日本まで、10円。
国際電話は高い。そんなイメージも、今や過去のものとなった。きっかけはIP電話の登場だ。
IP電話とは、インターネット回線を利用した電話のこと(IPはインターネット・プロトコルの略)。
その最大の特徴は、通話料金の安さ。音声を伝えるルートの一部、または全てに、電話回線より安いインターネット回線を使う。そのため、音質は一般に劣るものの、通話料は電話回線に比べ、格安になる。
かける方法はいくつもあるが、例えば、上海から日本までの通話料、1分10円。そんなIP電話を、今回は初心者向けに紹介する。
パソコンを使った無料通話
インターネットに接続しているパソコンがあれば、すぐIP電話をかけることができる。電話機ではなく、パソコン上のソフトウェアが通話機能を担うため、ソフトフォンとも呼ばれる。
要は、チャットやEメールと同じく、インターネット回線を使用したサービスなので、ネット接続料金以外に特別の費用はかからない。通話には、マイクとスピーカー機能を持ったヘッドセットを使うのが一般的だが、最近は電話機型のハンドセットの使用も増えている。
双方がパソコンを立ち上げる必要があるため、電話ほど手軽ではないが、通話料はタダと言う非常に経済的な通話方法だ。
スカイプ
IP電話用のソフトウェアはたくさんあるが、世界的にも最もよく知られているのが、スカイプ(Skype)だ。
2003年、ルクセンブルグで開発されたフリーソフトであるスカイプは、その音質と使い勝手の良さから、瞬く間に世界中に広まった。現在まで、世界中で約3億回ダウンロードされ、常時400万人前後が接続している。2004年には日本語版も登場しており、日本でも多くのガイドブックが出版されている。
使用するには、スカイプの公式サイトからソフトをダウンロードすることになる。ダウンロード料、通話料など、一切の費用はかからない。
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スカイプの始め方
①サイトから、スカイプをダウンロードする
(サイト上の「ダウンロード」ボタンをクリックして、ファイルをパソコンに保存するだけ。保存先をデスクトップにしておけばやりやすい。)
②ダウンロードしたファイルをインストールする
(①でパソコンに保存されたファイルを開き、言語選択、使用許諾契約書の同意、インストール先の指定などを済ませる。基本は、「次へ」をクリックしていけばOK)
③アカウントの登録
(②で設定の済んだスカイプを開く。氏名やメールアドレスなどの個人情報を入力し、パスワードを設定する。その後、任意でプロフィールを作成。プロフィールは全世界に公開されるので慎重に。)
④相手のアカウントを入力して通話する
※スカイプのアカウントは、180日間使用しなければ取り消されるので注意。
http://www.skype.com/(スカイプの公式サイト)
http://skype.livedoor.com/(ライブドア)
http://www.melcoinc.co.jp/skype/(バッファロー)
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スカイプアウト
スカイプには、固定電話や携帯電話などの一般電話機に対して電話をかけることのできる、スカイプアウトという機能もある。これは有料のサービスで、あらかじめクレジットカードで先払いした通話料から、通話した分を差し引くシステムになっている。基本はユーロ払いだが、日本円払いも可能。
日本への1分あたりの通話料は、世界中のどこからかけても、固定電話まで0・022ユーロ(約3・1円)、携帯電話まで0・144ユーロ(約20・5円)。国際電話としてはもちろん、他のIP電話サービスに比べてもかなり安価だ。相手がパソコンを持っていない、パソコンを立ち上げていないなどの場合には便利。ただし、音質はスカイプ通話ほど良いわけではなく、若干の遅延もあるようだ。
この他、スカイプには、一般電話機からの着信を受けられるスカイプイン、留守電のように音声伝言を保存できるボイスメールといった機能もある。
その他のソフトフォン
スカイプは音声通話をメインとするソフトウェアだが、メッセンジャーと呼ばれる文字をメインとした会話ソフトにも、音声通話機能を備えるものが少なくない。日本人に馴染みなのは、MSNメッセンジャーとYahoo!メッセンジャーだ。
スカイプに比べて音質は劣るものの、ホットメールやヤフーメールなどのフリーメールを利用している人は、そこでのアカウントをそのまま利用できるので便利。
~上海ジャピオン5月19日発行号より