水滸巡礼~108の足跡~蔡福(さいふく)

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鉄腕の処刑人
蔡福(さいふく)

ゆかりの地 福建省泉州市安溪県
あだ名 鉄臂膊
職業 死刑執行人
宿星 地平星

北京大名府(現河北省邯鄲市大名県出身)で、弟の蔡慶(さいけい)と牢役人を務めていた。同大名府の豪商・盧俊義(ろしゅんぎ)の破獄事件に手を貸したことを契機に梁山泊入り。入山後も罪人の処刑を担当。最期は方臘の戦いで討死する。

大名府処刑人兄弟の兄
盧俊義の救出に協力

蔡福は北京大名府(現河北省邯鄲市大名県)の牢役人。弟の蔡慶(さいけい)とともに、牢獄の管理と、罪人の処刑を担っていた。一太刀で首を斬り落とせるほどの腕力を備えていたことから「鉄臂膊(てつびはく)」と呼ばれ、恐れられた。

 

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安溪鉄観音は、中国10大銘茶の1つ。芳醇で味が濃く、後味の甘さが特徴。春に摘み取られる葉が美味とされる

ある日、大名府の牢獄に地元の大富豪・盧俊義(ろしゅんぎ)が送り込まれてくる。盧俊義は梁山泊に出かけて屋敷を留守にしていたところ、使用人の李固(りこ)に屋敷を乗っ取られたうえ、梁山泊への仲間入りを密告され、捕まったという。彼を預かった蔡福は、李固から金を渡され盧俊義を殺すよう命じられたが、梁山泊の柴進(さいしん)からは、彼を殺さぬよう倍額を握らされ、板挟みになる。さらに柴進がもし盧俊義を殺せば北京を滅ぼすと脅し、蔡福は盧俊義を死刑でなく流罪にするよう政府に働きかけ、結果として盧俊義は死刑を免れる。

流刑地への護送中、盧俊義は彼の召使い・燕青(えんせい)に救出されるも、大名府の役人に見つかり、再び牢に入れられる。今度ばかりは死刑を免れない。蔡福が盧俊義の首に刀を添えたその時、1本の矢が飛んできた。梁山泊が盧俊義救出のために、攻撃をしかけたのだった。彼らは大名府を攻め落としし、盧俊義を救出。蔡福は、もはや壊滅状態に陥った大名府に未練はなく、同じくその場にいた弟を連れ、入山することにした。

蔡福は山塞でも処刑を担当。戦にも参加したが、最期は方臘の戦いで、弟を残し戦死した。

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清水岩。安溪県北西部の蓬莱山中に位置する、中国の百仙人の1人、清水祖師を奉り、磨崖仏や楼閣建築が有名

蔡福が倒れた福建省泉州市安溪県は、福建省の南東側に位置する。〝中国の茶の都″と呼ばれ、ウーロン茶の1種、鉄観音の故郷として多くの観光客で賑わう。鉄臂膊と呼ばれた蔡福が眠ったこの地は、毎年春になると、鉄観音の清らかな香りに満ちていることだろう。

【アクセス】
①上海浦東/虹橋空港から空路にて泉州晋江空港まで約1時間半
②上海駅から泉州駅まで、高速列車で約7時間半、2等席307元。泉州東駅から安溪駅まで快速列車で約1時間、硬座4元

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~上海ジャピオン2014年6月27日号

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