本場のちまきを食す③

嘉興市きっての観光地 西塘でちまきを食べる


 上海の西約90キロにある西塘は、古いたたずまいの残る小さな水郷の町。観光地とはいえ、他の有名な水郷とは異なり、庶民の素朴な暮らしぶりがそこかしこに見え隠れする素のままの町だ。
 30分もあれば歩き尽くせてしまいそうな町の中には、水路が行き交い、方向感覚を失ってしまいそうなほど細い路地が入り組んでいる。路地の両脇には、店なのか個人宅なのか判別できない古い家屋が続く。河べりでは洗濯をする女性のすぐそばで、野菜を洗う老人。昭和時代にタイムスリップしたかのような風景だ。

 おだやかな陽のそそぐ春先、この町に溢れるのは、豚肉に粟やひえをまぶして葉で包み蒸した「粉蒸肉」(4元)と、大豆をいぶした「薫青豆」(1元~)。一見ちまきと見まがう「粉蒸肉」は観光客に人気で、歩を進めながらほおばる人が多い。
 ちまきを売る店は、一筋の路地にかたまっている。6~7店舗ありどこも個人経営。西塘の特産ともいえる一口サイズのちまきは、1個0・5元で売っている。鮮肉粽を筆頭に、赤豆粽、豆沙粽、栗粽、白米粽、冰糖紅棗粽など約8種類ある。肉入りはもち米に醤油で味付けがしてあり、豆沙、赤豆などの甘いタイプは白いもち米のまま蒸してある。各店、売っている種類はほぼ同じだが、店により味付けが濃いもの、葉の香りがもち米に馴染んでいるものなど、微妙な味の違いがある。

 大声でちまきを売り込む店の奥には、小さな椅子に腰掛けてちまき作りに専念する女性の姿がある。兪阿珍さん、53歳。「ここでちまきを作りつづけて20年以上になるね。端午節が近づくと、1日に1000個は作るよ」とちまきを作る手を休めることなく照れた様子で話す。手にした葉を器のようにしてもち米をひとつまみ、肉と脂身を放り込み、またもち米をひとつまみ、まわりから葉で包み込んで白糸で縛る。この間約20秒。まるで機械のように手を動かす。
 観光化の進んでいないのんびりとした雰囲気に、西塘の奥深い魅力を体感できる。店頭に並ぶちまきだけでなく、家屋の奥で手作りしている様子に目を向ければ、いつもの旅よりずっと深い思い出が刻まれるだろう。

アクセス
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西塘行き直行バス(45人乗り)
上海体育館発(毎日2便) 
行き/9:00 帰り/16:00
行き/9:20 帰り/16:20

料金:120元/人(展示館などの入場料込み)
所要時間:約1時間半

~上海ジャピオン4月28日・5月5日合併号より

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