チャイナ地理塾:河北省

1.悲恋の万里の長城

 とっても長い万里の長城、あの東の起点はどこか知っているかな? そう、河北省山海関だ。
全長約6000㌔あると言われる万里の長城の建設には、数百万の農民が駆り出されたというよ。だけど、あまりに過酷な労働環境から亡くなってしまう人もたくさんいた。残された家族はさぞや悲しかっただろうね。そして、こういった悲劇からひとつの悲恋の物語が生まれたんだ。
主人公の名前は孟姜女。彼女の夫は万里の長城建設に徴用され、過酷な労働により命を落とした。これを知った彼女が、万里の長城のそばで3日3晩泣き続けたところ、突然城壁ががらがらと崩れ、何人もの遺体が現れた。孟姜女は必死に夫の姿を探し、ついに愛する夫の遺体を発見したんだ。彼女は夫の死を嘆いて海に身投げしてしまったんだけど、山海関の近くにはそんな彼女を偲ぶお寺が今でも建っているよ。

2.ウマいかも?ロバ餃子。
 日本ではあまりなじみのないロバ。でも、華北地方では遠い昔から人々の生活に密着していた動物なんだ。そんなロバの料理に出会えるのが河北省。この辺りに住む人にとって、ごく一般的な食材であると同時に、河北省の名物でもあるんだよ。
街を歩けば、あちこちにロバ餃子のお店や、〝?驢肉〟というロバステーキを掲げるレストランが目に入るよ。食されるロバのほとんどは老いたロバで、そのままでは匂いが強くて食用には適さなかったんだけど、調理の際に漢方薬を加えるなどの工夫を重ねることで、「上有龍肉、下有驢肉(天には龍の肉があり、地上にはロバの肉がある)」と言われるほどの肉に変身するんだ。

3.武術の街、孟村

  日本でも有名な太極拳。でも、八極拳って聞いたことあるかな? 実はこの八極拳、日本ではゲームや漫画でよく取り上げられている有名な中国武術のひとつなんだ。
発祥の地は河北省滄州の孟村。八極拳は元々イスラム教に伝えられていた武術で、突きや体当たりなど接近戦を得意とするんだ。達人なら一撃必殺の武術だと言われているよ。
今は開祖である呉鐘の子孫・呉連枝氏が普及に努めていて、世界の猛者が日々ここ孟村で練習に精を出しているよ。

河北省ってどんなとこ?

華北地方に位置し、首都北京、直轄市天津市に隣接、東側は渤海に面している。山林と平原が地域の大部分を占め、農業が盛んで各種農産物の生産高は全国でも上位。

【人口】6,897万人
【面積】18.73万km2
【省都】石家庄市
【民族の割合】漢族95.7% その他少数民族4.3%
【平均寿命】72.54歳
【都市部平均年収】10,304元(約154,560円)
【農村部平均年収】3,801元(約57,015円)

■次回予告■海南省

①三亜三珍ってアワビ・ナマコと何?
②リー族が結婚の時に配るものって?
③世界でも珍しい温泉ってどんなの?

~上海ジャピオン5月11日発行号より

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