仕事から授業、買い物まで 中国オンライン都市生活

10億人がネット利用

中国のIT技術を知るうえで、中国生活においてどれほどデジタル化の波が来ているのかを数字で見ていこう。

「中国互聯網絡信息中心(CNNIC)」が毎年2回発表している、中国のインターネット普及状況をまとめた報告書「中国互聯網絡発展状況統計報告」の2020年4月版によると、中国のネットユーザーは9億400万人で普及率は64・5%、スマートフォンを使うネットユーザーは8億9700万人で、ネットユーザーにおけるスマホ利用者率は99・3%。つまり多くの人は、スマートフォンからネットにアクセスしていることになる。

一部行政手続きもスマホで

中国では、一部の行政手続きがスマートフォン上で行える。外国人である我々が中国入国後に行う「境外人員臨時住宿登記」は、今までであれば住まいのマンションを管轄する公安所に必要書類を持って足を運ぶ必要があったが、今回の新型コロナウイルス感染症流行に伴い、この手続きを微信上でできるように。上記QRコードを読み取り、必要事項を入力、必要写真を添付するだけで、数分後にはショートメッセージで送られてきたリンク先にてPDF形式の証明書がダウンロードできる。日本でいうと、住民票の提出をスマホ上で行っているようなもので、本人証明にサインも印鑑も必要ないのだ。

このように中国では現在、スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスを使ってオンラインシステムにアクセスし、何でも行うようになっている。次ページからは、仕事・教育や買い物時の支払い、ネットコマースにおけるデジタル化の波を、アプリなどと併せて紹介する。

仕事はアリババの釘釘

今回の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い推進されたのが、リモートワーク・在宅勤務。ただし、大多数のオフィスワーカーは、外回りなど一部業務を除いて〝オフィス〟で働くことが大前提だったため、急なリモートワーク推進で戸惑いを覚えた人は多かったはず。そんな中で注目を集めたのが「阿里巴巴集団(アリババ・グループ)」開発の企業用メッセンジャー「釘釘(Ding talk)」だ。2020年2月時点でユーザー数は2億人だったが、その後1カ月間で3億人にまで跳ね上がった。

「釘釘」ではグループチャット内で複数人によるテレビ通話ができたり、リアルタイムに画面共有ができたりする。我々編集班も、実験的に同アプリ無料版を使用している。テレビ通話の画質はそれほどよくないものの、音声自体はハッキリ聞こえるため、会議自体は特に問題なく進められる。

勉強は教育向けの黒板

一方全、学校で推進されたのが〝オンライン教育〟。地域によっては「釘釘(Ding talk)」を採用したところもあるが、上海市のすべての学校では「黒板」という、教育向けメッセンジャーを取り入れ、リモート学習を行った。基本的に予め録画した授業を時間表に従って配信し、それを各生徒が見ながら授業を進める。録画のため授業後も繰り返し観ることができ、宿題もwordなどでアップロードして提出するという。

同感染症流行というきっかけがあったとはいえ、仕事も学習も場所を問わずオンライン上に移行できたのは驚きだ。

国民の半分がスマホ決済

多くの外国人も当たり前のように使うスマートフォンによる支払い。中国では「阿里巴巴集団(アリババ・グループ)」の「支付宝(アリペイ)」と「騰訊集団」の「微信支付」が主な決済アプリだ。

2019年末時点での電子決済ユーザー数は7億6800万人。うちスマートフォンを使った電子決済ユーザーは7億6500万人と、ネットユーザー数全体の85・3%に上る。1512月時点で57・7だったため、普及率は約4年半で30ポイント近くもアップした。日本でも「PayPay」などQRコード決済システムが増えているが、日常的に利用している人の割合は29・3%と低い。

早くも顔認証決済を実用化

また世界に先駆けて実用化を果たしたのが、顔認証による支払いシステム「刷臉支付」。支払い方法はいたって簡単で、QRコードではなく自分の顔を専用機器でスキャンさせるだけ。この〝顔パス〟システム、市内では19年頃から見掛けるようになったものの、設置店舗自体は結構限られている印象だ。実際の登録者数は、19年末時点で1億1800万人。

スマートフォン決済の普及によって、我々の生活は大きく変わった。まずは、現金や財布を持って出掛けることが激減したこと。銀行やATMでお金を預けたり引き出したりする手間が激減したこと。また中国人の場合、日本などで「支付宝」や「微信支付」決済ができ、外国通貨を持たずとも海外旅行ができること。これに「刷臉支付」が加わると、わざわざポケットやカバンからスマホを取り出す手間が減り、バッテリー切れによるトラブルも起こらなくなる。これからキャッシュレスから〝スマホレス〟の生活になるのかも!?

7億人がスマホで買い物

買い物はスーパーや百貨店で、という時代は大きく変わりつつある。ネットスーパー「盒馬鮮生」やネットショッピングサイト「淘宝」、デリバリーサイト「餓了麼」…スマホを使った買い物ツールは枚挙にいとまがない。

2020年3月時点で、ネット上での買い物ユーザーは7億1000万人に上り、19年でのオンライン購入の売上額は10兆6300億元! 前年比で16・4%増と成長著しい。

3時間で1億元が動く世界

中でも短時間で多くの売上を生んでいるのが、ライブコマース。「抖音」などを含むネット動画のユーザー数は8億5000万人と、スマホを持っている人の大半は生中継を含む動画を閲覧していることになる。ライブコマースでの人気者は「淘宝」系の生放送専用アプリ「淘宝直播」などで活躍している李佳琦。彼は主に化粧品の生放送販売をし、自ら口紅やフェイスマスクなどを試してその感想をストレートに伝え、視聴者の人気を集めている。生放送画面の下に、紹介しているアイテムの淘宝サイトリンクがあり、そこで商品の購入ができる仕組み。彼は今年1月、1時間半の生放送で1000万元を売り上げるなど、生放送販売士の中でもトップクラスだ。

そんな中、彗星のごとく現れたのが羅永浩だ。彼は「抖音」での生放送販売で4月1日(水)20時~23時の間に、過去最高の1億1000万元を売り上げたのだ! ほかにも「淘宝」の人気配信者viya(薇)は、生放送中になんとロケットを販売し、4000万元の取引を成立させている。このように、オンライン上で何百、何千万元もの額が動くのが、中国の〝オンライン〟生活だ。

~上海ジャピオン2020年6月5日発行号

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