民族訪ねて三千里~第8回

雷神を助けた兄妹 五色の刺繍〝壮錦〟
チワン族は、広西チワン族自治区を中心として
暮らしており、中国の少数民族の中で
最大の人口を有する。
春秋時代には〝百越(バイユエ)〟などと呼ばれたが、
およそ50年近く前に〝壮(チワン)〟
に改められたという。

チワン族の女性。
袖にラインの入ったシャツと、黒いワイドパンツが特徴

チワン族の始祖伝説に、こんな話がある。
昔、伏羲(ふくぎ)と女?(じょか)という
兄妹の父親が雷神を捕らえたが、
兄弟は雷神を不憫に思い水を与えた。
元気を取り戻し逃げ出した雷神がくれた種を植えると、
大きな瓢箪が実った。
その後大洪水が訪れ、
2人だけが瓢箪によって命を救われたという。
2人は結婚し、妹は肉の塊を生んだが、
その時風が吹き肉は粉々に割れ、
その1つひとつが人間になったのだった。
これと同様に、兄妹が出てくる始祖伝説は、
朝鮮族などいくつかの民族にも残る。
彼らの生活は、牛耕や灌漑などの農業技術や、
紡績、木工、鍛冶などの手工業によって支えられている。
その技術は非常に高く、
中でも五色の色で刺繍を施した〝壮錦〟
の美しさは群を抜いており、今でも多く生産されている。

2.〝水墨画の世界〟と称される桂林の風景は、
漓江から眺めるのが良い
3. 漓江の東に広がる七星公園。
パンダやラクダ岩が見られる

またチワン族の人々は
歌の上手な人が多いことでも知られ、
山歌『ナンフェイ』など、
7~8人が輪になって歌の掛け合いをする
〝歌垣〟ではその歌のうまさと
人数の多さとに圧倒される。
歌垣の歌詞は恋愛を題材にしたものが多く、
男女が声を張り上げ、
それぞれの地方独自の節回しを駆使しながら歌ってゆき、
交際を申し込むこともあるとか。
広西チワン族自治区には、
観光地として世界的に有名な桂林がある。
カルスト地形の山々が連なった幻想的な風景は、
死ぬまでに1度は見ておきたい。

~上海ジャピオン9月02日号

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP