ふわふわぷるぷる 中華甘味

中国台湾発、漢方スイーツ

見た目を裏切るおいしさ

仙草とは、中国台湾の伝統的なゼリー。古くは仙草(センソウ)という植物から直接煮出していたが、現在は専用の粉や液から作られる。仙草には、身体の熱を取り除き、暑気払いの効果があるとされ、夏に冷やして飲まれることが多い。また冬には、砂糖やピーナッツ、緑豆、アズキを加え、温かいスイーツとして食される。中国台湾のスイーツ専門店「鮮芋仙」では、この温かい「焼仙草」を提供する。

漢方の香りがぷ~んと漂う、真っ黒なゼリーに少々ひるむ。が、それほど食べにくくなく、味は中華版コーヒーゼリーといった感じ。中からザクザク出てくるほんのり甘いアズキや、小イモ団子とタピオカのモチモチ食感と相まって、意外とおいしい♪ 日本の汁椀の1・5倍はある椀いっぱいに盛られ、ボリューム満点。1人で完食は難しいかも?

芋好きにはたまらない

ザ・タロイモスイーツ

「芋圓」は、中国台湾の有名な伝統スイーツ。「芋頭(タロイモ)」を蒸してマッシュポテト状にし、さらにサツマイモ粉と水を加えて団子にまとめる。これを小さく切り分け、沸騰した湯の中へ。浮き上がってきたら出来上がりだ。この芋圓を砂糖水の中に入れ、夏は冷たく冷やし、冬は温めて食べる。

「鮮芋仙」の看板メニューである「芋圓」では、トッピングの種類によって1~5号を選べる。また、温・冷も選択可。今回編集班は「芋圓1号」を試食。トッピングは、緑豆、ハスの実、タピオカ。アイスを選んだ。

かき氷の上に乗った「芋圓」をひとくち…う~ん、まさにタロイモ! モチモチの団子を想像していたのだが、もっとずっしりした芋の感覚で、一椀分となるとかなりの量だ。「芋圓」自体はあまり甘くないので、もう少し甘さがほしいところ。

やさしい口あたり

中国古来の豆腐スイーツ

「豆花」とは、大豆を水に浸して磨り潰し、濾してできた豆乳に「にがり」を加え、凝固させたもの。トウガラシやネギを加えた「咸豆花」と、砂糖水に入れて甘くして食べる「甜豆花」がある。「豆花」と「豆腐」はほぼ同じ起源で、漢の淮安王劉安の時代から始まったとされている。

今回は、スイーツとして食べられている「甜豆花」を、「鮮芋仙」でいただく。トッピングはアズキ、ピーナッツ、タピオカ。

豆腐とほぼ同じ作り方だが、口当たりは豆腐よりもホロホロと柔らかく、ほんのりとやさしい甘さ。日本人にとって「甘い豆腐」はあまり馴染みがないが、抵抗なく受け入れられそうな味だ。トッピングのそれぞれ違った食感も楽しい。

しかしながら、こちらも大きめのお椀にずっしり重く…日本人にとっては2人分はありそうなボリュームだった。

身体の中からキレイに

低カロリー低脂質スイーツ

〝何も加えず、食物本来の味を〟がモットーの「寶珠酒酿酸奶」。自家製の米酒と発酵乳を混ぜて再発酵させた「酒酿酸奶」が名物だ。この「酒粕ヨーグルト」、栄養価が高く、低カロリー、低脂質のスイーツとして、注目を集めている。

看板メニューの「堅果芒芒酒酿酸奶」。「酒酿酸奶」に、マンゴーやクコの実、アーモンド、カシューナッツ、レーズンなどのナッツやドライフルーツが山のように盛られ、見た目にもフォトジェニック! 酒粕ヨーグルトは、かなりしっかりとした硬さで濃いめ。粒々とした舌触りも特徴的だ。砂糖も無添加ゆえ、酸味が際立つが、添えられた酒粕がほんのりと甘いので、一緒に食べるとよいらしい。が、甘党にはちょっと物足りないかも。ベトナム産の完熟マンゴーが甘酸っぱくて美味。食べごたえがあり、これ一碗で軽い食事になりそうだ。

良薬は口に苦し?

