上海?ローカルレストラン~上海料理編~

生活感溢れる道と店 味を引き締めるピリ辛
賑やかな長楽路の裏手にある進賢路。
隠れ家的カフェやセレクトショップが佇む中を、
パジャマ姿のおじちゃん、おばちゃんが闊歩する。
そんな昔ながらの生活風景が残るこの道に、
穴場のローカルレストランがあるのだ。
その名は「蘭心餐庁」。
毎晩地元民の長蛇の列ができる同店も、
昼間はひっそりとトビラを閉め、
オーナーのおじさんが外に座っていないと、
営業しているか分からないほど。
店は老房子を改造して作られ、1階は5テーブル、
そして急角度の階段を登り切った2階に2テーブルがある。
特に2階にはベッドや年代物のタンスが置かれ、
ベランダには洗濯物が干されるなど、
上海人のお宅におじゃましたような感覚に陥ることだろう。
料理は代表的な上海家庭料理を取り揃え、
中でもイチオシは「紅焼肉(ブタの角煮)」(35元)だ。
しつこくなりがちなこってり味を、
シシトウがピリリと引き締めるので、
重さを感じることなく何口でもパクつけること必至。
ゼラチンのモッチリした食感とともに、味わい尽くしたい。
ほかには、殻ごと食べられ、
旨味をぎゅっと閉じ込めた
「油爆蝦(川エビの揚げ炒め)」(40元)や、
ピリ辛の甘酢あんがご飯との相性抜群で、
食欲を増進する
「干焼?魚(マナガツオのチリソースかけ)」(65元程度)
などもオススメだ。
上海人の生活を垣間見つつ食事を楽しみたい人は、
「蘭心餐庁」へ是非。

テーブルたったの6台 看板料理は「鶏骨醤」
淮海中路の高級ショッピング街の喧騒から一歩入った
裏路地・嵩山路にある、「蘭亭餐庁」。
人通りも多くなく、両隣の店舗は倒産したためか、
もぬけの殻となっており、
同レストランは文字通り〝穴場〟となっている。
長ければ1時間以上待ちとなる同店は、入ってビックリ。
とにかく狭く、テーブルはたったの6台だ。
しかも、四角いテーブルは壁にくっつけられているので、
1テーブルに座れる人数は通常3人、
無理して4人という状態となるため、
肩を寄せ合い和気藹々と食事を楽しめるが、
大人数は避けるのが吉。
ここに来た10人が9人は注文する看板料理は、
「鶏骨醤(骨付き鶏肉の醤油煮)」(26元)。
見た目そのままに甘辛く、猛烈な甘さで有名な、
無錫のスペアリブの煮込み「無錫排骨」を彷彿とさせる。
肉はシャキシャキしており、
ご飯と一緒に食べると旨さが引き立つ。
甘いのが苦手な人は
「椒塩排条(スペアリブの唐揚げ)」(22元)を。
油のギトギト感もなく、塩加減も絶妙で、
サクサクした食感が楽しめる。
おやつ感覚でついつい食べ過ぎてしまう可能性大だ。
また、沖縄の「豆腐よう」のような、
独特の発酵臭を漂わせる
「腐乳空心菜(空心菜の腐乳炒め)」(15元)は、
さっぱりとして夏にピッタリ。ビールも進む。
笑顔でキビキビ働く店員の様子も清々しく、
一服の清涼剤となること請け合いだ。

おばちゃんたちの漫才 夏に必須の料理も満載
静安寺と中山公園という、
2つの大商業圏に挟まれているものの、
程良くローカルさを残す江蘇路エリア。
そこに、明るく冗談好きなオーナーのおばちゃんが
切り盛りするレストランがある。
名前は「原食街」と、食堂街のようだが、
れっきとした1軒のレストランだ。
上海語と標準語を入り混ぜて小気味よく話す、
オーナーのおばちゃんと、
パジャマのような服を着た店員のおばちゃんの会話は、
漫才の掛け合いのようで、こちらも思わず笑みが溢れる。
何を食べたらいいか迷ったら、
肉、海鮮、野菜などジャンルをおばちゃんに伝え、
勧められるがままに注文するのも悪くない。
その場合120%オススメされるのが、
「醤汁小排(スペアリブの甘辛煮)」
(小26元、中32元、大38元)だ。
甘辛いタレが骨の髄まで染み込み、
思わず骨まで食べてしまいたくなるほど。
肉を噛めば噛むほど口の中にジューシーで
優しい風味が広がり、おばあちゃんの手料理を思い出す。
また、夏に欠かせない前菜は、
「黄瓜涼皮(きゅうりと太ビーフン和え)」(12元)。
プルプルツルツルの透明麺は見ているだけで涼しく、
さっぱりした甘酢も◎だ。
ほかにも生姜の香り豊かなトロトロの
「白蟹豆腐?(カニ豆腐スープ)」(35元)
も夏バテ予防に良い。
機嫌が良くなると飛び出す、
店員のおばちゃんたちの鼻歌をBGMに、
ウキウキ気分で上海料理を味わおう。

旧上海城近くの人気店 海鮮も上海料理も没問題
下町情緒溢れる豫園とその一帯は、
かつて上海城と呼ばれ、
今も昔ながらの上海人の生活を垣間見られる。
その地元の人たちの間で、
海鮮と上海料理を一度に味わえるお店として有名なのが、
「人豪阿情酒楼」だ。
店内のカウンター近くに置かれている
財神像を眺めつつ席につくと、
お茶は運ばれてくるが、待てど暮らせどメニューは来ない。
そう、同店では、
壁に貼ってある料理写真を見つつ注文するシステムなのだ。
その奥には生簀が用意され、
カニやホタテ、イシビラメなど活きの良い魚介類を、
好みの調理法で料理してもらえる。
ここの看板料理は、名前が面白い
「珍宝肉(ブタの角煮のもち米包み)」(48元)。
飴色に輝くもち米の中央に鎮座するのが、
ザ・上海料理とも言うべきブタの角煮。
中華ちまきのような味わいで、
見た目よりあっさりしている。
酒の効いた金華ハムとオランダ豆を炒めた
「臘味荷蘭豆」(28元)は、
食欲を増進してくれるので、
オランダ豆のシャキシャキ感を楽しみながら、
いろんな料理を味わいたい。
また、夏は冷たいビールで乾杯しまくり!
という人は、
「猪脆骨(ブタ軟骨の唐揚げ)」(38元)を是非。
少し濃い目に味付けされた、
スパイシーなコリコリ軟骨は、つまみに持って来いだ。
かつて城壁のあった道を歩く人を眺め、
老上海に想いを馳せつつ、料理を堪能してはいかが?

外では惣菜求め長蛇の列 各種前菜を召し上がれ
淮海中路と思南路付近で見かける、黒山の人だかり。
多くの人が漬物やローストダックなどの
惣菜や点心を求めて列をなしている。
その店のことをよく知らない人は、
単に惣菜屋さんだと思うだろうが、
実はそこは「老字号」と呼ばれる老舗のレストラン
「光明邨大酒家」なのだ。
同レストランは4階建てで、
1階は惣菜店、2階が大衆食堂、
3・4階はちょっと高級なレストランとなっている。
代表的な上海料理「紅焼肉(ブタの角煮)」などを
ゆったり食べたい場合は3階へ直行だが、
にぎやかな雰囲気の中、地元の常連客と、
軽く食事したいなら2階がオススメだ。
2階のメニューは軽食中心だが、
その中で選びたいのは各種前菜。
「醤鴨(アヒルの醤油煮)」(20元)は、
定番の甘辛醤油で作られているが甘さ控えめで、
日本人も抵抗なく食べられる。
そして面白いのがその味。
アヒルを食べているはずなのに、
口に入れて感じるのはいわしの味なのだ。
他にも外はパリパリ、
中はしっとりに揚げられた
「老上海薫魚(小魚の飴炊き)」(20元)や、
コラーゲンたっぷりの
「醤鴨膀(アヒルの手羽先)」(15元)
も人気メニューだ。
ちょっと食欲がないときに訪れ、
小籠包やワンタンなどお好みの主食と
定番の前菜を注文して、常連客気分を味わおう。

~上海ジャピオン8月12日号

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