形のないものから形を作り出す面白さ
今、世界的な広がりを見せている手編みブーム。日本にもその波は押し寄せ、20年振りのブーム到来といわれている。なぜ今手編みなのか。
その秘密と手編みの魅力を探りに毛糸専門店「パピー」の編み物教室をのぞいてみた。
ゆとりを求める世界
「手編みブームのきっかけは01年にアメリカで起きた同時多発テロなんです」
思いがけない話をしてくれたのはパピー総経理・島原直樹さん。仕事に追われていた人たちが、テロをきっかけに家庭に立ち返るようになった。そこで、お茶と会話を楽しみながら編む「ニットカフェ」など、手編みを通じたゆとりある生活がアメリカで生まれ、世界中の共感を呼んでいるのだ。
一方、中国の手編み界にも別の変化が見られる。島原さんによれば、「生活に迫られた手編み」が「余暇を楽しむ手編み」に変わりつつあるそうだ。
「より柔らかく、よりきれいな色の毛糸が中国でも必要とされている」。そう感じ、05年3月、上海に毛糸専門店パピーをオープンさせた。
大体午後になると人が集まり始める店内。
基礎からしっかり教えてくれるので初心者でも安心。
思い思いに楽しんで
パピーがオープン当初から店内で開いているのが、無料編み物教室。カラフルな毛糸が並ぶ店の奥には、テーブルを囲み思い思いに編む客の姿がある。ひとりで編むより作業がはかどるのが不思議だ。
「手編みは何より暖かい。そして一本の糸という形のないものから、どんな形でも作れてしまう。」。店で手編みを教える、編み物暦30年の邵明娟先生は、そう魅力を語る。
暖かな雰囲気でやわらかい毛糸と遊ぶ、冬ならではの癒しの空間がここにある。
お店に並ぶ色とりどりの毛糸は見ているだけでも心が和む。
先生の手による作品は購入も可。
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パピーでは毛糸の購入者を対象にした無料教室のほか、オーダーメードも受け付けている。
問い合わせは6275―4024。
~上海ジャピオン1月12日発行号より