つなガリ勉と読み解く 中国人の名字字典

01-1

 

01-2

名字は全国で5000種以上

2015年の最新データによりますと、中国で一番多い名字は「李」で、全体の約8%を占めるとのこと。この李という名字は、韓国やベトナムにも存在しており、〝世界で最も多い名字〟としてギネスに登録されています。ただ中国各地で見てみると、それぞれの省・地域で1位となった名字は「王」が多く、「李」は局所に集中しているようです。また現在、中国で確認されている名字の総数は5662種類。そのうち単姓が3484種、二字姓が2032種、三字姓も146種ありますが、昔は名字が100種しかなかったそう。

ちなみに中国における名字の誕生由来は、「陳」や「馮」のようにかつての封国や封地など諸侯に与えられた国や地域の名称から取ったもの、「司馬」や「史」など祖先の官職に基づく名字、「鄭」や「趙」など帝王から与えられたものなどがあります。

02-1

全国下位の陸姓がランクイン

人口約2000万人の上海市では、全国3位の「張」が最多。前ページの地図を見ると、張姓が一番多い省は数えるほどしかないようです。「徐」も上海では、多い姓なのですね。市の繁華街・徐家匯は「徐」姓の末裔が同地域に多く住んでいたことに由来すると、昨年の特集記事「道路名由来を探る」(2016年9月23日発行号)で説明されていました。

市に多い名字で注目すべき点が、9位の「陸」。全国的には70位と決して順位は高くないですが、市では一大勢力を誇っているよう。元々山東省で「陸」姓が使われ始めたと考えられ、河南省周辺で同姓の人口が増加、その後彼らが市などに移動してきたようです。また全国89位の「顧」は市では11位と上位ですが、春秋時代、市や江蘇省を含む華東エリアを支配していた呉国にこの名字が多かったことが大きな要因だとか。

02-2

滅びゆく名字、珍しき二字姓

次に、全国でもごくわずかしか存在していない珍しい名字をご紹介します。まずは「虎」と「兎」。動物系の名字なら「馬」や「牛」があるので〝トラさん〟や〝ウサギさん〟もごく一般的な名前の気がしますが、四川省や山西省の一部地域でしか確認されていないようです。

また山東省では、2010年まで「」という名字を持つ人が暮らす部落があったようです。しかし、この漢字がコンピュータ用の漢字、つまり中国版JIS(ジス)漢字コードに認定されず…その結果、身分証明証などで漢字表記ができなくなったため、部落に住む約200人が改姓したんだとか。

そのほか、二字姓や三字姓の人にもごくまれにお会いしますが、二字姓で一番多いのが「欧陽」。三国志で有名な諸葛孔明の「諸葛」も、聡明さが伝わってくるカッコイイ名字で、羨ましい限りです。

03-1

漢字を分解して相手に伝える

相手の名前を聞いた時に、上手く聞き取れなかったり、同じ発音でどの漢字を指すのかわからなかったりすることがありますよね。日本だと「山の田んぼで山田です」のように、その漢字を使った単語を例に出して説明しますが、中国では漢字を分解して相手に伝えることが多いです。

例えば「張」と「章」。どちらも〝ジャン〟と発音するので、音で区別するのは不可能…。というわけで、「張」なら〝弓+長〟、「章」は〝立+早〟と分けて説明することで、名字を正確に伝えることができますね。このように、基本的には部首を用いるのですが、「于」は最後のはね部分を用いて〝干に鈎(フック)が付いた于〟と説明します。同僚や友人の名字の伝え方について、本人に確認してみるのも面白いですね。

 

~上海ジャピオン2017年11月3日発行号

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP