夏祭りの舞台裏
縁日を彩るちょうちんの灯、浴衣でそぞろ歩く人々、夜空を焦がす花火。毎年この時期になると、日本各地で様々な夏祭りが開催される。しかし、華やかな祭りの裏側にはこんな苦労が――。そこで今回は、一大コミュニティー空間「上海ガーデンプラザ」で夏祭りの企画を手掛ける、呉さんと宅見さんに、夏祭りの舞台裏について話を聞いた。
―ことしで4回目を迎えますが、上海で夏祭りを開催しようと思ったきっかけは?
呉さん:まず、日本人の入居者に日本と同じような生活を送ってもらいたいという思いがあります。お正月なら餅つき、夏なら夏祭り、秋なら芋掘り、という風に。
宅見さん:ここ数年は、日本人以外の入居者も増えてきましたし、その方たちに日本の伝統行事を体験してほしいというのもひとつですね。
呉さん:おかげさまで、夏休みに帰国される方の中に、夏祭りを合わせて、上海に戻ってきたいと、お問い合わせを頂いたりします。
―日本の夏祭りを再現するとなると、一筋縄では行かないこともあると思いますが…。
宅見さん:屋台探し、縁日で行うゲームの下準備…(略)。例えば、「ヨーヨー釣り」をやりたいと思っても、上海にいると、どこで道具を手に入れたらいいのかわからない。日本の場合、それを扱う業者があるのですが。
呉さん:そうなると、足りない部分はすべてスタッフの手作りです。「ヨーヨー釣り」の針を作るのに、クリップを変形させて、ティッシュをねじってくっつけて。その強度の調整がまた難しいんです。
宅見さん:夏祭りの前になると、スタッフみんなで内職しますね。
呉さん:それと、一番イヤなのは雨です。こればっかりは、努力してもどうにもなりませんから。
宅見さん:去年は、屋外にステージセットを作って、ジャズバンドを呼んだのに、急に雨が降っちゃって。ピアノが濡れて『どないしてくれんねん!』ってことになりました。なので、ことしは、もし雨が降っても大丈夫な場所に設置します。
―成功したときの喜びはひとしおですね。
呉さん:去年は外部参加の業者やスタッフに、私の携帯番号しか教えていなかったので、当日は携帯が鳴りっ放しで。
宅見さん:終わってからは、しゃべりかけられないくらいグッタリしていましたね(笑)。
呉さん:でも、クライマックスの花火が上がると、ホッとするというか、少し癒されます。そういう意味では、お客さんだけでなく、スタッフ的にも花火はかかせません。
宅見さん:協力して頂いた屋台の方に、『来年もまた呼んでよ』なんて言われたりすると、うまくいったんだなって実感します。
―ことしの見どころは?
宅見さん:実は、屋台にしろ雰囲気作りにしろ、去年やりたいことをやり尽くした感があって(笑)。ことしは細かい点を改善してより良いものにしたいです。
呉さん:昔懐かしい日本の雰囲気と上海ならではの部分を楽しんでもらいたいですね。浴衣の販売と着付けも行うので是非ご参加下さい。
宅見さん:イベントに参加するスタッフもそうだと思いますが、できることなら私自身客も客として、この夏祭りに参加してみたいですね。
△夏祭りの企画を担当する呉さん(写真左)と宅見さん(写真右)