夏の中華トロピカルスイーツ

新感覚だけど懐かしい

ポルトガル発祥スイーツ

「セラデューラ」は〝おが屑〟を意味するポルトガルの伝統的なデザートで、中国マカオから伝わり、中国語では「木糖凍餅」や「木糖布甸」として定着。中国香港でも人気を得ているスイーツだ。

ティラミスのような見た目のこのスイーツは、生クリームと砕いたビスケットを層状に重ねて冷やしたシンプルな一品。アイスよりもフワフワッとした食感に控えめな甘さで、初めて食べるのに子どもの頃を思い出す、懐かしい味。フルーツがトッピングされていたり、カップに盛り付けて提供されたりと、店によって様々な特徴があるが、同店では「原味木糖凍餅」(48元)のほか「朱古力凍餅」(48元)と「緑茶凍餅」(50元)の3つの味を用意。暑くて食欲が落ちているけどケーキが食べたい、そんなワガママな気持ちを満たしたい時にオススメだ。

フォークとナイフで味わう

香港式マンゴークレープ

中国香港といえばマンゴースイーツ。その中のひとつ「芒果班戟」は、直訳するとマンゴーパンケーキだが、日本人にはマンゴークレープと言われた方がしっくりくるだろう。

香港スイーツ専門店「香港華心糖水鋪」は中国香港を思わせるネオン看板が目印で、150種類以上のスイーツを提供する。日本の軽く焼き色のついたクリーム色のクレープに対し、香港式クレープはツルッとした、黄色味の強いモチモチとした生地が特徴。そこに大きな完熟マンゴーが2切れ、生クリームに囲まれてぎっしり入っている。マンゴーの濃厚な甘みと軽めの生クリームのコンビは、クレープで包まれている食べやすさも手伝って数口で完食するおいしさ。深夜までやっている同店、食後にスイーツを食べる香港人スタイルで、夜涼しくなってから2軒目に訪れてはいかが⁉︎

甘酸っぱさに恋する

ビタミンCスイーツ

ヤナギの枝に、天から滴るつゆという意味を持つ「楊枝甘露」は、マンゴー、ポメロ、タピオカとココナッツミルクを合わせた、中国香港発祥のスイーツだ。

中国香港創業、香港スイーツの有名店「香港発記甜品」では、「招牌楊枝甘露」(38元)が看板商品。ココナッツミルクに、驚くほどの大きさ、ゴロッとカットされたマンゴーの果肉と、ポメロ、小さなタピオカが入っている。フレッシュなマンゴーのとろける食感と芳醇な香りもさることながら、ポメロ特有の酸味や苦味が、ココナッツミルクや果物の甘味に対するいいアクセントとなり、あっという間に食べてしまうおいしさだ。

同店では、マンゴーデザートのほか、業界初と言われる「ドリアンとココナッツのお汁粉」(48元)も人気。新感覚の味に出会えるかも。

 

ヘルシーでおいしい

香港薬膳デザートスープ

広東省・広西省地方が発祥のスイーツ「糖水」。日本で言うとお汁粉に近く、薬膳系の材料をメインに使用し、懐かしい素朴な味わいで栄養豊富なため、現地の人々に愛されている。

ここ香港式お汁粉の人気店「香港宝林糖水舗」では、緑豆や黒ゴマ、アーモンドなど昔からある伝統的なお汁粉に加え、中華料理の素材・干し湯葉を使った「腐竹糖水」(42元)や、ピスタチオで作った「翡翠糊」(48元)といった上海でも珍しいメニューを提供。今回は〝良縁の糖水〟ともいわれる「蓮子百合紅豆沙」のアイスをオーダー。キレイな茶碗に盛られてきた白玉アズキのお汁粉。冷たくまろやかな口当たりで、日本のお汁粉より甘さ控えめ、洗練された上品な味わいだ。身体にやさしい漢方素材・ユリとハスの実が身体を冷やし、スッキリさせてくれる。

