引っ越し特集◆上海市内編

2007年 引っ越し特集


どれだけの数を下見する? 上海で何回引っ越した?
引っ越しの何気ない疑問に迫る、特集記事の後編をお届けします
今回は「市内での引っ越し」について、ケースごとの実態を覗いてみましょう

アレンジはご随意に! 住まいを創るチャンス

「いいお住まいですね」と言われたら嬉しいけれど、そんな部屋に住むにはお金と手間ひまがかかるって? いやいや、ちょっとしたひらめきとこだわりがあれば、住まいはいくらでもアレンジできるもの。
 例えば、空調システムを取り換え、租界時代の「老房子」で現代的な生活を楽しむ人。ローカルマンションの内装をまるごとやり直し、低家賃で快適な空間を作る人。自分だけの住まいが欲しければ、選ぶだけではなく、〝創る〟ことも楽しみたい。
 そこで、逃したくないのが上海市内で引っ越すチャンスだ。上海の物件の大半は、家具・家電込みなので、引っ越し費用は日本よりずっと安い。そのうえ、一度上海に住んでからの引っ越しなら、日本から来る時に比べ、住まいについての自分なりの見方もはっきりしているはず。
 サービスアパートメント、ヴィラ(別荘)、ローカルマンション、老房子……。多彩な選択肢の中から、自分だけの住まいを探してみては?


メモと交渉サポーター 住まい探しのコツ

 新しい住まいを探すには、いくつか基本的なコツがある。とりあえず、以下のポイントは押さえておこう。
 まず、物件の見学時には、チェックした内容をきちんとメモすること。こうすれば、後からきちんと物件を比較できる。また、初めて大家と会うときは、押しの強い友人を連れて行き、値引き交渉のサポートを頼もう。人は、複数の方が強気になれるものなのだ。それから、引っ越しは不要な物を捨てるチャンス。きちんと物を整理し、身軽な暮らしを保ちたい。
 最後に、引っ越しが終わったら、その地区管轄の公安局派出所に、住所変更を忘れずに届け出ておこう。

引っ越しのケーススタディ


正しい引っ越しの仕方」なんて、実のところはっきりしない。個人の嗜好から生活の条件まで、細かい要素がからむ引っ越しには、自分なりのアレンジも不可欠だからだ。そこで、ここではケースごとの引っ越し事情を覗いてみよう。

とにかく数と直感! マリさんの引っ越し計画

 引っ越しを成功させるコツのひとつは、数を見ること。じゃあ、一体どのくらいの数の物件を見ればいいの? そんな疑問に、引っ越しには人一倍のこだわりを持つカールソン・マリさんは、ズバリこう答える。
 「最低50件ですね。数を重ねる中で、まずお気に入りのエリアを見つけるんです。次はその中で、お気に入りのマンションを絞り込む。最後は、個々の部屋を徹底的に見比べます」
 こりゃ、5件や10件でへとへとになっている場合じゃないようだ。しかしこれだけの数、時間がかかり過ぎちゃうのでは?
 「もちろん! 物件を絞ってからも、時間帯を変えて何度も見に行きますからね。昼は静かだけど夜はうるさい、なんて場合もありますし。なので、物件選びに半年はかけてます」
 確かに、そこまでやるなら半年はかかりそう。では、物件を見るポイントはどこ?
 「特に家族で引っ越すときは、夫には選ばせないこと(笑)。男の人って、窓からの景色だとか車庫だとか、とにかく外しか見ないんですよね。キッチン回りだとか、洗濯して干すまでの流れとかをチェックしなきゃ」
 思わず納得する人も多いのでは? そんなマリさんが、今の家を選んだ決め手は、見た瞬間にそこに住む自分がイメージできたこと。そんな直感にめぐり合うことが、結局一番大事なのかも知れない。
 「直感と言えば、昼間なのに、なぜか雰囲気が暗く感じる部屋もあります。何かが奥にいる気がして、玄関から入れなかった部屋もありました。そういう意味でも、直感は大切ですよね」
 うーん、最後に恐ろしい話がぽろり。ちなみに、この手の〝直感〟に自信のない人は、ペットや赤ちゃんを連れて下見に行くといいそうだ。数をこなせば、色々なものが〝見え〟てくるかも!?

カールソン・マリ
スウェーデン人の夫とふたりの息子の4人家族。
上海以前は香港に住んでいたが、もちろんその住まいに決める前にも、50件は下見したとのこと。

2年で5回!? 高本さんの引っ越し遍歴

 2年で5回の引っ越しをした女性がいる。某大学に留学していた高本若菜さんだ。
「生活をマンネリにしたくなかったんです。契約期間を守れば押金も返ってくるので、金銭的な負担はそんなに大きくはありませんでした」
なるほど。でも、マンネリが嫌だっただけでそこまで?
「実は付き合っていた彼氏と同棲したり、別れたりっていうのも、引っ越しの理由になってるんですけどね」
なんともイマドキの女子学生らしい理由。ただし、借りるのはいつもローカル物件だ。
「安くても内装がおしゃれな物件がたくさんあります。前の住人が、イケアで揃えたソファや棚などかわいい家具をほとんど置いて退去した、なんて物件もありました」
そんな、気ままに見える引っ越歴の中にも、実は1度だけ失敗したことがある。
「内装がかなりキレイな格安の物件を見つけたんです。でも、入居してからキッチンは使っちゃダメ、バスタブにお湯を張っちゃダメなど、いろいろ制限されたんです。大家さんが、自分以外の人に使われたくないそうで…」
そこで、契約書をよく見ると、なんと文末にほんの一文、そんな規約が記載されていた。
 そのほか、高本さんはひとり暮らしだけでなく、ルームシェアも経験済みだ。
「ひとりより大きくてきれいな家に住めますからね。イギリス人など、留学生友達と暮らしたこともありますよ」
外国人との暮らしはなにかと大変なのでは? との質問には、友達同士だとそんな心配は取り越し苦労だと笑った。
 海外生活ならではの暮らしを楽しむ高岡さんは最後に「引っ越し病はこれからも治らないでしょうね」と加えた。

高本若菜
某大学に留学中、2年で5回もの引っ越しを経験したツワモノ。
物件探しでは、とにかく大家さんとの人間関係が大事だと言い切る。

オフィスをめぐる 3つの落とし穴!

 上海ヒルズだ、プラザ66の第2ビルだ、と新しいオフィスビルの話題は尽きない上海。それってつまり、引っ越すオフィスも多いってこと。
 「入る人間に優しく、出る人間に冷たい――そんな引っ越しの〝常識〟を最も意識するのはオフィス引っ越しなんです」と話すのは、オフィス・プラニングを手がける泰洋商務の増田さん。聞けば、上海でのオフィス引っ越しには、意外な落とし穴がたくさんあるそうだ。
 「中でも忘れがちなのが〝現状復帰〟。つまり、オフィスを出る際は、内装を元の状態に戻す費用が必要になるんです。そのことまで考慮して、オフィスを選ぶ人は少ないですね」
 なるほど、オフィス家具やら内装費用やら、考えることが多いオフィス引っ越しでは、出る時のことまでは、なかなか頭がまわらないのかも知れない。特に、良い環境のオフィスビルほど現状復帰に費用がかかるというから、気が抜けない。
 「それから、建築面積と実質面積の違いも落とし穴。建築面積300平米のオフィスとうたっている物件でも、実際使える面積、つまり実質面積はその60%ということもあります」
 笑えないケースでは、建築面積が1・5倍の物件へ移ったのに、実質面積はほとんど変わらなかった、なんてことも! これも悲しい失敗談だ。だが、オフィス引っ越しには、もうひとつ大きな落とし穴があった。
 「やっぱり一番の落とし穴は時間です。例えば、オフィスの内装工事の前後には、消防局との手続きが必要。長ければ、これにそれぞれ2週間以上かかることもあるんです。このロスをどこまで短くできるかは、内装業者の腕にかかってます」
 人気物件はすぐにも押さえなきゃ手に入らない上海では、まさに時は金なり。物件は、押さえているだけで費用がかかるのだから、時間は確かに重要だ。
 オフィス引っ越しには、かくもたくさんの穴があるのだ。

上海泰洋商務有限公司
住所:中山西路179号
電話:5272-8866
副総経理の増田導彦さん(左)は、鄧雲海さん(右)と共に、
これまで多くのオフィス内装に携わってきた。

早速行動を開始しよう!


より無駄なくスムーズに

 スムーズな引っ越しに必要なのは、まず自分の希望を正確に伝えることだ。
 不動産屋では、エリアや価格帯だけでなく、物件のイメージ、周囲の環境など出来るだけ多くの希望を伝えたい。ただしその中でも、妥協点を伝えておくとこも忘れずに。
 引っ越し業者も同様。大切な持ち物の運送をお任せするのだから、壊れやすいもの、一緒に梱包してほしくないものなど、こちらの希望を細かく伝えよう。
 気持ちよく新たなスタートを切るために、充分にコミュニケーションをとっておくことを忘れずに!

~上海ジャピオン1月26日発行号より

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