2週連続引っ越しマニュアル 前編

帰国引っ越しの手引き 前編


帰国引っ越しは誰にでも訪れる大イベント!
今週から2週連続で、帰国引っ越しで〝やらくてはならない事〟をご紹介
帰国間際になってあたふたしないよう、引っ越し知識を今から蓄えておこう

-誰もがいつか 来るべき時に備えて-

 急な帰任が決まって2週間後には本帰国!?
 なんて状況も駐在員ならありえないコトではない。
 そうでなくても、海外に永住するつもりでなければ、誰しもいつか本帰国の時を迎えるはず。
 大量の荷物とともに、エネルギーもお金もガツンと消費するこのイベントをスマートにこなし、上海での愉しい思い出を胸に日本へ飛び立とう!

-プランニング上手が 引っ越し上手への第一歩-

 引っ越し業者への連絡や荷物の梱包、各機関への連絡など、帰国引っ越しはやることが山ほどある。
 これを上手くこなすポイントは、ずばりプランニング。
 上の表を参考に「いつ、どの作業をやるべきか」を把握し、引っ越しを楽しむポジティブな心意気で取り組むことが大切だ。
 引っ越しの日取りが決まったら、オススメしたいのが引っ越し業者に連絡すること。
 見積もりは無料なので声をかけても損はない。
 慣れない帰国引っ越しに関してアドバイスをもらっておこう。
 次ページからは、引っ越し業者を利用するときのポイントについて解説する。

-海外暮らしなら知っときたい!-

【帰国引っ越しの流れ早見表】

【引っ越し決定次第】

業者に連絡&見積もり

【約6カ月前】
ペットにマイクロチップ装着

【1カ月~1カ月半前】
大家に退居の連絡
学校に退学届提出
二胡の持ち帰り申請
船便の発送

【1~2週間前】
領事館に帰国届提出

【3~4日前】
航空便の発送

【3日前~前日】
退居の完了

【当日】
手荷物を持って出発


【帰国後】

荷物の受け取り
住民登録の届け出
公共機関への連絡 etc

※船便や航空便の発送から到着までの期日は、委託業者によって異なります

引越しはプロにお任せ!

【困ったときの 引っ越し業者】
 上海には、日本語の通じる国際引っ越し業者が10社近くある。選択肢が多くて喜ばしい反面、選ぶのに悩むところだ。韋駄天の日本人担当者によると、引っ越し業者選び成功の要は「複数の業者に見積もりを出してもらうこと」だという。その際はネットや電話、FAXで済まそうとせず、自宅に来て見積もってもらうことが大事だ。これは荷物の見積もり違いを防ぐため。実際に見てもらうことで、予定量を大幅に超える、税金で追加料金がかかるなどのトラブル回避につながる。また、信頼関係も築け、質問をしやすくなるというメリットもある。 そして、業者によって大きく異なってくるのが海外引っ越しならではのサービス。梱包から日本での開梱まで全て請け負う業者もあれば、梱包は自分で行い、その分多少割安な料金を打ち出している業者もある。このほか、荷物を一時的に預かってくれる倉庫サービスの有無、梱包材の質の違いなどがある。 また、海外引っ越しの荷物は国際輸送貨物となるため税関手続きが必要で、業者にパスポートを預けなくてはならない。韋駄天の場合、預ける日数は1~2日(土日除く)だが、中には1週間近くかかるところも。この期間は荷物搬出後、部屋を退去して飛び立つまでのホテル住まい期間に直結するところなので、必ず確認したい。また、航空便の輸送日数は3日~1週間、船便の場合約3週間が目安。

【保険をかけて 安心引っ越し】
輸送時の破損・故障に対する保証に関しては引っ越し料金に含まれていると思いがち。しかし、実は保険料別途となっていることが多い。「保険は品物ひとつひとつに対してかけ、船便、航空便で料金が異なります。船便は申請金額の1%、航空便は1・5%が目安です(韋駄天)」とのことだ。例えば「3000元のクリスタルグラス」と申請書に記入して保険をかけて船便で送る場合、業者に支払う保険料は1%の30元となる。万が一破損や紛失があった時は、申請書に記入した金額が最大保証金額として支払われる。
また、1箱毎に保険料をかける業者もある。

※右上記料金表は目安。荷物量、場所などによって料金は変動する。
※企業によって異なるが、会社からの補助の目安は夫婦ふたりで6?、さらにこどもひとりにつき2?。

【日本語の通じる引越し業者リスト】(50音順)

【アート引越しセンター上海事務所】
住所: 浦東大道814号滬東大楼611室
電話: 5070-0123

【韋駄天(上海保利佐川物流有限公司)】
住所: 虹口区東漢陽路309弄
名江七星城5号301室
電話: 6512-4830

【クラウンライン上海】
住所: 天山路641号上海慧谷科技園2号楼706室
電話: 6273-1119

【上海通運國際物流有限公司(上海日通)】
住所: 恕江路472号曹楊経貿大厦5階F室
電話: 5265-6266

【日新(上海高瀋国際物流有限公司)】
住所: 東大名路815号高陽大楼4楼G,F座
電話: 6595-0358

【福岡倉庫引越センター】
住所: 江蘇路121-123中西大厦6楼A座
電話: 5239-1775
携帯: 138-1610-1171(大城)

【丸協運輸貿易有限公司】
住所: 天山路641号慧谷白猫科技園1号楼202B室
電話: 5206-8062

【ヤマトロジスティクス】
住所: 仙霞路317号遠東国際広場B棟1610-1616室
電話: 6295-1530

-私の引っ越し体験記 (K主婦の場合)-


 「私の場合、あまりにも急な帰国引っ越しでした。主人は内示から3日後仕事で先に帰国。私はというと引っ越し業者に見積もりをお願いし、その2日後に慌しく搬出。もちろん転居先も決まっておらず、荷物の宛先は引っ越し業者の倉庫…。
 業者の方には、急な引っ越しに対応していただけて助かりました。が、中国人スタッフが梱包の際に、隙間があるからと靴と靴との間にタオルや化粧品を詰めるなど、ヒヤヒヤ。しかも船便搬出後、洗面所の物を丸ごと入れ忘れていたことが発覚! なんとか航空便に納まりましたが、危うくアウトでした。
 全部やってくださるとはいえ、大事な荷物ですから貴重品の管理や梱包の仕方など自分の目でチェックすることも大切だと感じました。」

身辺整理あれこれ



【領事館】
「帰国届」を忘れずに提出

「在留届」を提出した総領事館に「帰国届」を提出することもマスト事項のひとつ。
「帰国届」の取り寄せは、左記HPからダウンロードするだけ。
これに必要情報を書き込み、直接持参或いはFAXか郵送で「在留届係」宛に送るだけでOKだ。
また在外選挙登録を行っている人は、住民登録(転入届提出)をしてから4カ月以内に国政選挙がある場合には
「在外選挙人証」が必要になるので、帰国後も大切に保管しよう。


【住居】
1カ月前には報告を

まず帰国の1カ月前には退居の意思を大家に伝える。そして退居時には、大家と不動産会社、借主の3者が立ち合い、内装や光熱費などをチェックし、不備がなければ、保証金は未清算の光熱費等を差し引いて全額返還。これで退居完了となる。
ただし注意することとして、急な帰国で途中解約となる場合、違約金が発生するケースもある。金額は契約書の解約条項に記載されているので確認しておこう。

【学校】
転入先とマメに連絡

学校の退学手続きは、上海日本人学校や国際学校、現地校など、通学する学校によって若干手続きが異なる。
上海日本人学校の場合は、帰国が分かったら、まず学校に「退学届」を提出する。これを受けて学校側では、「在学証明書」、「教科書給与証明書」、「健康診断記録」などの発行手続きを進めていく。これらの書類は帰国後、日本の学校へ編入する際に必要なものばかり。なお、発行には通常2~3日かかる。
親にとっては帰国後の進路も気になるところ。公立小中学校に進む場合は、居住地域によって転入する学校が決まってくるので、その学校とコマメに連絡をとっておくことが大事だ。私立小中学校に進む場合は、個々に転入先を探して、帰国子女入試や一般入試などを受けて、入学することになる。こうした受験情報は、日本の私立学校に電話やメールで直接問い合わせるほか、こちらの学習塾でも入手できる。
 また海外子女教育振興財団では、帰国子女をサポートする機関紙も発行しているので、HP(www.joes.or.jp)から購読を申し込み、参考にするのもいいだろう。
そして忘れてならないのが、子どものメンタル面のケアだ。友達との別れや新しいクラスへの適応などは、当然大きなストレス。帰国前後は特に積極的にコミュニケーションをとる必要がある。


【銀行】
パスポートを持って窓口へ

銀行口座の解約も、個人でやらなければならない手続き。特に中国銀行や中国工商銀行といった中国系の銀行を利用しているなら、手続きも中国語のケースがほとんど。不安を覚える人も多いだろうが、基本的な流れはどの銀行も同じなので覚えておこう。
中国系の銀行の場合は、パスポートと通帳を持って窓口に行き、スタッフに「要銷戸(yao4 xiao1 hu4)」或いは「要注銷(yao4 zhu4 xiao1)」と伝えれば、手続きを進めてくれる。
さらに解約して戻ってきたお金を海外送金したい場合は、「海外匯款(hai3 wai4 hui4 kuan3)」と言い、送金先の口座番号を伝えればOKだ。ただしこの時、Zビザの方は会社から取得した「個人所得税税単」(納税証明書)の提出が必要になることがある。手数料は銀行によって異なる。
また、近年では日本の郵便局のATMでも「銀聯カード」を使って、こちらの人民元口座から日本円を引き出すこともできる。利用可能カードは、カード番号が6から始まっている銀聯カード。1日5000元相当まで日本円の現金引出しができ、手数料は0・5%~1・0%程度+110円相当の人民元となる。帰国後も出張ペースで上海に来るという人は、利息の良さなども考慮して、口座を残しておくというのもひとつの手だ。

Q&A 韋駄天さんに聞きました!


Q1.帰国時に新住所が決まってなくても大丈夫?

荷物預かりサービスのある会社なら、短期間であれば無料で預かりますよ。長期間の保管はご相談ください。

Q2.引越し後のダンボールって処分してもらえる?

引越し完了時点で開けられたダンボールは、その場で持ち帰ります。後日引取りの場合は、有料となる会社が多いようですね。

Q3.心づけや昼食の用意っているもの?

教育の行き届いている会社であれば、必要ないと思われます。弊社からお願いすることはないのでご安心下さい。

Q4.キャンセルは何日前までOK?

前日まで無料で承ります。なので、取りやめが決まったらできるだけ早めにお知らせ下さい。

Q5.お得な曜日や時期ってある?

基本的に平日の方が割安ですね。また、日本でも引っ越しの多い3~4月は多少割高となります。

~上海ジャピオン1月18日発行号より

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