考える男マートンと哲学の小部屋(トイレ)~当代芸術博物館

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旧発電所の博物館

私は考える男マートン。今日は、発電所をリノベートした博物館「当代芸術博物館」へ友人と来ている。彼女はいつも活気に溢れているのだが、今日は元気がないな。

何々? 最近、両親からの結婚しろコールがひどい? 女性は男性よりも、結婚の圧力が強いと聞くが、実際大変そうだな。何かアドバイスしてやりたいが…よし、小部屋(トイレ)へ行って考えてこよう。

月へ帰った姫の哲学

壁には茶色のパイプが並び、スタイリッシュな印象を受ける。しかし、このパイプの大きさ、形状…まるで竹のようだな。これだけの数があったら、ちょっとした竹林を作れるだろう。…ん? 待てよ、竹林、そして発電…竹取の翁が光る竹を見つけた、『竹取物語』か!

物語では、竹の中から発見されたかぐや姫が、求婚してきた貴公子たちに、結婚を報酬とした無理難題をふっかける。というのも、姫は結婚に全く興味がなく、貴公子が試練に失敗し、破談となると大喜びするほどで、この難題も、親の顔を立てるためだけに考え出したというのだ。結婚が当たり前とされた時代でも、自らの考えを貫き、独り身のまま月へ帰った姫の姿…友人も勇気づけられるに違いない。早速教えてやろう。ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。

~上海ジャピオン2013年11月1日号

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