水滸巡礼~108の足跡~馬麟(ばりん)

二刀流の笛奏者

馬麟 ばりん

ゆかりの地 江蘇省南京市江寧区
あだ名 鉄笛仙
職業 騎兵軍隊員
宿星 地明星

江蘇省南京市江寧区出身。
もとは街の放蕩者。
山賊の頭領として活躍していた頃、
宋江と出会い、梁山泊に加わる。
二振りの銅刀を得物とし、
笛の腕も買われていた。
入山後、造船作業に携わった後、
騎馬軍の一員として活躍する。

梁山泊に鳴り響く笛
二刀流で戦場を彩る
馬麟は、欧鵬(おうほう)率いる山賊、
黄門山3番目の頭領。
欧鵬が宋江に出会い、
梁山泊に加わることを決意すると、
彼に従い、
蒋敬(しょうけい)ら、
ほかの仲間とともに入山。
物語では、
彼に関して次のような詩が詠まれている。
「鉄笛一声山石烈
銅刀両口鬼神驚
馬麟形貌真奇怪
人道神仙再降生
(鉄笛をひと吹きすると山石は裂け、
双刀は鬼神のように凄まじく、
怪奇な風貌で、
仙人のような人間が舞い降りた)」。
この詩からもわかるように、
馬麟は笛と刀に長けた人物で、
人々から「鉄笛仙」と呼ばれていた。

南京市郊外の陽山碑林。
明朝第3代皇帝永楽帝が
初代皇帝朱元璋の功績を称え、
碑を建てようと試みた場所

もとは街のゴロツキだった馬麟。
その頃から、
「消魂無双笛」なる笛を吹き、
無頼ではあったが、
その腕は確かとされていた。
梁山泊に加わってからは、
一行が集まる宴の席で、
笛の腕前を披露するなど、
宴に華を添える役目も。
そして戦場では、
双刀を振り回す武人として活躍。
100人を相手にしても
引けを取らないと評され、
「祝家荘の戦い」では、
同じく二刀流の敵将、
扈三娘(こさんじょう)
との一騎打ちを繰り広げる。
4本の刀が飛び交い、
火花を散らす戦いは、
見る者が息を呑むほど壮絶だった。
最期は、杭州の戦いで、
敵軍の猛攻に最後まで抗う中、
敵将の投槍を受け、
軍人としての生涯を終えた。

湯山温泉は南北朝時代
(439~589年)に発見され、
1500年以上の歴史を誇る。
同じく南京市郊外に所在

馬麟が育った南京市江寧区。
街には長江水系の川が流れ、
「湯山温泉」など、
水資源が豊富な場所として知られる。
また、将軍山風景区、
方山風景区など山が多く、
江寧の山と川が入り混じった風景は、
李白や蘇軾など、
歴代の名詩人によって詠まれた。
馬麟の笛も、
この山々にこだましていたことだろう。

アクセス

上海駅から南京駅まで
高速列車で約1時間半、
2等席140元、1等席220元

~上海ジャピオン2012年11月2号

 

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