スモール上海を探せ

P1-1

P1-2 P1-3

コーヒー店急増の中で

空前のコーヒーブームで、テイクアウト専門のスタンドや、ゆっくり寛げるカフェなど、色んな形式のコーヒーショップが乱立している上海。

資本が少ない個人経営や若き起業家もこぞって店を立ち上げるが、家賃の高い上海で広い店舗面積を確保するのはなかなか難しい。そんなわけで、このコーヒースタンド「郵局咖啡舗(ポスト・カフェ)」は、洋服店や外国料理店の隙間にねじ込むようにして建っている。

 カウンター下から出入り

同店は昨年9月にオープン。店名通り、ポストを模した真っ赤なペイントが目を引く。店内と呼ぶべきか、作業スペースと呼ぶべきか悩む中の広さはたったの2平米、人1人がようやく座れるだけのスペースしかない。設備は、コーヒーメーカー1台、ミルクを保存するミニ冷蔵庫、そして豆を挽くミキサーだけ。店員はどこから出入りするかと言うと、カウンター下がドアとなっている。まだ20代半ばの男性店長個人で経営しており「売り上げー材料費、経費=自分の給料」という0実にシンプルな運営方式。1人で切り盛りするのは大変なのではと思ってしまうが、1人だからこそ客との距離も近く、丁寧な接客で、着実に同店のファンを獲得しているようだ。

気になるコーヒー1杯の値段は「アメリカン」(10元~)や「カフェラテ」(13元~/各トール)など、財布にうれしい価格設定だ。また、店の近くであれば電話注文で配達してくれると言う。

P2-1 P2-2

中国の朝食をひたすら焼く

上海でポピュラーな朝食の1つである卵クレープ「蛋餅」を販売する「愛姐蛋餅」は、1・10・12号線「陜西南路」駅から徒歩5分ほどのところに店を構える。休日午後、15時を少し回った時間帯だったが、数人の列ができていた。店名を大きく掲げることもなく、アルミ板が打ちつけられているだけの外観。よ~く探してみると、カウンター横の窓に貼られたメニュー表に、ようやく店名を見つけた。店内には店員2人が入れるだけのスペースしかなく、クレープ焼き器にトッピングの具材、業務用保冷庫があるだけだ。

 店は小さくても大満足

クレープを焼くおばちゃんスタッフは、ずっと鉄板で調理しているためか、顔は真っ赤。とりあえず看板商品である「招牌(看板)鶏蛋餅」(6元)を注文し、焼いてもらっている間に話を聞くことに。売り場面積は3平米で、今年の始めからここで営業していると言う。話している間にも、おばちゃんが手を休めることはない。生地を引いた鉄板に卵を割って溶き入れ、ネギやチーズなどのトッピングを投入。最後に甘辛いタレを付け、ヘラを使ってキレイに折り畳み、紙袋に入れればできあがり。所要時間は3分ほど。「日本人かい?」、「これは上海で有名なごはんなんだよ。」と笑顔で接客してくれた。店は小さいながらも接客の心地よさはどんな高級レストランにも負けない、小さな楽しさを感じるひと時であった。

P2-3 P2-4

徐匯区の居住区から移転

〝上海最小の本屋〟としてニュースに取り上げられた「ミーライブラリー」。以前は徐匯区の上海体育館近くにある集合住宅エリアに構えていたが、昨年9月に宝山区の多倫路に移転したと言う。店内に入ると、モノがスッキリしていて広々としている印象。書籍や茶器が並び、静かでゆるやかな時間が流れている。前は小さなスペースでひっそりと営業していたが、スペースが広くなったことで多くの人が来店し、書に触れてもらう機会が多くなったんだとか。

 書を通じて交流を盛んに

さらに奥に進むともう1部屋あり、そこには本のほか、茶を嗜むためのスペースと6人ほどが座れるテーブルが用意されている。店員がテーブルに紙を並べ始めると、客が席に着き、何かイベントが始まる様子。配られた紙には、薄い色で漢字がズラリと書かれている。着席した人はバッグの中から墨汁と筆を取り出し準備完了。なんと、これから写経を行うそうだ。物腰柔らかな男性店員曰く、忙しい日常において、心のゆとりがだんだん減り、人と交流する時間がないがしろにされている。だからこそ、写経を通じて気持ちを鎮めつつ、他人と一緒に行うことでコミュニケーションを図っていきましょう、とのこと。ゆっくりと抑えた声で、この店が今の場所に移転した経緯、これから行う活動、写経の主旨について説明があった。それから参加者がそれぞれ自己紹介をして、思い思いに写経を楽しんでいた。同店では、毎週末にこのような様々な活動を行い、書に触れ、人と交わる時間を提供していると話す。

P3-1

P3-2

30平米に酒1700種

 〝上海最小のバー〟として紹介していた記事を基に店に足を運んでみると…意外に店内は広々。また見るからに酒屋で、ビールを中心に商品がギッシリと並べられている。店員に話を聞いてみると、売り場面積は30平米ほど。1階でビールを中心とした酒類やスナック菓子、ハムなどの製品を販売し、1階及び2階のテーブル席、さらに天気のいい日だと店の前に出す簡易テーブルで購入した商品を飲み食いすることができると言う。店内には約1700種類ものアルコールを揃えており、品数当たりの売り場面積は〝ミニマム〟と言える。

P3-3

劇的リフォームで快適に

市内某所にある25平米の屋根裏部屋。1人暮らしなら十分な広さだが、そこに一家3人で暮らしていると、昨年ミニブログ「微博」で話題に。

モウ一家(仮)はアパートの最上階、天井が斜めに尖がった形の部屋で暮らしており、部屋の片隅は高さ0・7㍍で直立できず、屈む姿勢しか取れないんだと言う。窓はなく、洗濯物は斜めに傾いた屋上に出て干すと言い、1歩足を踏み外せば命をも落としかねない危険を伴っている。そんな中、テレビ番組『夢想改造家』で取り上げられ、有名建築家の設計によって部屋は大変身。寝室の床やリビングのテーブル&ソファ席を分解してコンパクトに片付けられる組み立て式にし、狭いからこそスペースを〝作り出している〟工夫が垣間見られた。

 

~上海ジャピオン2017年3月17日発行号

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP