オススメポイント
同作は、今年の2月に出版された『時代を行く、陳丹燕の旅行文学』シリーズの第1作目です。著者・陳丹燕の旅は一風変わっています。アイルランドに行く時はジョイスの『ユリシーズ』を、セルビアならミロラド・バヴィチの『ハザール事典』をという具合に、その土地を舞台に描いた小説を読むことで、見知らぬ地域を訪れる際の地図や辞書の代わりとするのです。そうすることで彼女は、かつてそこで生活していた、偉大な作家たちの心の中の世界に触れていきます。
独自の感性で描き出される旅先の情景が、私たちを旅へと誘います。
陳丹燕が歩んだ20年の旅路を綴る
陳丹燕は著名作家として上海で活動していましたが、1991年に日本を訪れ、初めて中国以外の文化を体験。世界には、地域それぞれに異なる常識や文化があることを体感しました。その時受けた衝撃をきっかけに、その後の20年、彼女は世界各地を巡るようになったのです。ヒマラヤの日の出や、イタリアの崖の上の満天の星空など…。
〝中国初のバックパッカー〟といわれる作家が綴る、旅行文学です。
~上海ジャピオン2014年7月4日号