新茶で迎える春①

新茶で迎える春


緑が芽吹く季節、中国の人々の心を賑わせるのが、新茶の到来だ。 
その年で最高の「龍井」「碧螺春」などの緑茶が味わえるのはこの時期だけ。 
各地の銘茶が集う上海、身近に溢れるそんな新茶をぜひ愉しんでみよう。

1年で最高の香り 
春の風物詩を愉しむ

 「新茶上市!」そんな看板が茶葉市場に並ぶと、摘まれたての茶葉を求めて客が押し寄せる。その勢いと期待感は、桜の開花を追う日本人のようだ。特に中国茶生産量の7割を占める緑茶は、新茶の主役となる。
 清明節(4月5日)前の茶葉は「明前」と呼ばれ高値がつくが、以後は値段も落ち着き、一気に新茶が出回る。年に一度の機会に、ぜひそんな市場の雰囲気を覗いてみよう。
 茶店「TEAsia」を構える茶芸師・藤下祐子さんによれば、緑茶を見るポイントは3つ。

①茶葉に、石などの不純物が混じっていないか。
②葉の形は、折れたり欠けたりせず、完全か。
③自然で良い香りがするか。

 いい茶葉はお湯に入れるとすぐ沈むので、なかなか沈まない茶葉も良くないとのこと。
 「とは言え、茶の良し悪しは人それぞれ。自分が美味しいと思う茶を買うのが、何よりの愉しみ方です。その値段を払う事に納得できればいいんですよ」

 グラスひとつで淹れられるのも緑茶の魅力だ。「龍井」なら、グラスに茶葉を入れ、少量の湯で20秒ほどなじませてから、残りの湯を注ぐ。「碧螺春」なら、先に湯を注ぎ、上から茶葉を落とす。後は、飲みながらお湯を継ぎ足すだけ。透明のグラスで、茶葉の姿も愉しもう。
 「新茶は茶樹の命そのもの。冬に溜まった栄養が、ぎっしり詰まってるんです。だから、この季節は、茶の一番自然な香りが愉しめるんです」と藤下さん。冬は農薬を撒かないので、新茶は1年で一番農薬が少ないのも魅力だそうだ。
 「新茶を飲めば、体も春っぽく目覚める気がします(笑)」。

茶葉の買い方
~天山茶城から体験リポート~
 
①欲しい茶葉を伝える 「緑茶の『龍井』を50g買いたい」と伝えてみた(紙に書いてもOK)。希望価格帯を言っておくのも○。
②試飲タイム 「50gなら25~80元まである」と言われたので、60元と80元を飲み比べ。店員が慣れた手つきで淹れてくれる。
③欲しい分量を購入 80元の茶葉が予想以上に美味しかったので、100g分買うことに。交渉して10元値引きしてもらい、150元で購入。
※茶葉の価格は、普通500gあたりで表示される(購入できる最小単位は通常50g)。買うつもりのない茶葉を試飲するのは控えよう

天山茶城

初心者でも安心 観光や土産の購入に

 様々なお茶を試飲したり、ずらりと並ぶ茶器を眺めたりと、茶葉市場ではちょっとした観光気分を味わえる。その中でも、市中心部にあり、外国人客が多いのが天山茶城だ。
 オープンは2002年。清代の趣きある外観や、清潔な内装など、観光客を意識した造りが特徴的だ。4階建てで、1・2階に約250軒の茶葉店が入る(3階は約80軒のアンティーク店、4階はオフィス)。
 店員の多くは、片言の日本語や英語を話すので、市場初心者も比較的安心して買い物ができるのが嬉しい。友人へのプレゼント用に買っていく客も多いので、可愛いパッケージを提供してくれる店もある。ただし価格帯は、他の市場に比べやや高めと言われる。

【データ】
住所:中山西路518号
TEL: 6259-9999
www.dabutong.com

上海国際茶城

ローカル市場から転身 最新型の大規模市場

 4月18日、「第14回上海国際茶文化フェスティバル」が開幕する。このフェスティバル恒例の「名茶博覧会」の会場となるのが、同日に市内最新の大規模市場として正式オープンを果たす上海国際茶城だ。
 1・5億元を投じて建築されたモダンな4階建てビルには、オープンまでに300近くの茶葉店が入る予定。茶文化を展示・実演するスペースがあるのも特徴だ。1階では、すでに店の営業が始まっている。
 店の大半は、市内屈指の取引量を誇ったローカル市場・大統路茶葉市場から移転したもの。そのため価格帯も比較的低く、外国人客の姿もあまり見られない。今後、観光地としての発展も見込まれているので、今のうちに足を運んでおきたい。

【データ】
住所:共和新路1536号
TEL: 6652-9888
www.tea.sh.cn

九星茶葉市場

郊外の卸売市場は 巨大問屋街の一角に

 市の西南部にある、巨大な集合問屋街・九星市場。建材、ガラス、電動具など、様々な卸売市場が居を構えるその広大な敷地内に、お茶好きによく知られた茶葉市場がある。
 軒を連ねる店舗は300余り。郊外にあるため価格帯は低く、市内から買い付けに来る業者も多い。また、茶器の種類が豊富にそろうのも魅力だ。
 古北地区からタクシーなら20~30元程度で着くが、上海体育館向かいのバスターミナルから、764路バスを利用して行くこともできる。九星市場の敷地内は、3輪車タクシーが走っており、利用すれば便利。
 ちなみに、ここからタクシーでワンメーターの距離に、水郷として知られる「七宝」もあり、合わせて巡るのもオススメ。

【データ】
住所:漕宝路6号橋(星東路×星友路)
www.jiuxing.com.cn(九星市場)

~上海ジャピオン4月6日発行号より

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP