自転車で街を駆ける!

秋風吹き抜ける上海の街。
今週は、秋のサイクリングにぴったりな市内厳選3コースを紹介。
自転車に乗ってまだ見ぬ上海の新しい顔を見つけに繰り出そう。


フランス租界で異国を体感


 数十年前の欧州建築がかしこに残り、プラタナスの落ち葉が降り積もる仏租界エリア。街のあちこちに登場している新しいお店へのアクセスも、自転車なら容易だ。プラタナスの茂る閑静な余慶路から、秋風に乗って自転車の旅に出よう。
 余慶路と広元路の交差点から、北へこぎ始める。通りを覆うプラタナスのトンネルは、租界時代の息吹を今なお発する。淮海中路に突き当たると、目の前に「武康大楼」が現れた。1924年に作られたこの建物は、武康路の守門の如くどっしりと構えている。淮海中路を渡り武康路を北東に進むと、左手にカフェや雑貨店の集まる「武康376」。人の目を避けるかのようにひっそりした入り口は、都会の隠れ家のようだ。中のカフェやレストランは欧米人の利用者が多く、気分は租界時代のサロンに迷いし異邦人。
 武康路をさらに北へ進む。歴史を刻む通りには、ベビーカーを押して散歩する西洋人女性も多い。華山路を通り、復興西路から東に向かうところでは、車通りも多いがミニクーパーなどはオールド上海の雰囲気と良く似合う。このまま汾陽路に突き当たり、南西へ。瀟洒なカフェで一休みしよう。
 再び自転車に跨り今度は西へ進む。岳陽路から建国西路に抜け西に。高い壁の向こうから、洋館が所々に顔を覗かせる。在りし日のフランス租界に誘うコースは、日曜の昼下がりに訪れたい。




かつての城壁を一周

 豫園一帯を楕円形に取り囲む「中華路」と「人民路」。合わせて「中華人民路」となるこの道は、かつて上海県を取り囲む城壁と堀のあった名残だ。その昔城壁の内側は、中国人しか立ち入ることのできない中国人居住区だった。このコースでは、大都市上海の下町を駆ける。
 スタート地点は、かつて城壁内部に入る門のひとつがあった老西門。復興東路を東に進み、中華路に突き当たったら右回りで走り始め、右手に延びる細く狭い路地を次々と越えていく。1881年開業の老舗小吃店。道いっぱいに商品を広げる露天商。ここを越えた頃、間もなく右手に紅い楼閣のようなものが迫る。かつての城壁の一部を保存している「大境閣」だ。
 さらに北上すると、豫園商圏エリアに差し掛かる。この辺りは工事が多く埃っぽい。人民路のカーブを遠心力にならってこぎ進めると視界が開け、公園が現れた。「古城公園」だ。かつての城壁とお堀を模した造りで、堀には魚が泳ぎ、園内には花が咲き乱れ気持ちがいい。ここからは浦東の金茂タワーや東方明珠も臨める。園内のレストランで一息ついていこう。
 再び自転車に跨り、今度は南に向かって走る。かつての城壁内部に当たる右手には、昔ながらの「弄堂」が軒を連ねるが、左側にはマンション群が立ち並び、すぐそこに再開発の波が押し寄せていた。凝縮された上海の今を、このコースでは体感できる。




浦東遊歩道と大建築

 浦東にも、自転車で街を駆ける魅力は多く備わっている。片側2~3車線はある広い道路に、整備された自転車専用道、そして現代建築だ。浦東コースは、川沿いの自然豊かな遊歩道と科技館エリアの建築群を走る。
 スタートは塘橋公園の東、川沿いの遊歩道から。川沿いに整備された道は、長さ約800㍍。人通りは少なく起伏もほとんどないため、走りやすい。ペダルに足をかけ、茶色の遊歩道を走る。視線のずっと先まで、両脇に緑が続く。柳の木が秋風になびき、真っ赤な彼岸花が揺れていた。途中にはベンチスペースもあり、川に降りる階段もある。
 遊歩道は楊高南路で一旦終わり北へ方向転換。北上したその先に見えてくるのは、現代建築群の集まる科技館エリアだ。数分も風を切ると、約4万平方㍍の敷地に胡蝶蘭をイメージした現代的かつ優雅な建物が現れる。東方芸術中心だ。その建物手前を東に曲がると世紀公園、さらに手前を南に向かうと、ガラス張りの球体を持つ科技館が待ち受ける。浦東建築の大きさを味わえる瞬間だ。ここまでゆっくり走って約30分。休憩をとるなら、同エリアが便利だ。
 科技館に沿って走ると、再び川沿いに出る。エリアの対岸には、間もなく完成予定のショッピングモールがオープンを待ちわびている。川沿いを東へ走り、錦綉路に突き当たったら、南へ。花木路を西へ走ると、日本人学校が見える。浦東の広大さを味わえる1コースとなるだろう。


