食道をゆく 第37回 酸梅湯

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スワンメイタン
酸梅湯
~北京市~

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酸梅湯は1杯5元程度で、コンビニでも売っている。北京の前門大街には、九龍齋という老舗もある

皇宮御用達の健康ドリンク
暑気払いに最適! 

 とにかく蒸し暑い、上海の夏。
この季節になると、地元の人たちが続々と飲みだすものといえば、酸梅湯だ。
烏梅(うばい)、甘草(カンゾウ)、サンザシ、氷砂糖などを煮つめて作られている。
暑い夏に最適の、酸っぱ甘いこの味は、
今より1000年以上遡る、清の時代に開発されたものだった――。
 まずは酸梅湯が開発されるキッカケから説明する。
そもそも清朝を興した満州族は、酸っぱいものを好む傾向にあった。
狩猟民族である彼らは、油っぽい肉類と食べ合わせるために、
「酸湯子」というトウモロコシの粉から作った酸っぱい麺を発明したのだ。
 その後、酸湯子は北京にも持って来られたのだが、
彼らの身体も北京の気候や地理環境に合わせて変化してきた。
酸湯子はトウモロコシの粉を発酵させて作られるため糖分が高く、
過剰に摂取すると脂肪へと変わり、体重が増加してしまう。
そこで第6代皇帝である乾隆帝は、食べ合わせの研究をするよう命令を出したのだ。

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テレビドラマ『紅楼夢』の舞台となった北京大観園

 命を受けた料理人たちは知恵を搾り出し、
ついに酸湯子に替わる飲み物を開発した――これが酸梅湯だ。
すると乾隆帝はいたく気に入り、しょっちゅう飲むようになった。
こうして皇宮内でも、瞬く間に流行していったのだ。
中国を代表する古典小説『紅楼夢』にも、
主人公・賈宝玉が酸梅湯を好んで飲んだというエピソードがある。
というのも、作者の曹雪芹が、清朝の貴族出身だからだろう。
 古くは貴族から現在は庶民まで、人々の胃を支えてきた酸梅湯。
乾隆帝に負けじとぐびぐび飲んで、暑い夏を乗り切ろう。

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【アクセス】
①上海虹橋または浦東空港から北京首都空港まで飛行機で約2時間
②上海駅から「動車組」(新幹線)で北京まで約10時間、二等席327元~

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~上海ジャピオン8月6日号より

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