オススメポイント
同書は3部作『茶人三部曲』の第2部です。私は大学1年生の時に同書に出会いました。当時、茅盾文学賞を受賞したことで話題になっており、書店でタイトルを見た瞬間に一目惚れしました。
読む際には、ぜひ登場人物のひとり、杭嘉和に注目してみてください。彼はとても賢く、囲碁で負けることもありませんでしたが、勝ちもしませんでした。誰と指しても必ず引き分けになるようにしていたのです。しかしある時、人を救うため自分の小指を賭けた勝負でわざと負けました。平和を愛し、自己犠牲も厭わない姿勢が、〝茶人〟とは何なのかを感じさせてくれます。
厳しい時代を強く生き抜く一家を描く
同書は20世紀半ば、動乱の時代を生きた茶葉農家・杭家族4世代に渡る物語です。当時の社会的現実を反映しながら、人々の出会いと別れ、すれ違いを通して、杭州の茶葉農家である杭家の人々が、時代の流れに翻弄されながらも力強く、また茶のように清廉で気高く生きる様を描きます。
中国茶葉産業がどのように苦難に打ち勝ち、発展してきたかを知ることができる、歴史的価値のある作品です。
~上海ジャピオン2014年6月13日号