実際どうなの?中日国際恋愛

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初の国際夫婦は約60年前 80年代から数が急増

まずは中国における国際結婚の変遷を見てみよう。中国では1980年代に、国際結婚をする夫婦が急増したようだ。

中国初の国際結婚が成立したのは1956年で、中国人女性、宋懐佳とブルガリア人男性、万曼の夫婦だった。美術学校の学生と留学生だった2人は、周囲に隠れてひっそりと愛を育んでいたが、学校に知られてしまい付き合いを止めるよう説得される。しかし男性と別れたくなかった宋氏が政府に手紙を書くなど手を尽くして、遂に2人の結婚が認められたのだった。

国際結婚に関する法律が公布されたのは、それから27年後、83年のことである。以後国際結婚をする夫婦はますます増え、79年には8460組だったのが、2001年には7万9000組にまで急増。上海市が特に顕著で、1980年に396組だった国際結婚の申請が、95年には3000組、2001年には3442組と凄まじい勢いで数を伸ばした。またこの時期には、吉林省の国境付近に住む朝鮮族の人々が韓国人と結婚したり、中国の西・南側、国境近くに住む人たちが、ベトナム人やミャンマー人など、東南アジアの人らと結ばれたりすることが多かったと言う。

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どんどん増える中日夫婦 ほとんどが日本人男性と

中国人が日本人と結婚する数は1996年以来右肩上がりで、国別で見ても1位。日本厚生労働省の統計によると、95年には5943組、2015年には6478組の夫婦が誕生している。一方で離婚率も高く、03年頃には実に40%の夫婦が離婚を選んでいたそう。

中日夫婦が最も多く生まれているのは上海で、上海市の国際結婚報告書によると、1996~2002年の間に上海市民が国際結婚したケースのうち約40%の相手が日本人だった。また中国北部、黒龍江省ハルビン市方正県も中日夫婦が多く、2011年頃には、毎年200人以上の中国人女性が日本人男性と入籍していたと言う。これは、同県で毎年結婚届けを出す夫婦のうち十分の一を占めるそうだ。

男女別に見ると、中国人女性と日本人男性の組み合わせが、中国人男性と日本人女性の組み合わせよりも圧倒的に多く、その差は7倍以上。1995年と2015年を比べると、夫日本人―妻中国人の届け出は5174組から5730組にまで増えたが、夫中国人―妻日本人は769組から748組と、ほぼ横ばいになっている。

このように、毎年多くの中日夫婦が誕生しているが…国が異なるからこそ、感じる楽しさや苦労があるに違いない。そこで今回は、今まさに国境を越えた恋愛を満喫中の日本人に、中国人との付き合いで感じたことを聞いてみた。次ページから紹介しよう。

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適度な距離感が心地よい

国境を越えたカップルが最初に遭遇する難関は、言葉の問題だろう。中国語にしろ、日本語にしろ、母語以外でコミュニケーションを取るのはとても骨が折れること。ましてや共通言語が英語とくれば、互いが第二外国語を使うことになり苦労もひとしおだろう。ならば異なる言語でよかったところをあえて聞いてみると、意外とたくさんの答えが返ってきた。

まず多かったのが「語学力が上がること」。確かに、恋人ほど我慢強く自分の話を聞き、理解しようと努めてくれる人はほかにいない。「あれ? あの人の中国語、急にうまくなったな…」と感じると、大抵の場合その人に中国人の恋人ができたと考えていいだろう。

ほかにも「お互いに深入りせず、適度な距離が保てる」という意見もあった。言葉がわからないということは、同時にプライバシーが守られるということ(?)。「都合の悪い話は、聞き取れないフリをします」なんてちゃっかりした人も。

 上海語はちょっと寂しい?

