卓上ゲームで朝まで勝負①

言葉はいらない 朝まで勝負!

演技力と観察力を試すゲーム


トランプ(初級編) 吹牛

今回の特集を進めるにあたって、自称トランプ好きという中国人男性・胡成軼(こ・せいいつ)さん(30)と同僚の女性・包菲菲(ほう・ひひ)さん(26)の2人に、実際に2つのゲームをしてもらい、その特徴と戦略について話をきいた。

他のプレイヤーに宣言した〝ウソ〟を見破れないように、ポーカーフェイスで手札を無くしていくゲームが「吹牛」だ。吹牛とは中国語で〝ウソ〟の意味となる。
このゲーム、日本のゲーム「ダウト」に似ている。ただ、プレイヤーがカードを出す度に、数字がひとつ上がっていく「ダウト」とは違って、「『吹牛』は、始めに宣言された数字を、その局が終わるまで皆が宣言し続けることになります」(包さん)とのこと。
 「ルールは結構単純ですが、場の雰囲気は盛り上がります。残りの手札の少ないプレイヤーを上がらせないために、他のプレイヤー同士が暗黙の了解で結託したり、涼しい顔でカードを出したり。まさに、プレイヤー同士の心理戦ですね」(胡さん)

◆遊び方
プレイ人数:3人~6人くらい

道具:ジョーカー2枚を除いた52枚のトランプ1組(プレイヤーが4人以上の場合は2組のトランプ、合計104枚を使用する)

目的:早く全ての手札をなくすこと

【ゲームの手順】

1 全てのカードを裏にしてプレイヤー全員へ全て配る。

2 各プレイヤーは手札に同じ数字のカード4枚が揃っていればそれを場へ捨てる。

3 手札にスペードの3が入っていたプレイヤーから時計回りにスタート(トランプ2組の場合は、先に出した人からスタート)。このとき、任意の数字を宣言しながら、カードを裏にして場に出す。

・宣言と実際に出すカードの数字は一致していてもいなくてもよい=つまりここでの宣言は嘘でも本当でもよい。例えば「6」と宣言しながら、実際に場に出すカードは「6」であってもいいし、別の数字であってもいい。

・また、同時に2枚もしくは3枚出すこともできる。例えば「3(2枚もしくは3枚)」と宣言しながら、実際に場に出すカードは「3」が2枚であってもいいし、「3」が1枚と別の数字が1枚(「3」と「9」など)、または別の数字が2枚(「5」と「J」など)でもよい。

※手札に同じ数字が4枚揃えば捨てることになっているので、4枚(もしくは4枚以上)を同時に出すことはありえない。


4 次のプレイヤーは、まず前のプレイヤーの宣言が嘘か本当かを考える。

・本当だと思った場合は、前のプレイヤーが宣言したのと同じ数字、同じ枚数のカードを出す。もちろん、同じ数字のカードがあるとは限らないので、その場合は宣言とは違う数字を出すことになる。(「吹牛」の指摘がされるまで、時計回りに⑤のプレイを繰り返していく)

5 3~4を繰り返す。

6 残りの手札が5枚を切った時点で、そのプレイヤーは残りの手札数を全員へ伝える。

7 あるプレイヤーの残りの手札が3枚以下の場合は、カードを出すプレイヤーはあるプレイヤーの最小枚数に合わせた貸すの手札しか出せない。

8 最終的に一番早く手札のなくなったプレイヤーが勝ちとなる。

戦略
・それぞれの局の1周目は、本当にそのカードを持っている可能性が高いと思われるため、1周目に「吹牛」と指摘するのは勇気がいる。そこを逆手に取り、1周目は異なるカードを出し、2周目は宣言通りのカードを出す。

・カードを2組使っている場合は、同じ数字が8枚存在することになる。そのため既に4枚揃って捨てられた数字を覚えておくと有利になることも。

チームワークと頭脳を使ったゲーム


トランプ(上級編) 闘地主

引き続き胡さん、包さんと編集部のスタッフ2人を含めた4人で、今度はもう少し難易度の高いトランプゲーム「闘地主」に挑戦した。

多くの中国人を夢中にさせているゲームのひとつが「闘地主」だ。同位札を組み合わせてペアを作ったり、手持ちの札をなくしていったりするところは、日本のゲーム「大富豪」とルールが似ている。
ただ、大富豪との大きな違いであり、このゲームの最大の特徴でもあるのが、局ごとに親と子を決め、ゲームを進めていく点だ。そして、そこにこのゲームの最大の面白さも隠されている。
「闘地主は4人でプレイします。親は地主、子は農民。農民である子3人が共闘して、地主である親ひとりと争います。親が勝ったら、子3人からそれぞれ点数を総取りできます。だから親はその分のリターンが大きい。ただ、負けた場合のリスクも多きいですけど(笑)」(胡さん)
さらに、「闘地主で最も大切なのは子同士のチームワーク。例えば最も基本的な戦略として、親の対面の子を、左右の子2人がいかにフォローするかが、ゲームを進めていくうえでのカギとなります」(包さん)とのこと。本文最後に、ゲームを進めていく上での初歩的な戦略をまとめておくので、初めての人は、こちらを参考に。
では、どのような人がこのゲームをするのか。「主に20代~40代です。この世代であれば、男女関係なく、ほとんどの人は知っています」(包さん)。「人が集まって時間をもてあますと、トランプでもしようかとなります。友達や同僚とすることが多いですね」(胡さん)。
そんな闘地主にはローカルルールも多い。つまり、地域や年代によって遊び方に多少の違いがあるのだ。「例えば、上海人と北京人が一緒に遊ぶと多少ルールが違います。初めて遊ぶ相手とは、最初にルールを確認しておく必要があります」(胡さん)。
ほかにも中国でポピュラーなトランプゲーム「○○」や「○○」など、闘地主とルールが似た同種のゲームも多い。まずは闘地主を覚え、上手く遊べるようになったら、それらほかのゲームを覚えてみよう。

◆遊び方
プレイ人数:4人

使用カード:ジョーカー2枚を含む54枚のトランプ2組(108枚)

目的:全ての手札をなくすこと

【カードの出し方】


【カードの強さと特殊役】
カードの強さ:カラージョーカー、白黒ジョーカー、2、A、K、Q、J、10……3となる

【点数とその支払いかた】
ゲームの前にプレイヤー全員で3つのレートを決める(例:10点、20点、30点)。
親が勝った場合は、子3人それぞれから、局の点数をもらう総取りとなる。子が勝った場合は、親は子3人それぞれに局の点数を払う。

【ゲームの手順】

1 仮親(2回目以降は上がったプレイヤーが仮親となる)を決め、ジョーカーを含む2組のカード108枚をよく切り、場に裏にしたカード8枚を置く。

2 表にしたカード1枚を混ぜて、プレイヤー全員へ均等に配る。

3 手札をみる。このとき手札の中に表のカードのある人に、親(地主)となる優先権(=始めに決めた3つの局のレートから、初めに好きなレート提示することができる)が与えられる。

4 親となる優先権を持ったプレイヤーよりも、高いレートを提示した場合、そのプレイヤーが親となる(最も高いレートを提示したプレイヤーが親となる)。レートの提示は時計回りで次のプレイヤーへ移る。

5 親が決まったら、残り3人のプレイヤーは子(農民)となり、共闘して親と争う。

6 親は最初に場に置いたカード8枚を自分の手札へ加える。

7 親は任意のカードを1枚以上、任意の出し方で場に出す。次のプレイヤー以降は、前のプレイヤーが出したカードより強いカードを、その場と同じ出し方で出していく。

8 場に出すカードのないとき、あるいは出したくないときは、パスをして、次のプレイヤーへ回す(一度パスをしたプレイヤーも再び順番が回ってきたらカードを出すことができる)。最後に出したプレイヤー以外の全員がパスしたら、その場は流れる。次の場は、最後に出したプレイヤーが、好きな出し方でスタート。これを繰り返し各プレイヤーは手札を減らしていく。ゲーム中は、何度でもパスすることができる。また、手札の残りが10枚を切った時点で、全員に残りの手札の数を知らせる。

9 最初に全てのカードを捨てきったプレイヤーが、上がりとなる。親が上がるとその局は親の勝ち。子の中のひとりでも上がると、その局は子の勝ちとなる。

10 敗者へ勝者がその局の点数を支払う。

11 上がったプレイヤーが仮親となり、後は再び2からの繰り返しとなる。

戦略

・親の場合は、単独カードを最後に残さないようにするといい。

・子の場合は、親の対面の子を左右の子2人がフォローする。例えば、親の次の子は、場のカードが弱い時はわざとパスをしたり、次の子にカード出しやすくするために弱いカードを出したりする。逆に、親の前の子は、なるべく強いカードを出し、親からカードを出す機会を減らす。

・親と子で最も有効的な手札の作り方やカードの出し方が異なる。また子であっても、親の次、対面、親の前と席順により手札の作り方やカードの出し方が異なるのが一般的。

~上海ジャピオン9月8日発行号より

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