食道をゆく 第50回 棒棒鶏

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バンバンジー
棒棒鶏
~四川省楽山市~

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棒で叩くことで、鶏肉の柔らかさが増した棒棒鶏

バンバン叩いた鶏の肉
母親を思う息子の気持ち

 日本でもおなじみの「棒棒鶏(バンバンジー)」。
蒸した鶏肉に、日本ではゴマペースト、中国では唐辛子のソースをかけたものが定番だ。
この料理の誕生のきっかけを作ったのは、ある母親思いの息子だった――。
 時は今から100年以上遡る、清朝末期。
今の四川省楽山市にあたる嘉州で、1人の息子を持った夫婦が暮らしていた。
ある日、その夫婦の家にレストランを経営している友人が遊びに来ることになり、
妻は、鶏肉の和え物を作ることにした。
 妻が下ごしらえをしようとすると、鶏の脚をしばっていた縄がとてもキツく結ばれていたため、
なかなか解くことができず四苦八苦。
すると、横で木の棒を振り回しながら遊んでいた息子が、
「お母さんにこんな苦労をさせて、この鶏め!」と、棒で鶏をバシバシと叩いた。

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楽山市を代表する観光名所・楽山大仏は、唐代に造られた、世界最大の石仏

 そして出来上がった鶏肉の和え物を友人に出すと、こんな美味しい鶏肉は食べたことがないと絶賛。
そして是非自分のレストランのメニューに加えたいからレシピを教えてくれないかと詰め寄った。
 友人は自分のレストランに戻ると、早速レシピ通りに料理を作らせた。
ところが、どうしてもその時の美味さが再現できない。
そこで再び夫婦の妻に尋ねたところ、妻はあの時、息子が鶏を棒で叩いていたことを思い出した。
そこで料理人がその通りにやってみると、見事に再現できたのだ。
その後、さらに研究を重ねて改良し、その調理法から「棒棒鶏」と名づけられ、
レストランの名物料理として広まっていったという。
 楽山大仏を見がてら、本場の棒棒鶏を食べに行ってみよう。

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【アクセス】
①上海浦東空港から成都まで飛行機で約3時間
②上海駅から空調普通快速に乗り、成都駅まで。約35時間、硬座257元~。
成都駅から楽山駅まで、空調快速で約2時間、硬座22元~

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~上海ジャピオン12月10日号

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