生活雑貨何でもござれ 迷路のようなビル内へ
観光地「豫園」のすぐそばにあるビル「福佑商厦」。ここにはありとあらゆる生活雑貨が集まる。文房具からカバン、ストッキングに化粧用品、手芸用品、結婚用品デコレーショングッズからアクセサリーまで…とにかく種類が豊富で、狭い通路の両側に小さな店舗がギュウギュウに並んだフロアが6階まである。
特に店舗数が多いのが季節の装飾品店。春節を間近に控えた今の時期は、大小様々な紅い飾りが天井からぶら下がり、棚には縁起のよい言葉が書かれた「春聯」や年玉を入れる「紅包」などが山のように積まれている。また今年の干支に因み、赤いニワトリの飾りもたくさん用意。これらが季節毎により、クリスマスツリーや、元宵節に子どもが遊ぶウサギのおもちゃ「兎子灯」に取って代わるので、訪れるだけでも楽しい。
観光客のほか、地元市民も多く訪れる同ビル。「さっき私の友達はもっと安くしてもらっていたわよ!」なんて、あちこちで値切りを交渉する声が飛び交っている。いい物を如何に安く手に入れられるかは自分の腕次第だ。また、ビル内が非常に入り組んでおり、通路も細いため、貴重品の管理には気を付けたい。そのほか、ここから西に300㍍ほど進んだ「福佑門商厦」にも同じく生活雑貨がたくさん並んでいるので、覗いてみよう。
初心者からベテランまで マイ楽器をゲットしよう
10号線「豫園」駅から北に徒歩3分。ローカル店舗から大手楽器メーカー、日本の有名メーカー「石橋楽器」まで、様々な楽器店が軒を連ねる「金陵東路」。ここでは、ギター、ピアノ、ヴァイオリン、サックス、ドラム、二胡など、色んな楽器が手に入る。
ここに楽器店が集まったはっきりとした経緯は明らかではないが、創業15年以上になる楽器店の店主によれば「最初はほんの数店舗。それが6、7年前あたりからほかの店舗もここに集まるようになって、今ではすっかり〝楽器店街〟と呼ばれるようになったんだよ」ということだ。
専門店は、高級ピアノが並んでいたりして、敷居が高そうだと倦厭する人もいるかもしれないが、ここにはローカルらしいゆるやかな時間が流れている。中には、店舗の一角で店主による音楽レッスンなどを行い、小さなテーブルを囲んで数名のグループが二胡やギターの練習に勤しむという何ともほのぼのした雰囲気の店舗もちらほら。ほかに、音楽教室を併設している店舗もあり、単なる〝楽器店街〟だけでは終わらない。
各店舗から響き渡るピアノやドラムの音に耳を傾けつつ、ゆっくりと吟味しながら自分にピッタリのマイ楽器を手に入れよう。
作る楽しみ見つけよう 手芸用品がずらり
かつては豫園の周辺、金陵東路の河南南路~外灘区間に、ボタンやレース布を扱う専門店が集結していたのだが、近頃閉店が相次ぎ、残るは数店舗のみとなってしまった。しかしそんな状況でも、ビルが丸ごと手芸用品店になっているような巨大手芸専門ビル「上海灘商厦」は健在。1、2階は手芸用品の卸売店だが、3~6階ではカバン専門店がひしめき合う。
店舗総数およそ200店ともいわれるビル内にはボタン、レース、リボン、コサージュ、ビーズなど、各アイテムに特化した小さな専門店がところ狭しと並んでおり、値段もほんの数元程度と手頃。特にボタンやビーズは、1袋数十個入りで1元~と、かなりリーズナブルだ。また、20元程度から皮革クラフト用の道具も揃っており、オリジナルの皮財布を作ることも可能。服飾学校に通う学生や、ハンドクラフト好きの人たちが足繁く通っているんだとか。
店内はまるで迷路のようになっており、再び同じ店に辿り着くのがなかなか難しい。「今回購入したアイテムを、次も買いに来たい!」という場合は、その店の名刺を受け取っておくと、リピートする時に探しやすいのでオススメ。手芸用品店ならではの、色とりどりの毛糸や布が並んだな棚に心躍らせつつ、これぞと思う一品を探し出そう。
料理を楽しくカンタンに 種類に富んだキッチン用品
シンプルな白い食器から、シノワズリテイスト溢れる粋な茶器まで。ここ「澳門路」沿いには、キッチン用品を扱う店舗が軒を連ねる。
皿は料理を何倍にもおいしく見せる効果がある。例えばいつものカレーでも、楕円形のちょっと深めのものに盛り付けるだけで、あっと言う間に本格的な雰囲気に。また、大皿にあれこれ盛って、カフェ風にワンプレートランチを気取るのも楽しい。ここ「新富麗酒店用品」には、そんな料理の見栄えをアップさせる美しい食器や、ウサギの姿をしたファンシーな皿などバラエティ豊かに揃えている。ガラスや陶器だけでなく、子ども専用プレートとして活躍してくれそうなかわいいプラスチックの食器も発見。
このほか、ほんの数元程度から手に入る製菓道具や、レトロな印象の「オーブントースター」(180元)、本格的な「コーヒーメーカー」(3800元)と、様々なキッチングッズが一堂に勢揃いする。本来はホテルや飲食店などに食器や調理器具の卸売をしているだけあって品質にもこだわりが窺える。
料理は毎日のことだから、いつも楽しい気持ちで作りたい。ここには、キッチンに立つことがうれしくなるようなアイテムがいっぱいだ。
~上海ジャピオン2017年1月20日発行号