楽しい自転車の旅も、安全運転あってのもの!
上海の自転車交通ルール、気をつけるべき点などを踏まえておこう。


乗車中はここに注意!
 上海における自転車の通行は基本的に車道の右側通行となる。交差点では特に、右折車との接触に気をつけるだけでなく、同じく原付バイクや自転車にも十分な注意が必要だ。
 また、自転車一方通行の道というのも意外と多い。特に車が一方通行となっている道では、自転車はその逆方向に一方通行であることが多い。例えば陝西南路の場合、車は南下のみの一方通行で、自転車は北上のみ。瑞金路の場合も同様に自動車は北上のみ、自転車は南下のみとなっている。ただ、迂回できる道も多いので、大きな問題にはならない。また、降りて引いて歩く場合は一方通行でも通行可能だ。一方通行の道の入り口には、自転車一方通行の標識があるので確認しよう。また、道路上の黄色の線は跨ぎ禁止、白線は跨ぎOKの印だ。ルールに違反した場合、警察や道路交通員に見つかれば、罰金となる。
 さらに、淮海中路など大型商業道路は、安全面や景観の問題から自転車通行禁止となっている。ここも乗っていると注意を受けるので、気をつけよう。


上海生活と自転車

 9月より本格始動する「折り畳み自転車の会」の代表・鈴木さんは、上海で折り畳み自転車に乗って5年になるベテランだ。
 上海で自転車に乗る魅力は、日本に比べて走りやすい点が挙げられるという。上海の街は、安全にさえ気をつければ自転車利用者にとって非常に便利なつくり。道はどこに行っても基本的に平坦で、坂も非常に少ない。さらに、街の再整備にあたって自転車専用道路も各地に整備されており、また駐輪場もどこにでもある。
 また街路樹も多く植えられており、特に初夏~秋にかけてはプラタナスのトンネルもあちこちに見られ、自転車で駆け抜けると非常に気持ちいいとのこと。
 ただ、やはり安全には気を使う。交差点で気をつけるのはもちろん鈴木さんが特に注意するのは、夜間。上海の街は暗いところは少ないものの、法律で点灯が義務付けられていないため無灯火の自転車が多い。無灯火の自転車や原付、自動車に、自分の存在をアピールするよう気を使う。安全に留意して自転車を楽しもう!

自転車の購入と修理

 自転車の購入は、アフターサービスの充実している専門店を利用するのがベストだ。
 上海では、台湾系の自転車ブランド「GIANT(捷安特)」、アメリカ系「DAHON(美国大行)」、フランス系大型スポーツ店「DECATHLON(迪??)」の自転車が主流。街用自転車で約700元から、折りたたみ自転車なら1000元前後から揃う。カゴや鍵などのグッズも、一緒に購入しておこう。大型ショッピングセンターでも150元前後の安価なものから各種取り揃えているが、アフターサービスが不十分であることも多い。
 また、自転車購入時には日本と同じく登録が必要。自転車のナンバープレートと、自分の自転車であることを証明する「上海自行車行駛証」と、自転車の納税証明書の取得だ。購入店で申請できることが多く、ナンバープレートと「上海自行車行駛証」は合わせて約10元、納税額は年間8元となっている。
 では、購入後自転車に乗っていて問題が起きたときはどうするか。そんなときに便利なのが、「修車」の看板を掲げた路上修理店。街のあちこちにあり、価格も日本に比べ非常にリーズナブル。空気いれなら両輪で5角~1元、パンクなら約3元で対応してくれる。パンクの中国語は「暴胎bao4tai2」、空気がないときは「没気(mei3qi4)」。また、空気入れは、日本の場合機材を借りて自分ですることが多いが、こちらではやってもらうのがオススメ。

~ジャピオン9月12日発行号より

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