リバーサイド物件
ごく普通の玄関の扉を開けると、靴箱の横に不思議なマシンが置いてあった。
これはもしや…。
そう、数年前に日本でも話題になった電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」だ。
唐社長は週に数回、このセグウェイで通勤しているという。
この家の持ち主である唐社長は、上海市内で富裕層向けの高級品販売店「煙波致爽閣」を経営している。
店内には、日本の南部鉄瓶や九谷焼、世界各国の葉巻やワインなどが並ぶ。
唐社長の家は、3LDKで180平方㍍。6年前に購入したときは、1平方㍍あたり1万元ほどだったという。
日本円で2500万円ほどになる計算だ。
蘇州河に面したリバーサイド物件で、眺めは抜群。
愛犬のゴールデンレトリバー「ラフィ」(オス・7歳)とともにベランダから景色を眺めるのが、日々の楽しみだ。
ソファでパイプタバコ
唐社長のお気に入りは、6畳ほどの書斎。
室内には様々な本が渦高く積まれ、その横には大画面のパソコンが置かれている。
アンティーク調の革張りソファが、これまた重厚な雰囲気を醸している。
書斎を出てリビングに出ると、テーブルの上に12本のパイプが専用のパイプ立てに並んでいるのを発見。
会社に置いてあるものも含めると、約20本ほど所有しているという。
唐社長はソファに深く腰掛けるとパイプの先にタバコの葉を詰め、ゆったりとした仕草で紫煙を燻らせた。
まだ30歳と若いが、堂々とした社長の風格を感じさせた。
煙波致爽閣
住: 常徳路788弄3―7号
電: 6258・5578
世界のお酒コレクション
―不動産会社「ベターハウス上海」社長
お買い得物件ゲット
「普陀区は東京で言うなら足立区とか江東区みたいなもの。庶民の街、下町って感じよね」
と語る陳社長。
そんな下町たる普陀区をあえて選んだのはワケがある。
「同じ内容のマンションは静安寺エリアなら、1平方㍍あたり10万元ぐらいするわ。
でもここなら、当時1万5000元ぐらいで買えてお得だったのよ」と説明する。
購入したのは今から約3年前。
今では1平方㍍あたり5万元まで値上がりしているという。
ちなみに部屋の広さは約160平方㍍で、購入時の金額は日本円で3500万円ほど。
ローンがあと5年残っているとか。
購入前に情報収集
陳社長は、中国の不動産投資や賃貸を行う「ベターハウス上海」を経営している女社長。
日本人の駐在員向けの物件なども多数扱っている。
不動産のプロだけあって、自身のマンション選びにもぬかりはなかった。
購入当時は「辺鄙で不便な場所」と友人からは言われたが、それもつかの間。
間もなく地下鉄が開通すると、マンションとホームが直結。
さらに、自宅近くの川に橋もかかり、マイカーでの移動もグンと楽になった。
すべて購入前の目論見通り。徹底した情報収集が奏功した。
充実の共有スペース
マンションの敷地内に入ると、街中の喧騒がウソのように静まり、ホッと安らぐ。
建物は緑に囲まれており、遊歩道では欧米人男性がジョギングしたり、
上品そうな中国人夫婦が散歩したりしていた。
普陀区内では指折りの高級物件というだけあって、建物内の共有スペースは極めて充実している。
プールやジムはもちろん、図書閲覧室やインターネットルーム、トランプや将棋が遊べる遊戯室、
さらにはバレーボールやバスケットボールができる体育館まで。
入居者は、これらの施設がすべて無料で使えるそうだ。
壁を泳ぐ熱帯魚
高層フロアに上がって陳社長の家の扉を開く。
広々としたリビングの壁の方に目をやると、備え付けの大型水槽にカラフルな熱帯魚が泳いでいた。
壁に張り付くように設置された水槽は、まるで絵画のよう。
レンタルしているのかと思いきや、旦那さんが趣味で管理をされているという。
続いて目に止まったのは、ブルーにライトアップされた酒瓶の並んだ棚。
これも旦那さんの趣味で、世界各国のお酒をコレクションしているそうだ。
お客さんがお土産に持ってきてくれることもある。
なかでも貴重なのは、年代物の茅台酒コレクション。
最も古い1995年産は、今では1本2万元以上の値打ちがあるそうだ。
寝室に愛の証
さらにリビングのテレビの横を見ると、何やら中国語の掛け軸のようなものが。
「この人知っている?」と言って陳社長が指差した箇所には、世界史の教科書にも載っているであろう、
中国現代史に登場する人物の名前が記されていた。
貴重な直筆の書だという。
最後に寝室を見せてもらうと、ベッドの脇には特大サイズに引き伸ばされた、
大判の結婚写真が飾られていた。
夫婦の愛があればこそ、美しい家もより一層華やぐのである。
ベターハウス上海
住: 北京西路1701号静安中華大厦603室
電: 5404・5318
北外灘で上海一望
一見すると、日本にもありそうな「ちょっと広い家」という感じの部屋。
持ち主の顧社長はワインの輸入販売を行っているほか、上海市内で高級日本料理店「寿司 なら本」を経営している。
室内に取り立てて豪華なものは見当たらないが、それでも随所に社長の家らしい雰囲気が漂う。
まずはその景色。
高層フロアのベランダからは、外灘と浦東が一望でき、上海を象徴するような景色を満喫できる。
5年前に購入した際は、1平方㍍あたり約3万元だった。
広さは168平方㍍というから、購入当時の価格は約504万元。
日本円で約7500万円という計算だ。
「北外灘」という立地の良さが、価格にも反映されているのだろう。
顧社長は仕事でワインを扱っているだけあり、自宅には大型のワインセラーが鎮座している。
中にはフランス産を中心に、世界中のワインが貯蔵されている。
全部で100本ほどあるそうだ。
さり気なくエビアン
取材中に「お水でもどうぞ」と言って顧社長から渡されたのは、ペットボトルの「エビアン」の水。
エビアンと言えば、中国では普通のペットボトルの水に比べ、数倍の値段がする高級ミネラルウォーター。
やはりワインのプロだけあって、飲み水にもこだわっているようだ。
ありがたく頂戴した。
フローリングはすべて竹製で、特にこれからの季節は気持ちが良さそうだ。
5歳と3歳の2人の子どもが大きくなったら、ここも手狭になるという。
その時は、顧社長はまた新しい物件を探し、引っ越しをするつもりだ。
寿司 寿司 なら本
住: 余姚路801号
電: 6230・0226
奥様専用ルーム
リビングに一歩足を踏み入れると、ゴージャスな巨大シャンデリアがお目見えした。
まばゆい光を放つその高級家具は、日本円で約300万円という。
投資会社を経営する李社長(仮名)の自宅は、淮海中路近くの中心部に位置する。
6年半前に購入した際は、総額1300万元だったという。
日本円で2億円近い「億ション」だ。広さは267平方㍍。
リビングの奥には、奥様専用のクローゼットルーム。
4畳半ほどのスペースには、まるで高級ブティックの一角のように整然と衣装が並んでいる。
さらに引き出しの中には、いくつもの腕時計がしまわれたウォッチケース。
社長夫人にふさわしい、高級品の数々が並んでいた。
社長の部屋は3畳間
一方の李社長の部屋はというと、なんとわずか3畳の和室。
極めて質素な造りで、奥様のクローゼットルームとは対照的だ。
一体何のためにこんな部屋を造ったかというと、「初心を忘れないため」という。
李社長は今から約20年前、日本に留学して経営学を学んだ。
その頃は月収わずか17万円で、都内の風呂なし4畳半の部屋で暮らしていたという。
その後中国でビジネスを興し一定の成功を収めたが、
今の自分があるのは、あの4畳半の時代があったからという思いがあるのだ。
李社長は現在、さらに豪華な新居の内装工事を進めている。
新居の広さは380平方㍍で、価格は総額5700万元。
2カ月後の完成が楽しみだ。
~上海ジャピオン5月20日号