水郷の夜を味わおう①

水郷の夜を味わおう


水路には赤いランタンの灯りが映り、緑の柳がライトアップされる――。
実は夜こそが、水郷が最も魅力的な姿を見せる瞬間だ。
水郷の定番・周荘を舞台に、そんな夜の魅力をジャピオン取材班が探る!

■夜景に水上表演 水郷の夜は美しい

 周荘、同里、西塘、朱家角……。上海近郊には、水郷と呼ばれる水辺の町が多い。その昔ながらの情緒溢れる町並みは、上海からの日帰り観光先として人気を集めている。だが、実は水郷には、一泊してこそ味わえる魅力がたくさんあるのだ。
 日帰りで楽しめる観光地にわざわざ泊まるのは、少々面倒に感じる人も多いかも知れない。しかし、だからこそ穴場的な楽しみがあるはず。すっかり暖かくなった今は、一泊旅行にもいい機会。そこで取材班が、泊まりがけの取材を敢行。水郷の夜の魅力をリポートする。

 
 向かう先は、「江南第一の水郷」とも呼ばれる周荘。上海市中心部から約60キロ西、バスなら1時間半ほどの距離にある。観光エリアは数百メートル四方と簡単に歩いて回れる広さで、水路にかかる橋々は中国伝統の「水郷画」の題材としても有名だ。
 利用した交通は、上海体育館から出る旅行バス。毎日朝から昼にかけて3本出ており、水郷入場料を含め往復140元と値段もお得だ(入場チケットのみなら100元)。周荘に着くと、ガイドが観光案内までしてくれる。だが、今回の目的は夜の観光。ガイドの話もそこそこに、旅行団体からは離脱した。

 まず訪ねたのは、周荘旅遊股?有限公司のオフィス。策劃部副経理の費幸林さんが、周荘の夜の魅力を話してくれた。
 「とにかく夜景を観ないと来た意味がありません。ライトアップされる水路をぜひご覧下さい。また、3月中旬から12月までの間には、水路に浮かべた舟で戯曲を演じる『水上巡遊情景表演』が観られます。古戯台でも夜の演目がありますよ」
 夜の周荘に退屈する心配はなさそうだ。オフィスを出る頃には、日も傾き始めていた。

費さんは、周荘の公式ガイドブックも作成している。
公式サイトはwww.zhouzhuang.com

幻想的な灯りと静けさ


■夕暮れ時に眺める ノスタルジックな橋

 夕方になると、通りから観光客がすっかり少なくなった。16時半には、上海へ戻る旅行バスの最終便も出てしまうのだ。その後は、カメラや地図を手にした団体ツアー客が姿を消すので、町は急に落ち着いた雰囲気を見せ始める。
 周荘の景色をゆっくり観て歩くなら、どうやらこの時分からでも良さそうだ。観光客が少ないせいか、みやげ物を売る客引きの声も、昼のテーマパーク的な騒々しさから、どこか牧歌的なものに変わっている。
 そんな町の最大の見所と言えば、水路にかかった橋だろう。例えば、1984年周荘を世界的に有名にした、中国系アメリカ人画家・陳逸飛による油絵「故郷的回憶」の題材となったのは、双橋の景色だ。このほか、太平橋、富安橋など、水路にかかる古い石橋は、人もまばらな夕暮れの時に眺めれば、一層ノスタルジックな印象を受ける。
 費さんによれば、現在周荘には、こうした橋の絵を描いて通りで売っている画家たちが20人ほど住んでいる。そのひとり、安徽省出身の劉國龍さん(27)に、町の魅力を訊ねてみた。
 「周荘は、やっぱり橋を観るところだ。水郷画家を目指す人は、みんな橋を描きにここまで来たがるんだよ。芸術学校の生徒たちも写生によく来ているしね。夕方以降は町も静かになるから、雰囲気も出てくるよ」
 そんな劉さんは周荘に移り住んで4年。観光エリア内に、妻・子どもと3人で住む部屋を、1年3000元で借りている。ひとり暮らしなら1カ月100元から部屋を探せるというから、住んでみるのも悪くないかな、なんて気にもなってくる。
 さて、夕日が沈む頃には、通りに灯りがともり始める。ちなみに、全福講寺や周荘博物館などの主な観光スポットは、夜には閉まるので、興味のある人は明るいうちに観ておこう。

■ランタンの灯りの中で 伝統の食と芸能を

 日が落ちると、水郷はあっという間に夜の姿に変わった。壮観なのは、水路沿いに連なる、どこか懐かしさを感じさせる赤いランタンの灯り。ひっそりした暗がりの中、その赤とライトアップされた柳の緑色の光が、幻想的に浮かぶ。そんな夜景を眺めるために乗ったのが、水路をぐるりと周遊する観光舟。最大8人乗りで、1艘80元。21時頃まで営業しているので、夜の観光にうってつけだ。
 夕食には、水路沿いのレストランのひとつに入った。みやげ物や小吃の店は、暗くなると閉まるところも少なくないが、飲食店は20~21時頃までやっているので安心。どの店でも、万三蹄(柔らかく煮込んだ豚のすね肉)や、三味圓(三種の団子が入ったスープ)など、周荘の特色料理が味わえる。レストランの女将さんは、「夜の観光客は多くないけど、それでもここ数年増えてきてる。春から秋には、夜の出し物もあるしね」と教えてくれた。客の多い時期は、店内で歌と語りの伝統芸能「評弾」を披露する店もあるそうだ。
 こうした夜の出し物は3月中旬から始まるため、残念ながら取材時は観ることができなかった。だが、シーズン中には、水上の戯曲「水上巡遊情景表演」や、古戯台で演じられる伝統芸能「昆曲」が、毎晩18時半~20時に無料で楽しめる(古戯台の演目は、昼は9時~15時半の間にも演じられる。ちなみに古戯台の鑑賞料金は、周荘の入場チケットに含まれている)。ランタンの灯りの中で味わう伝統芸能、これこそ、周荘の夜ならではの魅力だ。
 また、観光スポットの中でも、「張庁」と「沈庁」という保護文化財にも指定される大邸宅は、夜9時頃まで開いている。灯りの中を見学するのは、また昼と違った趣きだ。1回限りしか見学できないので、夜観たい人はそれまでとっておこう。

~上海ジャピオン3月9日発行号より

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