東洋のスーパーフード

中国香港地区創業、「港式スイーツ」の専門店である「満記甜品」。同店では、東洋のスーパーフードともいうべき「黒糯米」を使ったスイーツが食べられる。

「黒糯米」とは、もち米の一種で、蛋白質、ビタミン、鉄、銅、アミノ酸、カルシウム等豊富な栄養素が含まれ、便通を良くし、胃や脾臓を温め美容にも効果的。いいこと尽くしの食品だ。

この「黒糯米」を使った同店の人気メニュー「芒果白雪黒糯米甜甜」。白雪に見立てたバニラアイスの上に、大きめにカットされたマンゴーと黒糯米団子が乗っている。

黒糯米団子には、中に芋やとうもろこしが隠れている。口まで運ぶと、かなりの漢方臭…味も苦味が強く、これだけで食べるのはちょっとキツイかも。が、ミルク味の強めなバニラアイスとの相性はバッチリ。しっかりアイスを絡めて食べるのが正解!

スイギュウの乳で作る

あったかミルクプリン

スイギュウのミルクで作る「双皮奶」は、広東省、中国マカオ、中国香港などで食べられるヘルシーなスイーツ。

ここ「双喜老舗」はこの「双皮奶」が看板商品の中華スイーツ屋店で、「双皮奶」にアズキやタピオカ、ハスの実、マンゴーがトッピングされたものがメニューに並ぶ。今回はトッピングなしの、シンプルな「招牌双皮奶」のホットをオーダー。

小ぶりの茶碗に盛られて出てきた真っ白な塊。表面の膜を破ると、柔らかいヨーグルトのようなプリンがお目見えする。ミルク特有の素朴な甘さは子どもが好きそうな味だが、温めているからか、結構臭みも強いなと感じた。

チーズ系の臭いが苦手な人は、冷やして食べるか、ショウガ汁と温かいミルクを混ぜていただく「姜撞奶」(15元)の方が食べやすいかも。

四川のプルプルゼリー

トッピングがテンコ盛り

四川省の夏のデザートとして有名な「氷粉」。ナス科の植物から作るプルプルのゼリーが見た目にも涼やかで、激辛の四川料理の箸休めとしても愛されている。

人民広場にある「甜心閑生伝統手工氷粉」は老人から若者まで、客が絶え間なく訪れる人気店。店員さんオススメの「糍粑紅糖氷粉」を、氷を入れず常温でいただく。一口すすると、プルプルゼリーに、やさしい甘さの黒砂糖の蜜が絡んでおいしい! モチモチの白玉・きなこ団子とも相性抜群で、和菓子に近い味だ。

そこにサンザシ片と干しブドウの酸味、ヒマワリの種とピーナッツの香ばしさが加わり、食感・風味ともに実に豊か。トッピングはほかにライチやマンゴーのフルーツ系、ムラサキイモや黒もち米の団子、牛乳とココナッツのシャーベットなど、どれもおいしそうなので次回ぜひ試したい。

広東の漢方系スイーツ

ツルンとのどを滑り落ちる

最後は広東省のスイーツ「涼粉」を紹介。実は中国人は、「涼粉」と聞くと、四川省の料理を思い浮かべる人も多い。デザートとして食べる「涼粉」は中国台湾の「仙草」とルーツが同じで、見た目・味ともに似ている。

この店は白い「涼粉」もあったので、黒・白どちらも食べられる「鴛鴦涼粉」をオーダー。マンゴーやドラゴンフルーツ、バナナと一緒に、ミルクの中に浮かぶ白黒の涼粉。白い涼粉は寒天のような味と食感。黒い方は白よりもやわらかく、少し独特の漢方臭がした。子どもの頃食べたフルーツポンチを思い出す味だ。ツルンと食べやすいので、小さな茶碗ぐらいの量も、あっという間に完食した。「涼粉」は元々、身体にこもった熱を取ってくれる食べ物。ちょっと風邪気味で、食欲がない時にもピッタリのやさしいスイーツだ。

~上海ジャピオン2019年11月8日発行号

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP