オススメポイント
同書は、今年の5月から上映を開始したチャン・イーモウ(張芸謀)監督作『帰来』の原作です。世界的に著名な作家・厳歌苓が、自身の家族の歴史、特に祖父が人生で経験し、考えてきたことをもとに書き上げた作品で、2011年の長編小説ランキングでトップを飾りました。
物語の主人公である陸焉識は不安定な時代において、周囲の環境や考え方の急激な変化に驚きながら、自分の居場所を探していきます。シリアスの中にもユーモアが散りばめられ、目まぐるしく変化していく物語の展開に目が離せません。
動乱の時代を生きた男の人生を綴る
陸焉識は上海の裕福な家庭に生まれました。しかし義母によって、好きでもない女性と結婚させられ、逃げるようにアメリカへ留学。卒業後、上海に戻って大学教授になりますが、時代の荒波に呑まれ、家族と離れ離れになります。過酷な日々の中で、日増しに家族愛に目覚めていく彼が、20年後に解放され家に帰ると…。
激動の時代と、その中で変わっていく人々の様子を綴ります。
~上海ジャピオン2014年6月20日号