民族訪ねて三千里~第1回

 

海から遠く離れ甘い果物を生む大地


一口にウイグル族と言っても、その顔つきは様々だ。
皮膚の色や体型も、白色人種に近い者もいれば、
黄色人種に見える者もおり、混血が進んでいる。
彼らの暮らしを物語るのが、独自の「新疆時間」だ。
国内時差のないはずの中国で、
彼らは2時間遅れで働き、眠り、食事を摂るのが一般的。
町の人が身に付けている腕時計は、
そのほとんどがアクセサリーで、
細かい時間を気にして暮らしている人は少ないのだという。
ウイグル族には、
世界無形文化遺産に登録された「ムカーム」と呼ばれる伝統芸能がある。
「スナイ(笛)」、「ナグラ(太鼓)」、
「ギジャク(弦楽器)」などなど実に豊富な楽器で演奏される音楽に合わせ、
エキゾチックな舞を踊る総合芸術だ。
こうした芸能は生活の一部となり、
脈々と受け継がれている。

ウイグル族が暮らす、新疆ウイグル自治区の最大の都市はウルムチ。
地球上で最も海から遠い場所として知られている。
自治区内の大部分は、荒涼とした砂漠と草原だ。
中でも、
「一度入ったら出られない」という意味を持つタクラマカン砂漠は
「死の砂漠」として知られる、しかしウイグル族の間では、
この砂の上を歩くと病気にならないと言い伝えられている。
乾燥した土地柄は果物の栽培に適しており、
日本ではなかなかお目にかかれない「ハミ瓜」や「蟠桃(ばんとう)」が
日照時間の影響で甘く育つ。
今年は8月に予定されるラマダーンが明けると、
「ローズ」というお祭りで羊を使った料理がふるまわれる。
行くなら是非この時期を狙い、
おいしい食事とウイグル族と味わいたいものだ。

 

~上海ジャピオン7月15日号

 

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