めし屋のアイドル 第14回 照ノ谷

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カタコトがむしろ武器

 同僚の男性店員が、誇らしそうに言う。
「うちに来るお客さんの90%は、この子のこと『かわいい』って言うんだ」
 ちゃんこ専門店「照ノ谷」で働くゆきさんには、確かに独特の愛嬌がある。
取り立ててサービス業の経験が豊富なわけでも、専門的な訓練を受けたわけでもない。
もっと言えば、日本語だってそれほど上手くない。
なのにお客さんは彼女のことを可愛がる。
彼女には、会う人の心をほっと寛がせるような不思議な魅力があるようだ。
日本語不可の魅力

 「お客さんの中にはね、日本語話せない方がかえっていいなんていう人も結構いるんだよね」。
店主が言うには、カタコトであるがゆえに気楽に接することができて、楽しい場合もあるという。
 注文以外の会話は、中国語でないとなかなか通じない。
「?很漂亮(キレイだね)」「真的?(本当に)?」「真的(本当)!」。
こんな他愛ない会話のやりとりが、場の雰囲気を和ませるというわけだ。

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お客さんの表情観察

 もちろん、本業の店員としての仕事も忘れない。
仕事中は、名物の「ソップちゃんこ鍋」(78元)など料理を味わうお客さんの表情をよく観察し、
満足しているかどうか確かめる。
 「もっと日本語を勉強して、仕事も頑張りたい」というゆきさん。
日本語が話せなくても十分素敵だが、日本語ができたらさらに新たな魅力が見つかるかもしれない。

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~上海ジャピオン4月9日号より

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