水滸巡礼~108の足跡~時遷(じせん)

語り継がれる盗賊
時遷(じせん)

ゆかりの地 天津市薊県
あだ名 鼓上蚤
職業 機密伝令歩兵隊長
宿星 地賊星

山東省聊城市出身。
流れ者の盗賊で、
薊州(現・天津市薊県)で空き巣や
馬泥棒をしていたところ、
梁山泊の石秀(せきしゅう)らに出会う。
途中の祝家荘で鶏を盗んで捕まり、
祝家荘の戦いを引き起こす。
入山後は、機密伝令歩兵として活躍した。

財宝、情報、全てを盗む
神になった伝説の義賊

時遷は、現在の天津市最北部に位置する
薊州(けいしゅう)で、窃盗を生業としていた。
俊敏かつ柔軟な身のこなしで、
太鼓の上で飛び跳ねても、
まるで蚤が跳ねているかのように
音がしないことから、
「鼓上蚤(こじょうそう)」と呼ばれた。

独楽寺は唐、遼代を代表する寺院で、
〝天津十景〟のひとつに選ばれている。
院内の四天王壁画や観音像が有名

時遷は、自ら志願して梁山泊に入った、
数少ない人物のひとり。
情報収集の任に就いていたある日、
梁山泊討伐軍の呼延灼が攻め込んできた。
敵軍の、30騎を横1列に鎖でつないで攻撃する戦法
「連環馬」に、梁山泊軍はなす術もなく敗退。
そこで宋江は、連環馬を破る秘技を知る人物、
徐寧(じょねい)を仲間に加えようと企てる。
そして時遷に、徐寧の家宝である鎧を盗み出し、
おびき寄せるよう命じた。
かつて誰も盗めなかった鎧だが、
時遷は深夜、彼の屋敷に忍び込み、
寝室で鎧を発見する。
しかし、鎧は梁の上から吊るされた状態で
鈴が付けられ、少しでも動かすと
音が鳴る仕組みであった。
時遷は天井裏から鎧を入り込み、
梁から引き上げ、鈴が鳴ると
猫の鳴き真似をして誤魔化し、
見事に盗み出した。
結果、徐寧を引き込むことに成功する。
以降も、時遷は機密伝令として、
敵陣に潜入しては火を放ったり、
偽降服の計略に参加したりするなど、
持ち前の機敏さを活かし、
活躍を見せてゆく。
死後は、長江以南の地域で、
乞食・泥棒の神として
奉られるようになったという。

黄崖関長城。
薊県中心部から北30kmの場所に位置する。
明代の将軍、戚継光(せきけいこう)が再建させた

時遷が暮らした薊州。
現在は天津市に属し、
薊県と名を変えた。
盤山風景区や黄崖関長城など、
自然、歴史ロマン溢れる場所として有名だ。
時遷はここから、財宝ではなく、
天下を盗るのに貢献すべく、
梁山泊を目指したのだろうか。

アクセス
①上海虹橋空港/浦東空港から空路にて
天津濱海空港まで約2時間
② 上海虹橋駅から天津西駅まで高速列車で
約5時間、2等席515元。
天津駅から薊県駅まで普通列車で約2時間半、硬座8元

~上海ジャピオン2012年11月30日号

 

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP