開発が進みましたと 客人を歓迎する文句
中国の童謡の中でも広く親しまれているこの『小燕子』は1957年、映画の挿入歌として使われ、その耳当たりの良いメロディから、今日まで歌い継がれてきた。
興味深いのは、後半の「大きな工場を作って新しい機械を運び込んだから」とツバメへの誘い文句。なぜ工場ができるとツバメは喜ぶのか…その答えは、この歌が作られた時代の背景と大きく関係する。ツバメは新しくやってくる人々を比喩したもので、〝開発を進めるこの土地へ、どうぞみなさん来てください〟との意が込められている。また中国での挨拶文句などでよく尋ねられる「你為啥来中国?」の問いには、ぜひ「因為這里的春天最美麗♪」と言ってみよう。
農村の女の子の日常 労働を分かち合う喜び
作曲者の谷建芬は、日本の大阪府生まれの中国人。1998年に制作した『那就是我』は、中国で優れた音楽作品に与えられる「晨鐘奨」を受賞した。
ストーリー仕立ての歌詞に軽快なメロディが加わり、子どものお遊戯の曲にもよく使われる。後半に出てくる「噻籮籮哩(サイ・ルオ・ルオ・リ)」の掛け声は、そのノリの良いテンポから、つい口ずさんでしまう、魔法のフレーズ。中国人の知り合いとカラオケに行った時に合いの手として使ってみるのもいいかも。
ちなみに歌詞は、「女の子がキノコ狩りに行き、獲ったキノコを売って、釜とキャンディを手に入れる。そして新たな仲間を連れ、再びキノコ狩りに出かける」と続く。
世界中の幸せを祈って ポカポカのお日様を
作詞者の李氷雪は1975年生まれ。遼寧省鉄嶺市出身で、7歳の頃から自身で作った詩を発表し始め、10歳の時に作ったのが同作という。これに作曲家の王赴戎と徐沛東がメロディを付けると、瞬く間に全国へ広まった。また95年当時、最年少で同省の作家協会の会員に入る。彼女の作品は、『当代少年詩人詩選』や『中国小詩人詩選』など、数多くの教科書に収められている。
2番では「寒くて暗い世界を、太陽で明るく照らそう」と歌っている。子どもらしい素直で創造性溢れる詩が、心にジーンと響く。サビの「啦啦啦種太陽♪」はアップテンポで覚えやすいので、中国語の歌は…と躊躇している人は、ココから挑戦してみては?
周りに左右されずに 自分の信念を貫け!
中国台湾の若手シンガー、銀霞が77年、この曲を含むアルバム『秋詩篇篇』をリリース、また同名映画のサウンドトラックに起用され、爆発的な人気を呼んだ。
ストーリーは、ブドウの実が熟す前からそれを目指してのっそりと幹を這うカタツムリを、ウグイスがあざ笑うというもの。これに対し「僕がてっぺんに辿り着く頃、実は熟しているはず」と、自分の信念を貫き通すカタツムリの姿が歌われている。リズミカルな曲調に乗せて繰り広げられる、両者のやり取りが実に面白い。また「阿」を繰り返し使うフレーズは、可愛らしく、記憶に残る。地元の人と絆を深めたい時、ワンフレーズずつ歌い合えば、仲が深まるはず!
~上海ジャピオン2014年4月11日号