食道をゆく 第8回 刀削面

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ダオシャオミエン
刀削面
~山西省晋中市~

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刀削面は、コシのある絶妙な食感が癖になる

「削り落とす」麺
包丁の代用が始まり


 中国に来たら誰もが一度は口にするであろう、もちもちとした食感が魅力の刀削麺。
その名の通り、くの字型をした包丁で小麦粉の塊をシャシャッと削り落として鍋に飛ばして作られる。
麺に出来た薄い部分と厚い部分が、柔らかいながらも噛み応えのある独特の食感を生み出す。
「中国四大麺」にも数えられるこの刀削麺のルーツは、山西省にあった。
 時は14世紀、元の時代。当時の政権を握っていたモンゴル系のタタール族は、
漢人が謀反を起こすのを防ぐため、金属類を没収。
包丁は10家族に1個とし、交替で使用させた。
 ある日、今の山西省晋中市にいた1人の老婦人が、麺をこねて昼食の準備をし、
麺を切るために包丁を夫に取りに行かせたが、あいにく他の人が使用中だった。
仕方なく戻ろうとした夫は、途中で薄い鉄片につまづき、
何の気なしにその鉄片を持って帰宅したのだった。
家に着くと家族が食べるのを心待ちにしており、
焦った夫は手元の鉄片で麺を切ろうと言い出した。
こんな薄くて柔らかい鉄片では「切る」ことはできないと、
老婦人は練り粉を左手に持ち、右手に鉄片を持って「削り落とし」始めたのだった。
出来上がったものを食べるとすこぶる美味しく、
以降、麺類は包丁ではなく鉄片で切ることとなり、全国に広まった。

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孔子を祀った平遥文廟

 「麺のふるさと」とも言われる山西省には、刀削麺以外にも、
全部で300種類以上の麺があるという。
いずれも1杯5元程度。晋中市の観光名所である平遥古城で、
明朝時代の面影を残す町並みを散策しつつ、本場の刀削麺を堪能しに行こう。

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【アクセス】
①上海虹橋空港から太原武宿空港まで飛行機で約2時間。
列車に乗り換えて太原から平遥まで列車で約1時間半
②上海から太原まで直達特別快速列車で約13時間、快速列車で約20時間。
太原から平遥まで列車で約1時間半

~上海ジャピオン10月9日号より

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