ああ、幻の航天博物館
代わりにあった物とは?
まずは市内を南北に結ぶ8号線の南の終点「航天博物館」駅へ。
「ここには名前の通り、航天博物館って施設があるんじゃないの~?」
という期待を見事に裏切り、目に飛び込んだのはだだっ広い野原と工場(写真①)。
それもそのはず、実はこの博物館、完成時期は未定。
その正体は、2006年に建設計画が決まった国家クラスの航空宇宙博物館で、
総投資額は何と22億元を予定。
先走って駅に名前を付けてしまうのもうなずける。
ではほかに最寄りスポットはあるのか?
と、駅前に群がるタクシー運転手のお兄さんに尋ねると、
「召稼楼古鎮かな。20㌔先には海もあるよ!」との答え。
20㌔先はもはや最寄りではない――そう判断した取材班は、召稼楼古鎮へと向かった。
そこは3年間の修復工事を終え、今年5月にリニューアルオープンしたばかりの水郷。
門の横にはまだ工事の面影も(写真②)。
壁も白く真新しい感じだが、この古鎮、何とすでに800年以上の歴史を持つという。
中に入ると、川に沿って両岸に中国らしい長廊が続く(写真③)。
長廊沿いには食べ物を売る店が軒を連ね、中にはレトロな喫茶店も(写真④)。
美食街を抜けると、庭園や土産物通り(写真⑤)などが顔を見せ、なかなか見ごたえのある広さだ。
しかも入場料は、驚きの無料。
週末に古鎮の住民気分で、足を運んでみるのも良さそうだ。
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磯の香りに酔いしれて
ラブラブサイクリング
イメージカラーのショッキングピンクが印象的な、6号線の終点「港城路」駅。
〝港のヨ~コ、よ~こはま、よこすか~♪〟(作詞:阿木燿子・作曲:宇崎竜童)と、
思わず懐かしの歌を口ずさんでしまいたくなる駅名だ。
とはいえ、駅から見えるのは工場と、大型トラックの走る道路のみ(写真①)。
港はどこ…? と途方に暮れながらその辺にいたおじさんにオススメの場所を聞いてみると、
「それなら濱江森林公園だな。間違いない」と太鼓判を押してくれた。
港なのに森林? と疑問が頭をよぎったが、彼の笑顔を信じることにした。
大型トラックと並行して、広い道路をタクシーで約15分走ると、
おじさんイチオシの濱江森林公園へ到着。
中に入ると、マイナスイオンたっぷり! といった風情の森林が並ぶ(写真②)。
入って右手にはレンタサイクルが設置してあり、
4輪自転車に乗る和やかな家族連れの姿も(写真③)。
取材班もタンデム自転車を借り、散策を開始した。
しばらくは、雑木林の気持ちいい風景が続く(写真④)。
するとほのかに漂う潮の香り。
なおも漕ぎ進めると、港の象徴・テトラポッドが現れ、紛れもない海の風景が広がった(写真⑤)。
お世辞にもキレイとは言えないが、久しぶりに見る海の風景にはやはり感動する。
おじさんの笑顔を信じて良かった――心からそう思い、公園を後にする取材班だった。
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南の果てのその果てへ
日本の田舎へ帰省気分
1号線の終点「?庄」駅からさらに南へとつなぐ5号線。
「終点どころか、乗ったことすらない!」という人も多いのでは?
そのさらに南の果てに位置するのが、「閔行開発区」駅だ。
開発区という名前にふさわしく、駅からの景色は見渡す限りの工業地区(写真①)。
観光地らしきものがある気配は微塵もない。
さあ、どうするかと、またもや客引きのお兄さんに声をかける。
「見所はあるかだって? あそこのポスターにある韓湘水博園なんかいいんじゃないか」。
お兄さんの指差す先を見てみると、電信柱のポスターには、何やら中国風の建物が写っている。
ポスターを作るくらいだからこれは期待できると、迷うことなくタクシーに乗り込んだ。
タクシーで向かう道々からは、田んぼやひまわり畑が見え、日本の田舎さながらといった風情。
約10分で到着すると、そこは池と橋がちりばめられた水郷だった(写真②)。
入場料は30元と少し高めだが、樹齢1000年のクスノキ(写真③)があったり、
明清時代に建設された橋が30本あったりと、歴史ある文化を内包した、国家AAA級の観光名所なのだ。
ほかに、黄浦江開削を称えた「浦江魂」石(写真④)や、
日本でも有名な太公望(たいこうぼう)の石像もある。
帰りはバスで田園風景を見ながらゆっくりと帰宅。
ちょっとした帰省気分でリフレッシュできるスポットだった。
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上海初の地下鉄路線
北の果ての憩いの場所
その数字が示す通り、1995年に試験走行が開始された、上海最初の地下鉄路線。
その北の終点が「富錦路」駅だ。
駅に着くなりタクシーやホテルの客引きがわんさか押し寄せる(写真①)。
これはさぞかし見所が多いのだろうと、すでにお決まりの文句となった「どこか見所は?」
という問いを意気揚々と投げかけると、「こんなとこ何もないよ」とまさかの答え。
愕然とする取材班だが、それでも粘って聞いてみると、
「まあ、強いて言ったら美蘭湖かな」、「そうだな、美蘭湖だな」とポツリポツリ答えだした。
どうやらほかに選択肢はないようだ。
タクシーで向かうこと約10分。
到着するとすぐ、その名にたがわぬ美しい湖畔風景が目に飛び込んできた(写真②)。
そこでは多くの家族連れが、テントを張ってまどろんでいたり、
愛犬を湖辺で泳がせていたりと、休日を満喫していた(写真③④)。
ほとりには、北京五輪のマスコットらしきデザインのふわふわドームも。
料金は1人10元で、時間は何と無制限だ。
そして隣には、2009年1月にオープンした「美蘭湖アウトレット」(写真⑤)。
北欧の街並みを再現したオシャレな外観だが、
残念ながら取材当日は、ほぼ全ての店が開店休業状態だった。
なお、現在建設中の7号線の終点「美蘭湖」駅は、湖のすぐ側。
次回は、開通後の7号線に乗ってくるのも良いかもしれない。
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~上海ジャピオン9月24日号より