秋は釣り 上海へら釣り倶楽部に潜入!

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 今回お邪魔するのは、「上海へら釣り倶楽部」の夏合宿。
合宿は、青浦区朱家角にある管理釣り場「峰港生態園」で行われている。
では早速、夏合宿の釣りの様子を…とその前に、へら釣り倶楽部の創設者であり、
会長でもある吉村さんに「へら釣りの魅力」を語ってもらった。

釣り歴30年の大ベテラン
底知れぬへら釣りの魅力

 「昔から『釣りはへらに始まりへらに終わる』と言うんですよ。
へら釣りの魅力は、何といっても入りやすくて奥深いところ。
追求すればするほど難しいんです。
だから止められないんですよね!」と、吉村さんは話す。
 「へら」とは「へらぶな」のこと。
日本では全国の川や池沼、湖などに生息しており、中国でもそれは同じ。
サイズは、小さいモノで5㌢、大きいモノで40㌢を超えるそう。
釣りの難易度は、最高峰とも言われている。
 そんなへら釣りに吉村さんが目覚めたのは小学生のころ。
それから30年間、釣り一筋の人生を送ってきたとか。
 「このへら釣り倶楽部を作ったのは2006年ですね。
上海着任当初、どうしても釣りをしたくて、上海駅の北側にある大寧霊石公園の釣り堀に行ったんです。
そこで現メンバーの椿本さんに会ったんですね。
同じ大阪出身で、さらに地元で利用していた釣り堀まで一緒だったから、お互いビックリ。
すぐに意気投合して、一緒にへら釣り倶楽部を結成しました。
それから毎週末釣りをするようになりましたね」と、当時を振り返る。
 その結果、今では会員が30人を越え、毎週末の釣りには、平均6~10人が参加。
年齢層は、小学生~70歳までと幅広い。

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魚をリリースする日本人
食用に持ち帰る中国人

 よく利用する釣り場は、市内にある管理釣り場や人工湖。
もちろん地元のお客さんもいっぱいいるため、ローカルルールは無視できないという。
 「川魚をあまり食べない日本人は、釣った魚を再放流する『キャッチ・アンド・リリース』が一般的。
ですが、中国では川魚も食用になるため、釣ったら持ち帰るのが基本なんです」と、文化の違いを指摘する。
また中国では、1回釣り上げられた魚は、痛んでしまうと考えられているほか、
人が釣った魚は釣りたくないというのもあるのだそう。
 というわけで、釣り倶楽部では、日本と同様に魚をリリースするので、
釣りを始める前に釣り堀の管理人と交渉し、リリースの承諾を得てから釣りを行う。

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峰港生態園の釣り堀に挑む
1・3㌶に生息するへらぶな

 今回、へら釣り倶楽部の面々が夏合宿で挑むのは、総面積約1・3㌶の「峰港生態園」の釣り堀。
彼らを惹きつけて止まない「へら釣り」とはいかなるものか。
それを検証すべく、今回の釣り合宿の舞台となっている「峰港生態園」へ向かった。

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1泊2日の夏合宿
へらぶな以外は魅力なし

 今年のへら釣り倶楽部の夏合宿は、8月28日(土)・29日(日)の2日間。
今回編集部は、2日目から始まる第3班に潜入し、夏合宿に合流した(写真①)。
 朝8時。現地に着くと、すでに桟橋には、釣りを楽しむ人がチラホラ。
その時、「キター」という大きな声が釣り堀中に響き渡った! 
カメラを構え駆け寄ると、なにやらすごい引き(写真②)。
今まで見たことのない、へらぶなとはどんな大魚かと、期待に心を躍らせる。
大魚は、バシャバシャーっと水中で大暴れする。
桟橋に引き寄せて、最後は網でひとすくいして捕獲成功! 
釣れた大魚はソウギョ(草魚)と呼ばれる淡水魚だった。
両手に溢れんばかりの大物を手にハイポーズ(写真③)。
 「イヤイヤイヤ~、会長そんなん釣ってちゃダメでしょ!」と、横からちゃちゃが入った。
ムードメーカーの藤内さんだ。
どうやら、へら釣り倶楽部では、へらぶな以外の魚はNGのよう。
さすが、「へら」釣り倶楽部だ!

朝4時から釣りスタート
本命ゲットで名誉挽回

 聞くと、朝の4時から釣っているという釣り倶楽部の面々。
なんと、夜釣りや朝釣りも楽しむために、
宿は、釣り堀の脇に並ぶコテージ(150元/泊)を取っている(写真④)。
 「オレさ、全然4時に起きる気なかったんだけど、
『うどん(餌)ができたよ』って電話かかってくるんだもん。起きるしかないよね~」
と、冗談交じりに話すのは、会長の吉村さんと一緒にこの倶楽部を立ち上げた椿本さん(写真⑤)。
椿本さんによると、へらぶなの餌は、関西と関東で違うのだという。
「関東では、グルテンなどを水で練り合わせた練餌を使うんだけど、
関西はうどんと言われる餌で釣るのが基本。
原料は、わらびもちの粉で、これにへらが好きなペレットを塗して釣るんだよ」
と言って、完成品を見せてくれた(写真⑥)。
 と、話し込んでいる横で、同じうどんを使って釣っていた吉村さんがへらをゲット! 
大本命のへらぶなを手に、名誉挽回の1枚を写真に収めた(写真⑦)。

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上海で釣りにはまる
釣具は上海でも購入可能

 日は照っていないが、紫外線が強いせいか、頭皮がビリビリしてくるお昼前。
そんな中、いち早くパラソルをセットした人がいた。
ちゃっかり者の伊藤さんだ。
 伊藤さんはへら釣り歴約1年。
上海に来てから釣りを始めたので、釣具も上海の釣り具屋街で全て仕入れたという。
「僕が使っている釣具は高くないよ。1本400元ぐらいかな。
手持ちは、12・15・18尺(1尺は30・3㌢)の3本だね」
と、話していると、グググと糸を引く感触が!
 一瞬の隙を突いて釣り上げた魚はへらぶな! ではない様子。
魚が餌を飲み込んでしまったために、針外しに悪戦苦闘する可愛らしい伊藤さんでした(写真⑧)。

へらぶなはサイズも大切
昼食も釣り堀内の食堂で

 その横で、正真正銘のへらぶなをヒットさせた藤内さん。
釣り上げる前に「わっ、ちいせっ!」(写真⑨)と言って、水から上げずにさっさとリリース。
へらぶなというだけでなく、そのサイズも大切みたいだ。
 メンバーに次々と獲物が掛かる中、夏合宿参加者の中で最も高齢の川越さん(62歳)の竿にも、
これまた大きなヒットが来た! 
またまた、ソウギョか!? と、ワクワクしていると、やっぱりソウギョ! 
釣った本人はやや不満そうだが、とりあえず記念に1枚ハイポーズ(写真⑩)。
 そうこうしているうちに、よい時間になり、午前の部はここで一旦終了。
みんなは釣り堀のレストランへと向かうのだった。

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へら釣りバトル開始
何歳からでもはまれる釣り

 夏合宿も残りあと半日となった午後、全員参加の釣りバトルを開催することに。
ルールは簡単。1時間で、へらぶなをより多く釣った人が勝者となる。
 各々が午前中と同じ持ち場に付いたところで試合開始。
開始5分で最初にヒットさせたのは、この合宿で唯一の女性釣り師・室岡さん(写真⑪)。
馴れた手つきで釣り上げた。
「私は7年前、日本本社の企画で、ニジマス釣りに行ったのがきっかけなの。
釣りは何歳になってからでもはまれるわよ」と、笑顔で話す。

思わぬアクシデント発生!
ウキ2本折れて損失1万円

 室岡さんの1匹を皮切りに、バトルは一層白熱(写真⑫⑬⑭)。
あちこちで、「キター」という声が上がる中、「ア~~~(泣)」という、大きな嘆き声が響いた。
 急いで駆けつけてみると、ポキンと折れたウキを片手に呆然とする藤内さんの姿が(写真⑮)。
「ウキは高いんだよ~。しかも今日2本目だし(涙)」というそのウキは、1本5000円。
ということは、単純計算で本日1万円の損失だ。
これはイタイ!

みんな大好き陳さんの池
面白いほどに釣れるへら

 あっという間に1時間経ち、試合は終了。
結果は、吉村さんが2匹を釣り上げ1位に輝いた。
 日も落ち、お腹も空いたところで最後の夕食を取る御一行(写真⑯)。
そこで皆さんに、今までのベストスコアを聞いてみると、
「1日100匹かな~」とすごい数が飛び出した。
浦東の通称「陳さんの池」と呼ばれる釣り堀では、大量のへらぶなが釣れるのだとか。
 「次は陳さんの池に取材に来てくれ!」と見送られ、取材班は帰路についたのだった。

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~上海ジャピオン9月10日号より

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