ヒナ20匹人工孵化
中国人男性Hさんがイグアナを飼い始めたのは、3年前の春。
ちょうど爬虫類の発情期の時期だった。
店先でイグアナたちの交尾している姿が思わず目に止まり、そのままツガイで800元で購入した。
家の水槽に入れて2匹を交配させると、間もなく小さな卵を20個産んだ。
それから1カ月後、20匹の小さなイグアナを孵化させることに成功したという。
「人工孵化の方法は、ネットで調べられました。
イグアナ仲間とは、お互いによく情報交換しているんです」というHさん。
孵化した20匹のイグアナはペットショップに3000元で売り、新しい大人のイグアナを購入。
背中が赤みがかった美しい色合いのイグアナを手に入れた。
「ほら、うっすら赤みがかっているでしょう。
赤ければ赤いほど希少価値が高いんですよ」と解説してくれた。
イグアナの魅力を聞いてみると、
「あんまり飼っている人いないでしょ。
それに、イグアナ仲間は結束が強いので、仲良くなるとすぐに仲間が広がるんです」と答えてくれた。
エサはコオロギ
イグアナのエサはスーパーで買った菜っ葉のほか、ペットショップで買ったエサ用のコオロギなど。
舌を使って器用にむしゃむしゃ食べる。
人間にも慣れていて、Hさんは腕や肩に乗せて背中や頭をなでて可愛がっている。
今年の春もオスとメスを交配させて、繁殖に挑むSさん。
「散歩もいらないしエサ代も大して掛からない。飼いやすくて可愛いですよ」
と言い、イグアナを眺めながら目を細めていた。
日本へ片道9000元
日本人太太Iさんと、愛犬「カリー」の出会いは約6年前。
ある日旦那さんが電話をよこし、
「ねえねえ、買っちゃったんだけど、怒らないでね」とお願いしてきたという。
一体何かと思って待っていたら、ゴールデンレトリバーのメスの子犬を抱いて帰ってきたのだ。
旦那さんは、何気なく立ち寄った「花鳥市場」で買ってきたとか。
「『情が移ると困るから早くお店に返して来て!』って言ったんですけどね。
そうこうしているうちにすぐに情が湧いちゃって」と語るIさん。
ゴールデンレトリバーなどの大型犬は、
飛行機で日本に持ち帰るには負担が大きく、上海で飼っている日本人は稀。
飛行機に乗せるだけでも片道9000元ほどかかる上、
検疫で病気の検査などの手続きもしなくてはいけないそうだ。
だが、上海に住む限りその心配は無用。
一緒に添い寝をしたりテニスコートで遊んだりすると、特に存在感の大きさを感じられる。
「いびきをかいて寝ている姿を見ていると、本当に可愛いなあと思いますね」とIさんは微笑む。
100元札をゴックン
忙しくて遊んであげないと、すねることもよくあるという。
知らないうちに口でカバンを開けてサイフを取り出し、
100元札を7枚も食べてしまったことがあるそうだ。
ほかにも、Iさんの高級腕時計をかみ砕いてしまったこともある。
「遊んであげないと、そういうイタズラをしてしまう。
かまってあげられてなくて、ごめんって思いますよ」とIさん。
Iさんは当分上海で生活を続けるというが、
「どこにいようと、ずっと面倒を見てあげたいですね」と言いながら、
柔らかいゴールデンヘアをなでるのだった。
手足が生えてきた
古北のヘアサロン「ポシェット」の店長Wさんは、ウーパールーパーを飼っている。
ウーパールーパーと言えば、
1980年代にテレビCMなどでブームになったのを思い出す人も多いだろう。
「友達と一緒に花鳥市場に行ったときにたまたま見つけて、
『かわいー!』って思って買っちゃいました。1匹80元ぐらいでしたね」と言う。
普段は自宅で飼っているが、一時帰国などで長期間家を空ける場合はお店に持ってきて、
スタッフに世話をお願いすることもあるそうだ。
「お客さんの反応もいろいろで、『気持ち悪い』という人もいれば、
『愛嬌がある』という人もいます。反応はいろいろですね」とのこと。
「ウーパー」と呼んで可愛がっているが、実は買ったときには左手と右足がちぎれていたそうだ。
「タクシーの中で気が付いて、戻って取り替えてもらおうかとも思ったんですけどね。
友達から『もう買っちゃったんだからいいじゃない』って言われて飼うことにしたんです。
で、1週間飼っていたら手足が生えてきたんですよ!」と語るWさん。
今では、はっきりした手足の形になっている。
独特の動き
エサは冷凍の「赤虫」。
小さな糸ミミズのようなものだ。
食べさせると、半透明な身体の中を赤虫が動いて消化されていく様子も見れるという。
「暇なときに見ていると楽しいですよ。動きも独特でね。
フワーっと浮かんでいたと思ったら、急に激しく動いたり」というWさん。
見ているだけで、日常のストレスが癒されていくという。
愛らしい表情のウーパーが、すっかり気に入っているようだ。
専用クローゼット
3匹のチワワたちは、みんな女の子。
日本人太太Tさんは、「自分がオシャレを楽しむのと同じように、この子たちにもオシャレをさせたい」
と言って、愛情あふれる眼差しを犬たちに注ぐ。
上の写真で右からアリィーヤ、ヴァイラ、アナベルと名付けられた3匹は、
以前アメリカのペット雑誌でモデルを務めたこともある〝美犬〟。
その可愛らしさをさらに引き立たせているのが、Tさんの犬服コレクションだ。
Tさんがこれまでに集めた犬服は、100種類以上。
それぞれ3匹分あるので、合計300着以上になる。
その一着一着を小さなハンガーにかけ、専用のクローゼットに大切に保管してあるのだ。
8畳ほどの広さの一部屋を3匹専用にしており、クローゼットもその部屋に鎮座している。
犬服は細かいパーツにフリルや刺繍なども入っていて、手の込んだ作りになっている。
Tさんはネットショッピングで、日本から取り寄せることが多いそうで、値段は1着1万~1万5000円ほど。
通行人の視線釘付け
散歩は晴れていればほぼ毎日しているが、通行人からはやはりかなり注目されてしまうようだ。
「突然写真を撮られたり、子どもが駆け寄って来たり…。
立ち止まると人が集まってしまうので、なるべくササっと通り過ぎます」とのこと。
それでも、道を歩いていた忙しそうなサラリーマンが、
3匹を見てフッと笑顔をこぼしたりすることもあったとか。
「周りの人を笑顔にできるのはうれしい」とSさん。
これからも、一緒におしゃれを楽しみながら飼い続けるそうだ。
それぞれに個性
日本人太太Mさんが上海で亀を飼い始めたのは、7年ほど前。
当時3歳ほどだった娘と花鳥市場を散歩していたら、亀売り場の前で娘が足を止めた。
「これ欲しい」という願いを聞き入れ、飼い始めることにした。
その後も一緒に市場に行くうちに、ほかの亀もついつい可愛く見えて買い足していったそうだ。
今では5匹の亀が、リビングに置かれた洗面器や水槽で飼われている。
名前は一番大きいのが「亀吉(かめきち)」で、その次が「亀一(かめいち)」、
以下「亀二」、「亀三」、「亀四」と続く。
飼っているうちに5匹の性格なども分かってきたそうだ。
「亀一はやんちゃで、亀二の尻尾を食いちぎってしまったんです。
そのトラウマのせいか、亀二は今でも臆病者なんですよ」とのこと。
飼い方はそれほど難しくない。
エサは1~2日に1回あげればよく、水も水道の水を時々取り換えればOK。
「なかなか図太い子たちですよ」とWさんは笑顔だ。
振り返れば亀
亀というと「のろま」なイメージを持たれがちだが、実際はなかなか活発だ。
自分の体長ほどの高さのある洗面器や水槽のフチを自力で乗り越え、
家のリビングを縦横無尽のシャカシャカと動き回るという。
「夜中に何か気配がすると思って振り返ると、亀がこっちを見つめていることもあります」
と言うWさん。
こんな予想外の出来事も、ペットを飼う楽しみなのかもしれない。