独特な風味にハマる

中国古来の薬草スイーツ

「仙草」とは、中国の南部と中国台湾北部原産の植物で、昔から生薬や漢方の原料として利用されてきた。仙草には身体の熱や湿気を取り除くほか、解毒・美容などの効能も期待でき、中国では仙草の茎や葉を煎じて飲むことで、熱中症を防ぐ習慣があるそうだ。

今回は、その植物で作られた「仙草ゼリー」を、本場台湾のスイーツ専門店「鮮芋仙」でいただく。仙草かき氷の上に、仙草ゼリー、マッシュしたタロイモと芋団子をトッピングにする「招牌仙草」が人気。プリプリしたゼリーの喉ごしの良さと、ヒンヤリとしたかき氷が、1回食べて2種類の食べ方を楽しめる。肝心の仙草は、ハーブのような独特な香りで、やさしい甘みのあるタロイモと一緒に食べると苦みもマイルドになり、食べやすい味わいだ。トッピングのそれぞれ違った食感も楽しい。

中国の夏の定番緑豆

オシャレなスムージーで

夏の食材やデザートとして中国では定番の、身体の熱を冷ます役割がある緑豆。これをドリンクとして広めたのは、タピオカドリンクブームの火付け役でもある中国台湾なんだとか。

今回は「椿風・養身茶飲」という、健康系ドリンクを多く揃える店で「緑豆ミルクスムージー」(19元)にチャレンジ。こちらは500㍉の大サイズのみで、甘さは4段階から選択可だったので、オススメの少糖をチョイス。たっぷりの緑豆と牛乳、タピオカのような食感の寒天ボールが入っている。ミルクが加わることによって、緑豆のやさしい甘さを活かしつつ、豆特有の口の中がパサつく感じがなくなるので飲みやすい。飲んだ後は小腹が満たされて、身体の暑さも引き快適な気分に。冷たいものを求めがちなこの季節、せっかくなら暑気払いもできる緑豆のスムージーを飲んでみて!

フワッフワの氷を堪能

あま~いミルクティかき氷

台湾スイーツといえば、フワフワのかき氷を思い浮かべる人が多いはず。最後は中国台湾発のかき氷を紹介しよう。

「悪龍制氷甜品」は中国台湾ブランドのかき氷屋。かわいい恐竜が目印で、かき氷のほか、回転焼き「車輪餅」、ミルクティー、仙草スイーツと、台湾名物が一通り揃っている。中でもタピオカミルクティーかき氷「黒糖珍奶綿綿氷」(40元)は同店イチオシ、台湾の二大人気スイーツが一緒になったかき氷。タピオカのほか、さらにトッピングをもう一つ追加でき、タロイモ団子、白玉、寒天、パイナップルケーキなどを乗せればボリュームたっぷりに。

ミルクティーが染み込んだフワッフワの氷と、モチモチタピオカを一緒に口に運べば、あま~い味が舌の上でとろける。夏の自分へのごほうびに食べたい一品だ。

日本でも有名なブランド

食べ歩き用のかき氷

日本にも出店し、見た目のインパクトでも話題になった中国台湾のかき氷店「アイスモンスター」。日本店は残念ながら撤退してしまったようだが、上海市では、観光スポット「田子坊」向かいのショッピングモール「日月光中心」で営業を続けている。

道路に面した小さい店舗で、メニューも食べ歩き用に、1人用ワンカップに改良。「芒果綿綿氷」(32元)はカップの底に大きなマンゴーをたっぷり詰め込み、かき氷を乗せ、生クリームとマンゴーソースを掛けた一品。一口食べればその冷たさに、暑さがスーッと和らいでいく。

飲食スペースがテラス席しかなく、今はすぐ溶けちゃうのが難点だが、観光のおやつにピッタリ。

~上海ジャピオン2021年7月30日号

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP