食道をゆく 第65回 九転大腸

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ジウジュアンダーチャン

九転大腸

~山東省済南市~

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数段に及ぶ調理工程を経て初めて、味にバリエーションが出る九転大腸

「9」が好きな商売人

不老不死の薬の調理法!?

「九転大腸」は、山東料理の1つ。

作り方は複雑で、豚の大腸を一度湯通しして、切り分けた後、再び茹でる。

キツネ色になるまで揚げた後、油と砂糖を加えて炒め、

さらに各調味料を加えてとろ火で汁と煮込み、汁がソース状になって初めて完成する。

艶のある表面と、酸味、甘味、辛味、香味、塩辛味の効いた5種類の味が特色だ。

山東料理の宴会では必ずメニューに入る料理で、かつては「紅焼大腸」という一般的な名で呼ばれていた。

では一体いつから「九転大腸」と呼ばれるようになったのだろうか?

清朝後期、山東省済南に杜氏なる人物がいた。

済南に9つの店を持つ豪商である彼は、「9」の数字に異常なほどの執着を持ち、

所有する店名にも全て「9」を冠していた。

その1つである「九華楼」は、規模こそ大きくないものの、名料理人揃いで、

特に豚肉料理には大変なこだわりを持っていたという。

中でも代表的なのが、「紅焼大腸」だった。

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〝天下第一泉〟と呼ばれる?突泉。済南の72の泉の筆頭に数えられる

ある日、彼の店の宴会でこの紅焼大腸が振る舞われると、食した客から次々と舌鼓が鳴った。

すると、ある文学者があまりの美味に新たな料理名を付けようと提案。

店主の9への並々ならぬ執着心、そしてその複雑な調理法が、「九転仙丹」の名をもつ、

道教で古来より伝わる不老不死の霊薬の制作方法に似ているということ。

この2つの点から「九転大腸」と名付けた。

これ以来、店はますます繁盛し、「九転大腸」は、名実ともに有名になったという。

「9」という数字を意識しなら、ぜひ本場でこの料理の巧みな味を楽しもう。

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【アクセス】

①上海虹橋空港から済南遥墻国際空港まで、空路で約2時間半

②上海駅から済南駅まで、空調普通快速列車で約13時間、2等席110元~

~上海ジャピオン6月3日号

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