自慢の自転車大会

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元上海代表チーム

 自慢の自転車を探すなら、自転車愛好家に尋ねるのが一番。
ということで、日本人自転車サークル「上海ちゃりんこ倶楽部」のメンバーに聞いてみた。
すると、「晴れた日の毎週水曜夜、世紀公園に行ってごらん。愛好家が公園の周りを走っているよ」
という有力な情報をゲット。
早速夜の浦東へ向かった。
 走っていたのは、レース用の競技用自転車を乗りこなす人たち。
中でも目立っていたのは、まっ白の自転車をオートバイのようなスピードで乗りこなしていた崔さん(24歳)。
最高速度は、時速40㌔にも達する。
崔さんは12歳から競技用自転車にのめりこみ、上海体育技術学院を卒業。
上海代表チームに選ばれた経験もある。
 そんな彼は自身の自転車を指差し、
「これは練習用だから7万元ぐらいだけど、本番用の自転車は10万元ぐらいするよ」とサラリという。
上海なら10万元あれば、自動車が買える金額だ。

わずか7㌔の軽さ

 とはいえ、崔さんはこれを自腹で買ったわけではない。
じゃあ親が買ったのかと思ったら、そうでもない。
実は彼は「マディソン」という自転車競技で中国1位に輝いたことがあり、
自転車メーカーがスポンサーとして無料で車両を提供してくれるのだという。
 この自転車の最大の特徴は、その軽さ。
通常の競技用自転車が10㌔以上するのに対し、これは7㌔弱。
その分、スピードも出やすい。
さらに、練習時には心拍数や速度、走行距離などを計測器で測定し、最適なペースを保つことができる。
 「これからも、この自転車でアマチュアレースに出続けたい」。
愛車とともに、崔さんは将来の展望を語った。

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バスよりも速い!

 世紀公園の近くで発見したのは、折りたたみでもないのに車輪が異様に小さい小型自転車。
車輪のサイズは、わずか14インチ(直径約35㌢)だ。
 持ち主の李さん(仮名・27歳)は、毎日これに乗って勤務先の病院まで出勤しているという。
「これだと、バスに乗っていくより早いんだ。
職場までバスだと25分ぐらいかかるけど、自転車なら15分ぐらいで着ける。
いつもバスを追い越していくよ。健康にもいいんじゃないかな」
と嬉しそうに語る。
 自転車の重さは9㌔。
同じサイズの折りたたみ式のものより、2~3㌔は軽いそうだ。
「万博が始まるまでは、地下鉄にも載せることができたんだ。
折り畳み式のものより軽いから、持ち運びもラクだよ。街中の階段や歩道橋も、片手で運べるんだ」。
小型自転車ならではの軽さと小回りの良さが自慢のようだ。

上海は自転車向き

 買ったのは、浦西にある自転車専門店「Bike Home」。
2年前に1700元で購入して以来、外出するときはいつも足代わりに乗っているそうだ。
「上海の街は平地が多いからね。ロサンゼルスみたいに坂の多い街だとこうはいかないよ。
上海は、自転車を乗るにはいい街だと思うよ」と、上海の魅力を語ってくれた。
 李さんはこのほかにも、マンテンバイクとロードレース用バイクを持っているという。
「自転車は身体も鍛えられるし、旅行にも行ける。自転車つながりの友達もできるよ。
友達同士で自転車について語っていると、時間が経つのも忘れてしまうよ」
と、自転車の趣味を満喫している様子だった。

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中国横断4750㌔

 中山公園近くの自転車店「TREK」の店長からは、
「上海からチベットのラサまで自転車で行った奴を知っているよ」との情報を入手。
早速連絡を取ってみた。
 上海人の陳さん(仮名・34歳)は、現在チベットでゲストハウスを運営している。
自転車を使ってラサに出発したのは2005年5月。
仲間とともにまずは2550㌔離れた四川省の省都・成都まで約1カ月かけて進み、
そこからさらに2200㌔の道のりを経て、ラサに到着したそうだ。
「内陸の方は気候が厳しい場面も多くて、1日で炎天下と雨、雪、みぞれを経験したこともありました」
と振り返る。

手作りの荷台

 そんな厳しい自転車の旅には寝袋やテント、自炊の道具など、様々な荷物が必要になる。
リュックに5㌔、自転車の荷台に30㌔という膨大な荷物を運ぶだめ、
彼は自転車の荷台を改造し、雨よけのカバーをかぶせることにしたそうだ。
 「自転車旅行は苦労も多いけど、いろんなトラブルを乗り越えるのも醍醐味なんだ」。
長い道中ではブレーキが擦り切れ、交換しながらの旅行となった。
そんなときのために、荷台には応急修理用の工具も積んでいたそうだ。
苦労をともに分かち合ってきたこの自転車は、陳さんにとってまさに「戦友」とも言える存在だろう。
「同じ自転車に乗って、今度はラサから雲南や広東をまわって、上海に戻ろうと思ってる。
この秋には出発する予定です」とのこと。
無事、上海に帰ってくることを祈るばかりだ。

※「TREK」
長寧路1435号(×遵義路)
TEL: 5206-1767

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60年の自転車ライフ

 「82歳の自転車マニアのおじいちゃんがいる」と聞きつけ、その人物の自宅へと向かった。
 老房子風の古民家のドアを開くと、そこはもはや自転車ショップ。
壁にはペダルやタイヤなどの部品がびっしりと吊るされており、
部屋の奥には新旧さまざまな自転車が何台も折り重なって置かれていた。
持ち主の陳徳福さん(82歳)は、20代の頃から自転車が趣味だという。
「自転車に乗るのがとにかく楽しくてね。少しずつ買い足したり改造したりしてきたんだよ。
倉庫にあるのも入れると、全部で50台はあるよ」と、マニアぶりを見せつける。
おかげで、室内の大部分を自転車が埋め尽くす中で生活を送っている。
 そんな自転車おじいちゃんの自慢の1台は、20年間以上乗り続けているという中国の国産自転車。
「永久」というメーカーのもので、その名にふさわしい耐久性だ。

入念な手入れ

 とはいえ、これだけ長持ちするのは、やはり陳さんの入念な手入れがあればこそ。
ボディー部分は当時のままだが、タイヤやサドル、ギアなど、
大半の部品はアメリカ製や日本製などのものに改造しているという。
「最近もこれに乗って若い人たちと一緒に、上海の郊外を走って来たんだよ。
全部で200㌔ぐらいあったんじゃないかな」という。
20年間の走行距離は、計り知れないものがある。
 今風のマウンテンバイクやレース用自転車も持っているが、
やはり長年乗り続けたこの自転車が乗りやすいのだろう。
若者に負けない健脚で、これからも元気に自転車生活を送って欲しい。

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漕ぐと感じる一体感

 「ピープルズバイク」という自転車ファンサイトを運営ししているカナダ人のタイラーさん(23歳)
が愛用しているのは、「固定ギア自転車」と呼ばれるもの。
普通の自転車と異なり、ハンドルにブレーキがついていないのが、最大の特徴だ。
 固定ギア自転車は、車輪とペダルが完全に連動している。
普通の自転車はペダルを止めても車輪が空回りするが、
固定ギア自転車はペダルを止めれば、車輪も完全に止まる仕組みになっている。
 「僕は18歳の頃から固定ギアを愛用してるんだ。漕いでいると、自転車との一体感を感じられるんだよ」
と語るタイラーさん。
地下鉄やバスにはほとんど乗らず、市内の移動はほとんどこの自転車だそうだ。

ペダルでブレーキ

 ブレーキなしでどうやって車輪をとめるかというと、ペダルを逆回転させて車輪の動きを制御するのだ。
タイラーさんに実演してもらうと、全身の体重を両足にかけて、
ザザーっという強い摩擦音を出しながら停止させた。
「慣れるまでは少し練習が必要だけど、慣れるとこれも楽しいよ」と笑顔を見せる。
 上海の街は、自転車専用レーンが設置されている場合が多くて走りやすいという。
「一緒にいないと、寂しいんだ」と語るタイラーさんにとって、
自転車はもはや恋人のような存在なのかもしれない。

※タイラーさんのサイト
「人民自行車」
www.peoplesbike.com

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~上海ジャピオン10月22日号より

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