まるごと!上海国際映画祭

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今年で14回目

金爵賞に輝く作品は

1993年から開始された上海国際映画祭は、今年で14回目を迎えた。

94年からは国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の長編映画祭となり、

主要な国際映画祭の中では、最も若い映画祭の1つである。

まず注目したいのは、世界各国から16作品がノミネートする金爵賞コンペティション部門。

候補作品は全て、アジアもしくは世界初上映の最新作ばかりだ。

最優秀作品賞を初め、最優秀監督賞や最優秀男優・女優賞、最優秀音楽賞などが、

各国映画界の著名人で組織された評価委員会により選出される。

審査委員会会長を務めるのは、アメリカの映画監督・脚本家であるバリー・レヴィンソン氏。

自閉症の兄と自由奔放な青年のドラマを描いた1988年の監督作品『レインマン』では、

アカデミー監督賞とベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した。

詳細はまだ明らかにされていないが、映画祭の開催期間中には、

氏の著名な映画作品も上映されるというから楽しみだ。

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アジアの若手監督たち

初の携帯電話映画祭

上海国際映画祭では、アジア映画界の有望若手監督を発掘する目的で、

04年からアジア新人賞部門が設けられ、毎年好評を博している。

同部門の最優秀監督賞と最優秀作品賞の受賞者には、それぞれ賞金15万元を贈呈。

過去の新人賞審査委員長の中には、06年に『長江哀歌』でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞した、

中国を代表する若手監督の1人であるジャ・ジャンクー(賈樟柯)監督や、

03年の『殺人の記憶』が国内で記録的ヒットとなり、

国際的にも活躍を期待されている韓国のポン・ジュノ監督などもいる。

そして今年は、『リリイ・シュシュのすべて』で第6回金爵賞を受賞した日本の岩井俊二監督が、

審査委員長に選出された。

さらに今年の映画祭では、初の試みとなる携帯電話映画祭「Mobile SIFF(手機電影節)」を実施。

世界各地から公募した短編作品は数千件にも及び、

ジャンルもアニメ、カンフー、コメディー、SF、ドキュメンタリー…と幅広い。

こちらも9項目の賞が設けられ、受賞者には総額約10万元が贈られる。

結果は、6月18日(土)に発表予定だ。

次から次へと新たな試みを行い、年々盛り上がっていく上海国際映画祭。

今後もその展開から、目が離せない。

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映画を通して日中交流

スクリーンで邦画を観よう

映画祭に伴って、6月12日(日)~18日(土)には、「2011上海・日本映画週間」が開催される。

同イベントは、日本と中国で映画などの交流事業を行う「日中映像交流事業」の一環として行われるものだ。

邦画を観るのは最近もっぱらDVDで、なかなか映画館では観る機会がない…という人も、

上海で暮らしている人の中には少なくないだろう。

いや、むしろ多数を占めるといった方が良いかもしれない。

DVDももちろん良いが、映画はやはりポップコーンを片手に大スクリーンで観たいもの。

そんな人にとってこの日本映画週間は、上海の映画館で邦画が観れる、1年に1度の貴重なチャンス。

しかも上映作品は全て、無料招待制なのだ。

映画ファンならずとも、これを見逃す手はない。

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オープニングは『悪人』

妻夫木聡と李相日が来海

オープニングを飾るのは、2010年9月に日本で公開された『悪人』。

モントリオール世界映画祭では、ヒロインの深津絵里が最優秀女優賞を受賞し、

主演の妻夫木聡は、ブルーリボン賞で主演男優賞を受賞。

ほかにも日本国内で数々の賞を受賞した、まさにトップを飾るにふさわしい作品だ。

監督は、06年に監督した初の長編作品『フラガール』で、

日本国内の映画賞を総ナメにした、李相日(リ・サンイル)監督。

『悪人』は、『フラガール』以来初の長編作品となる。

今回は、この李相日監督と主演の妻夫木聡が、舞台挨拶のために、上海へとやってくるのだ。

ストーリーは、妻夫木聡演じる土木作業員の清水祐一と、

紳士服量販店に勤める馬込光代(深津絵里)が偶然出会い、

孤独な魂を抱えた2人が、刹那的な愛にその身を焦がす。

しかし、祐一は連日ニュースを賑わせていた殺人犯だった――。

絶望的な逃避行へと向かう2人と、2人を取り巻く周りの人々。

一体誰が本当の〝悪人〟なのか? その答えが明かされたとき、物語は衝撃と感動のクライマックスを迎える。

もうすでにDVDなどで観た人も多いかもしれないが、舞台挨拶に立ち会える機会は、日本ではなかなかない。

監督や俳優の生の声を聞いてから観る作品は、また一味もふた味も違うはずだ。

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話題作が勢ぞろい

『悪人』含む11作品

『悪人』以外に上映されるのは、2008年から今年にかけて日本で上映された、話題作10作品。

山田洋次監督作品『母べえ』や、堤幸彦監督作品『BECK』、

05年公開の『いぬのえいが』続編となる『犬とあなたの物語』、

宮崎あおいと大竹しのぶが初共演した『オカンの嫁入り』、

ケータイ小説を原作とした『ランウェイ☆ビート』、役所広司と佐藤浩市が主演する『最後の忠臣蔵』、

歌手・一青窈(ひととよう)の代表曲をモチーフにした『ハナミズキ』、行定勲監督作品『今度は愛妻家』、

同名小説を原作としたサスペンス映画『白夜行』、

実話に基づいて制作された『きな子~見習い警察犬の物語~』…と、

何とも豪華なラインナップだ。

…がしかし、さすがに全作品を全て観るのは、会社に勤める人でなくとも、なかなか難しい。

各映画の舞台挨拶の日程や上映スケジュールなどを公式サイトでチェックし、計画を立てて映画館へと足を運ぼう。

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~上海ジャピオン6月3日号

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