ドクターまるかじり:碁盤の上の宇宙

白衣を身にまとい真剣な表情で診察に当たるドクター。
病気になったらお世話になるが、普段はなかなか気軽に声を掛けられない。
健康のアレコレを診てもらうのだから、どうしても気になるその人柄。
そこでさまざまな質問を投げかけドクターの知られざる人柄に迫る。

【今週の医師】

越田吉一

内科医・50歳・北海道出身

Q1:先生のご趣味は何でしょうか?

A:囲碁と将棋ですね。どちらかと言うと、インドア派です。
囲碁は大学生で始めて、卒業してからハマっていきましたね。上海に来てからも、日本人の囲碁会になるべく参加するようにしています。日本にいた頃は、囲碁が好きな者同士集まって、夜の2時、3時まで打っているようなこともありましたね(笑)。

Q2:その道で尊敬する人や、憧れの人などはいますか?

A:囲碁は藤沢秀行と武宮正樹。将棋は羽生善治。
囲碁の棋風では陣地をとるよりも、厚く打つのが好きですね。小さな陣地を確実に得ていくのではなく、藤沢秀行のように厚みを築く打ち方や、武宮正樹のように中央を大きく囲む『宇宙流』という打ち方に憧れます。目の前の利益に飛びつかず、将来実を結ぶことを信じて種を蒔くような打ち方なので勝率は必ずしもよくありませんが、夢があるのでアマチュアには人気があるんですよ。

Q3:さて、先生の専門は消化器系とお聞きしましたが…

A:大学受験のときに、やりがいのある仕事は何かと考えて決めました。大学では消化器と血液疾患、悪性腫瘍について学び、内科と消化器、肝臓の認定医です。
 消化器を選んだ理由のひとつに、内視鏡を使いたかったというのがありますね。というのは、血液検査やX線検査などの画像から判断するのではなく、患部を直接目で見て必要なら組織の一部をつまんで顕微鏡で見る「生検」も行い、診断できるからです。その意味で、間違いのない病理診断を比較的行いやすい科だと思います。

Q4:では、先生が目指す理想の医療とは?

A:日本の医療は、保険制度や病院の選択肢の広さから見て、患者さんの立場から世界でもかなり良い方の医療だと思います。
それと、理想の医療に必須なのは患者さんと医者の信頼関係。最近、医療訴訟も多くなってきていますが、信頼関係が築けていないことが一番の原因だと思います。

Q5:最後に、もし生まれかわれるとしたら、何になりたいですか?

A:自分に才能があったら、囲碁の棋士になりたいです。将棋も好きですけど、囲碁の方が打ち方に無限の可能性があるといいますか…。例えば、現在のコンピューターの実力は、将棋ではアマチュア4段レベルですが、囲碁ではアマチュア初段以下です。端的に言うと、囲碁はそれだけ奥が深く、マニュアル化できない。だからこそ、おもしろいんです。

ドクターに聞く、今週の健康の秘訣
快食、快眠、快便です。加えて、適度な運動ができればベストなのですが、これがなかなか難しいんですよね。運動不足を自覚している人は、ウォーキングからでもいいので、まずは行動に移すことです。

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取材協力/ワールドリンク虹橋メディカルセンター
TEL:6242-0909×503

~上海ジャピオン4月28日・5月5日合併号より

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