まだ間に合う! 滑り込み 上海ビエンナーレ

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2年に1度、芸術の祭典

約3カ月もの間、世界の現代アートを楽しむことができるビッグイベント。今回は1996年の初開催から数えて10回目、8回目までは黄浦区南京西路の「上海美術館」で行われた。

ところが2012年に閉館が決まり、常設展示品は浦東新区の「中華芸術宮」へ移動。ビエンナーレのメイン会場は「上海当代芸術博物館」に置かれた。

さて、日本でもよく耳にするようになった「ビエンナーレ」という言葉、実はイタリア語で「2年に1度」を意味するもの。今では世界各国で、映画や音楽、アート関連のイベントが隔年で開催される場合、この言葉が名称に付く。

毎年、つまり1年に1度開催されるものは「アニュアル(annual)」、3年に1度なら「トリエンナーレ(triennale)」、4年に1度が「クアドリエンナーレ(quadriennale)」、5年に1度は「ドクメンタ(documenta)」となる。なお、ドクメンタのみドイツ語が語源。

そのほか、1年に2度のものを「バイアニュアル(biannual)」ということもある。

発電所からアート施設へ

メイン会場の「上海当代芸術館」は1897年、清代に発電所として建設され、2005年まで運転していた。そして10年、上海万博開催時にはパビリオン「都市未来館」に転身。

12年になって仏ポンピドゥー・センター展をオープニングに、アートスポットとして幕を開けた。5階建ての元発電所は天井も高く、あらゆるアート作品の展示に適していると言える。

上海ビエンナーレ、今年のテーマは「社会工廠」。さあ、次ページからは早速、今回の展示作品を見ていこう!

 

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社会的作品がひしめく

今回のメイン・キュレーターを務めるのはドイツ人のアンゼルム・フランケ氏。彼はベルリンの「世界文化の家(House Of World Cultures)」のディレクターで、2010年からウィーンやニューヨーク、ソウル、ベイルートなどで数々の展示を手がけてきたベテランだ。

前置きが長くなったが、そろそろ入場しよう。昨年はウェブからの事前予約が必要だったが、今年は当日のチケット購入でOK。チケットは20元、昨今大都市のアート・スポットの入場料と比較すると、格段に安い。

様々な人にアートを楽しんでほしい、との思いが感じられる。

1階の吹き抜けになったホールには、ピアノがぽつんと1台。自動で音を出す仕組みで、不協和音を響かせている。壁に掛けられた4色の、国旗を髣髴とさせる巨大な布。

中央の紋章は「ロックフェラー陣営」の活動を象徴するもの。例えばブルーは〝人道的〟、〝理性的〟、〝責任〟を意味する。いきなり社会的なメッセージにあふれる作品に出迎えられた。

そばにある大きなタンクに入った水と、あらゆるメーカーの〝塩〟。これも環境破壊を示唆している気がしてならない。続いて足が止まったのは、工場労働者を写したシリーズ。

周囲を見渡すと絵画、映像、すべてが社会風刺に満ちた作品たち。今回のテーマ「社会工廠」がここで思い出され、入場料の価格にも頷ける。

2階はインスタレーション

2階へ上がると、白い壁に無数の電話機。受話器を取ると、1980~90年代の中国歌謡曲か、社会に存在する〝もの〟について話す声が聞こえる。

片っ端から聞いて回ると、かなりヘトヘトになるので休息を取ろう。何しろ、会場が広すぎるのだ。

2階は空間展示が多い。部屋ごと作品化しているので、のんびり眺めるのがオススメだ。

 

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映画と難解な作品群

今回のビエンナーレ、各階奥にあるシアターでは1日に3本の映像作品を上映している(長編のみ、短編はフロアにて展示)。

3階では、日本のインディペンデント映像作家・酒井耕と濱口竜介による共同作品「なみのこえ」と「うたうひと」を上映。

両作は東北記録映画・3部作の第2・3部で、前者は宮城と福島の被災者20人の対話を、後者は東北の民話語りを記録したものだ。上映時刻は13時~、15時~。

このフロアもまた、大型空間展示が多い。その中で「個展(SOLO SHOW)」と題された5点の作品群の傍らには、大勢の名前が書かれている。…不可解さは否めないが、現代アートとは往々にしてこういうことがある。

とくにこのフロアには、説明を読んでも製作者の意図が飲み込めないものが多数あった。

 

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市中心のサブ会場

上海ビエンナーレはメイン会場のほかに、市中心部のショッピングモール内にも「シティ・パビリオン」と銘打って、展示を行っている。

「シティ・パビリオン」は全4カ所のうち3つ、新天地とK11、上海民生現代美術館がすでに展示期間を終了。残る1つが静安寺のケリー・センターだ。

展示は南棟の地下1階。ショッピングモール内なのでこぢんまりとはしているが、それでも迫力のある空間が作られている。

中国の観光地の古い絵ハガキが置かれた机は、それこそ〝老上海〟のムードあるアンティーク風。その横には白いページを開いたノートブックが壁一面に貼られ、文字を投写している。

最後のスペースは「オープン・ユア・キッチン」。キッチン用品に見送られ、今年はおしまい。また2年後を期待して待とう。

 

~上海ジャピオン2015年3月20日発行号

 

 

 

 

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