リューダーグン
驢打滾
~新彊ウイグル自治区~
粘り気のある外皮と、甘くしっとりとした餡で作る驢打滾。口に入れると柔らかさが広がる
悲劇の囚われの姫
唯一口にした食べ物
「驢打滾」は、北京を代表する菓子の1つ。
黍(きび)で作った生地で餡を挟み、さらにきな粉をまぶして食べるものだ。
この驢打滾は今でこそ、北京を代表する菓子であるが、その起源は新彊にある。
では、どういう経緯で北京に伝わってきたのであろうか?
時は清朝、第3代皇帝・乾隆帝は、新彊イスラム教白山派の反乱を鎮めた。
彼は勝利の折に、ウイグル族長の妻(後の容妃)を奪い、妃にしようとした。
ところが、北京に連行されてから、女は全く食事をとらなかったという。
焦った乾隆帝は料理人達に、彼女が愛食する料理を作れる者には、昇給と賞金を約束。
しかし誰として、彼女の好物の料理を作れないので、
乾隆帝はかつて新彊に駐屯していた「白帽営」という集団に、彼女の郷土料理を作るよう命じた。
トルファン地区にある、古代西域で最大級規模の高昌古城
この時、彼女を追って、北京に潜んでいたのが夫の挨買提だ。
彼はこの知らせを聞き、好機だと思い白帽営に入った。
そして、彼の故郷で古くから伝わるもち米団子を届けたのだ。
団子を見た瞬間、彼女は夫が来たのだと分かり、目を輝かせ、元気に食べたという。
挨買提が団子を運んでいた時、宦官にこの菓子の名を聞かれたが、彼自身もこの菓子の正式名を知らない。
とっさに、この菓子が、驢馬がゴロゴロと転がって、砂が舞っている様に見えたので、「驢打滾」と答えた。
女が元気になって嬉しくなった乾隆帝は、毎日、この驢打滾を届けさせたという。
こうして驢打滾は有名になり、たちまち北京の民間にも広まったのだ。
妻への愛が籠ったこの驢打滾をぜひ本場で食べてみたい。
【アクセス】
①上海浦東空港からウルムチ地窩堡国際空港まで、空路で約6時間
②上海駅からウルムチ駅まで、快速列車で約45時間、2等席389元~
~上海ジャピオン5月20日号