのゲームは、今流行中の農耕ゲーム「開心農場」。
「頑張って育てた野菜を、友人に盗まれるのは腹が立つけど、友人だから結局は許せる」と笑いながら話す。
このほか、自分の友達を奴隷として売り買いすることができる『友達売買』ゲーム」にも没頭中だとか。
開心農場しかり友達売買しかり、同サイトのゲームは、
友人関係が成立している者同士でしか遊ぶことができないものも多い。
日々の情報は開心網で
また李さんは、「ニュースは開心網しか見ない」という。
話題のニュースも友人が関心あるニュースも、まとめてチェックできるから便利なのだとか。
そしてもう1つの情報源は、同じ趣味の人が集まる「コミュニティ」だ。
「私は『独身コミュニティ』に入ってるの。
メンバーの中には、彼氏募集というテーマで詳細に自己紹介をしている人や、相性占い情報もあるよ」
と、私生活に密着してフル活用しているようだ。
今や、李さんの友人のほとんどが利用しているという「開心網」。
「開心網」の「快進撃」はまだまだ続きそうだ。
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中国最大級の学生サイト
「これは実名登録に加えて、卒業した高校・大学の登録まで必須だから、旧友が簡単に探せるんだ」
という張さんは、「人人網」の一愛用者。
同サイトは、中国の学生同士が交流するために作られたもので、登録する利用者の大部分が大学生。
利用者は、写真や日記で生活情報を共有したり、映画や音楽などの趣味を分かち合ったりしている。
そのためサイト内には、
過去のクラスメイトや友人を見つけやすくする仕掛けがあちこちにちりばめられているのだ。
優れた検索機能での再会
「僕は大学3年の時に友人に勧められて使い始めたんだけど、
卒業した高校の卒業生一覧を見ていたら偶然、元彼女を発見!
それがきっかけで連絡を取り合うようになり、今は良い友達」と満足げな張さん。
同サイトは登録情報を基に、「あなたの知り合いかもしれないリスト」を自動抽出し、
提案してくれるのが特徴だ。
利用者のほとんどが、自分のサイト上に顔写真を掲載しているので、みんなの成長した姿も楽しめていいとか。
サイト内機能で日々充実
張さんイチオシのゲームは、「開心農場」にそっくりの「陽光牧場」。
約2000万人が登録し、1日約150万人が利用している。
張さんも1日最低1、2時間は遊んでいるとか。
また、グリーティングカードのようなプレゼント(礼物)機能もよく利用しているという。
クリスマスや友人の誕生日にメッセージを添えて送るのがマイブームらしい。
昨年から学生以外でも登録できるようになった「人人網」。
今後の広がりに期待したい。
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QQの強さは圧倒的!
「今、推定3億人が使ってる『QQ・com』を、
私は開設当初から使ったいたのよ」と自慢げに話す陳さん。
同サイトは、MSNメッセンジャーのような機能を持つ、
チャットソフト「QQ」の生みの親、「騰諮公司(テンセント)」が運営するもの。
基本機能は「開心網」や「人人網」とほぼ同じだが、実名登録は不要。
また、コミュニティやゲームは同サイト内ではなく「QQ」内にあるため、
利用者は基本的に、「QQ」と併用している。
活用法は自分らしく
「5年前に友人が『Qzone』にアップロードした家族写真を
見せてくれたのが使い始めたきっかけ」という陳さん。
「最近は日記代わりに写真をアップロードしてるんだけど、
マル秘画像は、非公開設定にして自分だけで楽しんでる」という。
マイブームは、マイページのレイアウト変更や音楽機能追加などのカスタマイズ。
最近は、有料の壁紙を購入したりとお金もかけて、見栄えに気を使っているようだ。
QQでつながる好友たち
実は「QQ」の無料オンラインゲームが大好きだという陳さん。
暇さえあれば、麻雀など4人1組の席にエントリーして勝負しているという。
「『好友』の中には、対戦中のチャット会話で仲良くなった人もいるの」とにっこり。
また外地出身の陳さんは、「中学生時代のクラスのコミュニティ」に参加していて、
地元の友人の近況は同コミュニティで把握しているとか。
現在、中国のネット利用者人口は3億5000万人といわれている。
もはやQQを知らない中国人はいないと言っていいだろう。
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~上海ジャピオン2月26日号より