民族訪ねて三千里~エヴェンキ族(鄂温克族)

山林で自給自足する民族
生活の支えは白樺の皮
エヴェンキ族は
北東アジア地域に住むツングース系民族の1つ。
名の「エヴェンキ」とは、
〝山林に住む人々〟を意味し、
文字通り
今日も黒龍江省や
内モンゴル自治区の山林地域に暮らす。
農耕、牧畜業を生業とし、
居住地の1つである黒龍江省の大興安嶺に、
約2万平方㍍の天然牧場を有する。
その中の森林や耕地での農作物や
乳製品の生産が今日でも盛んだ。
そんな彼らの生活の中で欠かせないのが
白樺の木の皮。
〝樺皮文化〟とまで称される
エヴェンキ族の暮らしには、
狩猟や農耕具から、
食器、住宅建材、衣服に至るまで、
生活のあらゆる場面で白樺の皮が登場する。
次の古い言い伝えの中にも白樺についての記述が。

1. 衣装の多くは、羊など動物の皮を使い、
既婚女性は銀の飾りも身につける
2. 白樺の木で作った帽子。
トナカイや星の輪郭などが彫られている
3. 雪深い奥地に住むため、
移動手段として馬ぞりは必須。
冬の狩猟時はスキー板も使う

「その昔、
あるエヴェンキ族の狩人が
白樺の森林に入り込んだ時、
美しい娘に出会った。
2人は惹かれ合い、
共に過ごすうちに結婚することになった。
双方の両親も相手を気に入り、
狩人が娘を娶る準備をしていたが、
ある時、
娘が森に住む悪魔にさらわれてしまった。
悪魔は川の中に逃げたが、
狩人は悪魔を追って川に飛び込んだ。
水の中では攻撃が不利だったが、
苦戦する狩人を見た娘は、
1隻の白樺の舟に変身。
狩人は舟の上で悪魔を倒し、
2人は無事結婚、幸福に暮らすこととなった。
それからというもの、
エヴェンキ族の民や漁師たちは水地に出る時は必ず、
白樺の舟に乗るようになった」
毎年旧暦5月に行われる収穫祭「米調魯節」。
この祭りでは、
白樺の皮の衣装を身に付けた舞踊が披露されるほか、
現地の作物を使った料理が盛大に振舞われる。
この地に赴き、
彼らの生活に深く根付く〝樺皮文化〟に触れてみたい。

~上海ジャピオン2012年7月20日号

 

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