一方苦労していることを聞くと、言葉がわからないことによる不安感が一番に挙がってきた。特に上海人の恋人は「私と話す時は標準語なんだけど、友人や家族と話す時は上海語に切り替わる」ことがよくあるようだ。恋人が自分の前で、全く聞き取れない言語を使って別の人と話しているというのは、ちょっぴり疎外感を覚えるという人が多かった。

また2人の共通言語が中国語or日本語で、どちらかの母語に当たる場合「私だけいつも外国語で話していて、苦労している」と不平等に思うことがあるそう。特にケンカなどをした場合、外国語だとうまく表現できなくてイライラが募るんだとか。言葉の壁は、国際カップルにとって永遠のテーマなのかもしれない…。

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家庭を大切にする男性

「上海人の男性は、家事をしてくれるというのは本当だった」という日本人女性からの報告多数。掃除、洗濯を精力的にこなし、料理まで作ってくれる…女性に多くを求めない、家庭を大事にしてくれるという中国人男性に、魅力を感じる日本人女性が多いようだ。

ほか「文化が違ってよかったこと」については、特にこれといったエピソードはないが、日頃付き合う中で感じる様々な相違を楽しんでいる人がほとんど。中国人の恋人と寺に行って参拝の仕方を教えてもらったり、日本に旅行に連れて行ったり、日本料理を作ってあげて喜んでもらったり…仲睦まじい光景が目に浮かぶ。

 年に6回ある記念日

一方、日本人男性からの訴えで多かったのが「とにかく記念日が多い!」。試しにカウントしてみると、2月14日のバレンタインデーに、8月中旬~下旬にある、旧暦7月7日の中国版バレンタインデー「七夕」。12月25日はクリスマスで、そして5月20日の発音が「我愛你(愛している)」の響きに似ていることから、人によってはこの日を恋人と過ごしたいという人もいるし、3月8日の「国際婦人デー」にプレゼントをもらいたいという人も多いんだとか。これらに彼女の誕生日を加えると、実に1年に6回、平均して2カ月に1回は何かしらの記念日がやってくることになる。

記念日が多いと楽しそうだけど、大変なのは…中国の記念日は総じて男性から女性にプレゼントを贈るのが一般的ということだ。バレンタインデーに人気なのはバラの花束だが、毎回同じというわけにもいかない…「次の記念日はどうしよう」という男性陣の溜め息が聞こえてきそうだ。

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中日文化を楽しむデート

最後は中日カップルに、オススメのデートスポットを聞いてみた。「邦画が公開されている時は、一緒に見にいきます。お互いが十分に映画を楽しめる貴重な機会」。最近は『深夜食堂』や『銀魂』、『聲の形』など邦画が続々と公開されており、これ幸いと映画デートを楽しむ中日カップルも多いのではないだろうか。

ほかには「相手がオススメしてくれる中華料理、日本料理を食べにいく」や「中国、日本へ旅行に行く」など、互いの文化を紹介できるようなスポットが好評だ。しかし料理に関しては「彼女が重慶市出身なんだけど、付き合いで辛い物ばかり食べていたらお腹を下しがちになった」、「張り切って中国人の彼女を日本料理店に連れていったら、味がイマイチで面目丸つぶれ…」など苦い経験をしたこともたくさんあるんだとか。

 盛大なおもてなしにビックリ

ある日本人女性は「彼氏の親戚を訪ねて遼寧省へ旅行に行った時、親戚の人たちがすごく歓迎してくれて、たくさんの料理と酒を振る舞ってくれたんです。うれしかったけど、連日宴会みたいになって、結局あまり観光地に遊びにいけず残念だったかな…」と大変だったデート談をポツリ。恋人の両親や親戚の盛大な〝おもてなし〟に、少し戸惑ってしまう日本人は少なくないだろう。

しかし、逆に中国人が日本へ遊びにいった時「恋人の両親が〝中国の人はたくさん食べると聞いたから〟と料理を山盛りにしてもてなしてくれたんだけど、食べ切れなくて困った」というエピソードもあるので、お互い様なのかもしれない…。

 

~上海ジャピオン2017年9月15日発行号

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