サイドカーで街を駆けろ!

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映画、特撮の世界を体感
予約びっしりの人気ぶり

 サイドカーと言えば、何を連想するだろうか。
ある人はスティーブ・マックイーンの『大脱走』、またある人は『人造人間キカイダー』や、
『秘密戦隊ゴレンジャー』などを思い浮かべるかもしれない。
日本では、そんなアクション映画や特撮テレビ番組の世界でしかなかなかお目に掛かれないサイドカーを、
何とここ上海では気楽に体感できるのだ。
 そのサイドカーの楽しみをイチ早く謳歌しているのは、欧米人たち。
彼らに「上海でサイドカーと言えば?」と尋ねれば、口を揃えてこう言うだろう。
「ああ! トーマスのサイドカーね」――。
何を隠そう、この「トーマス」こそが、
その楽しみを生み出す上海のサイドカー観光を運営する
「上海サイドウェイズ(Shanghai Sideways)」の代表なのだ。
 トーマスはフランス人で、親の仕事の関係から中国へとやって来た。
最初は姉と北京で暮らしていたが、数年後に来海し、
2008年10月に、友人と2人でこの「上海サイドウェイズ」を設立。
今月で2周年を迎えた。
 最初は2人だけだったが、趣味のサイドカーサークルなどを通してメンバーを増やし、
現在は60人のライダーたちが加入している。
つまり事前に予約しておけば、サイドカーだけで60人、
後部席も合わせれば最大120人のツアーも催行可能なのだ。
現在は万博シーズンということもあり、10月は毎日びっしりと予約が埋まるほどの人気を博している。

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内側から覗く上海の顔
機種はWWⅡのレプリカ

 「サイドカー観光は最高だよ! オールド上海の情緒あふれる、
車が入れないような細道にだって、スイスイ入っていけるからね。
みんなにも上海という街を内側から見てほしいと思って、サイドカーツアーを始めたんだ」
と、トーマスは語る。
 そんな彼が運転するのは、第2次世界大戦の際に、
ドイツ軍が使っていたというBMWの750ccのバイク+サイドカーのレプリカ「長江」。
もちろん、上海で購入したものだ。
これに乗って、雲南省やチベットにまでサイドカーツアーを敢行したこともあるという。
 「ツアーは基本1、2、4時間の3コースだけど、もちろんお客さんの要望があれば、
中国各地へのツアーをアレンジできるよ。何ならパリまででもOKさ!」
と息巻く、何とも頼もしいトーマス。
しかしさすがに長距離ツアーを申し込む人はほとんどいないらしく、
一番人気は浦東と浦西の両方を回れる4時間コースだとか。
 聞けば聞くほど魅力あふれるサイドカーツアー。
次ページからは、日本から上海へ遊びに来た4人が、
2時間コースを体験する様子をリポートしていこう。

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憧れのサイドカー観光
秋は絶好の実行日和

 今回、サイドカー体験をしたのは、
東京から来た伊吹広子さん・恒子さん親娘と、広子さんのお友達の岡原さんと入江さん。
仕事で東京と上海を行き来している伊吹さんは、
以前上海でサイドカーを見かけ、「面白そう!」と思っていたそう。
しかし、夏は暑さが厳しく、冬は寒さに凍える上海。
来海の時期と季節が合わず、躊躇していた。
 そこで今回は短い秋に上海を訪れる貴重な機会ということで、
乗り物好きの母・恒子さんとお友達を連れて、いざサイドカー観光に踏み切ったのだ。

三者三様のサイドカー
乗り込んだら、いざ出発!

 当日はあいにく朝から小雨。
しかしこの日を逃したら予約でいっぱいで、もう後がない。
そこで4人は日本から持参した合羽を着こみ、雨天決行することに。
 待ち合わせ場所は、宿泊先のホテル近くの、陝西南路と復興中路の交差点。
旧フランス租界の中心だ。もちろん、出発始点は自由に指定することができる。
朝10時の待ち合わせ時間が近づくと、1台また1台と、サイドカーが続々登場!(写真①②③)
色とりどりのサイドカーに、早くも興奮を隠せず、写真を撮りまくる4人だった。
 言語は英語オンリーかと思いきや、何とトーマスは中国語も堪能。
さらに一緒に来たドライバーのケンジさんは、日本とフランスのハーフで、もちろん日本語ペラペラ。
日本人ということで、数少ない日本語OKのドライバーを手配してくれたのだ。
 それぞれ好きなサイドカーを選んで乗り込む。
すると、トーマスのサイドカーの座席後ろにある荷物入れのふたの裏に、
エルビス・プレスリーの絵を発見!(写真④) 
何とも粋なデザインだ。
エルビスの歌を口ずさみつつ(?)、いざ出発!(写真⑤)

上海人も知らない!?
穴場スポットに潜入

 まず到着したのは、永嘉路の路地の奥にひっそりと佇む
「James Cohan Gallery(ジェイムス・コハンギャラリー)」(写真⑥)。
個人のヴィラだった老房子を改装したアートギャラリーだ。
木々に溢れた広い庭園も、そのまま残されている。
アールデコ様式の建物は、中もステンドグラスの窓や螺旋階段と、情緒たっぷり(写真⑦)。
 詳しく解説を進めるトーマスに、「どうやってガイドの勉強をしたの?」と聞くと、
「上海の歴史を研究してるフランス人の友達に教えてもらったんだ」とのこと。
道理でこんな穴場スポットにも詳しいわけだ。

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狭い路地をぐんぐん進む
初めて見る景色に感動

 お次は、静安寺近くの、租界時代から残っているアパートへ。
中へお邪魔し、今もなお暮らす人々の生活を垣間見る。
そこへ向かう時にも、ただ車道を走るだけでなく、
隙あらば細い路地へと入り込み、目を楽しませてくれる(写真⑧)。
南京路では目新しくはないはずの上海美術館も、
サイドカーの高さから眺めれば、新たな表情を映し出す。
 賑やかな南京路を抜け、「次はどこ?」と尋ねると(写真⑨)、
これまた上海情緒あふれる蘇州河が見えてきた。
そう、目的地は、租界時代に建てられたクラシックな郵便局の中にある「上海郵政博物館」だ(写真⑩)。
 これまたクラシックな階段を上り(写真⑪)中に入ると、
広い中庭には、昔使われていた郵政列車のレプリカなども並ぶ。
あいにくこの日は雨のため閉まっていたが、天気の良い日には屋上からの眺めも最高だそうだ。
 と、気づけば残り時間はあとわずか。
というわけで、立ち寄るスポットはここが最後となる。
あとはひたすらサイドカーを乗り回すのみだ(写真⑫)。

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外灘沿いの景色を堪能
粋な写真撮影テクも

 タイミングの良いことに、郵便局を出たら小雨がすっかり止んでいた。
上海観光の名所である東方明珠塔も、サイドカーからロックオン!(写真⑬)。
運よく交通量も少なめだったため、岡原さんを乗せたケンジさんもぐいぐい飛ばす(写真⑭⑮)。
 さらに信号待ちの時間に、トーマスが広子さんのカメラを奪い取り、
突然パッとサイドカーを降りて、前方へ駈け出した。
何をするかと思えば、横一列に並んだ4人を正面からパチリ(表紙中央の写真)。
どこまでも観光客を喜ばすポイントを心得ているのだ。

復興路を駆け抜ける!
次回は長距離ツアーを

 最後は予定の時間が迫ってることもあって、
長~い復興路をハイスピードで一直線に駆け抜ける!(写真⑯)
楽しい時間が過ぎるのは早いもので、あっという間に出発地点の交差点へと帰ってきてしまった。
 最後にみんなで記念写真を撮り、
それぞれ仲良くなったドライバーたちと名残を惜しみつつも、ツアーは終了(写真⑰)。
「絶対また遊びに来るからね~!」と約束を交わし、次の客を迎えに行くトーマスたちを見送った。
 今回の2時間コースでは浦西側しか回れなかったが、
一番人気の4時間コースでは、浦西から南浦大橋を渡って浦東へ移動することも可能。
さらには夜景を眺める夜のコースや、七浦路や南外灘の布市場を巡るショッピングコースなどもあるという。
 今回は初めてだったため短めのコースを選んだが、すっかりサイドカーの魅力にはまった伊吹さんたち。
「次回は郊外とか少し遠くにも行きたい!」と、早くも次の予定を立てるのだった。

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~上海ジャピオン10月29日号より

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