上海人の冬のぽかぽか7つ道具

上海の冬事情? 湿度の高さが寒さの鍵
北京など中国の北方地区に滞在したことがある人なら、
寒い季節になると「暖気(ヌワンチー)」
が恋しくなることだろう。
「暖気」とは、配管に湯を通して部屋を暖める設備で、
政府が北方地区に対して行っている防寒措置なのだ。
上海は寒いとはいえ、
真冬は零下が当たり前などという、
北方地区と比べればたかが知れたもの…と
見なされたのか、
公的な「暖気」の供給はほぼ行われていない。
従って、外も寒けりゃ部屋も寒い、というのが現状だ。
確かに上海は、日本でいうと鹿児島県と同緯度。
「その割には、ちょっと寒すぎるんじゃない!?」
なんて声が聞こえてきそうだが、
ちょっとひとまず聞いてほしい。
寒さの違いの鍵となるのは、湿度の高さ。
湿度、つまり水分は熱伝導率が高いので、
寒い外にいれば、体温を奪われやすくなり、
体感温度が下がるのだ。
逆に言うと、暖房の効いた部屋で加湿すれば、
熱伝導率の働きにより、
暖房の効果が上がることになる。

冬でも換気が第一? 外も中も同ファッション
というわけで、
外も中も寒い、という状況の中、
上海の人が採った策は、
まず〝部屋の中でも外と同じくらい着込む〟こと。
日本人なら家に帰ったらまずコートを脱いで
暖かい部屋でリラックスしたい、
というのが人の常だが、そうはいかないのだ。
そして、次に出てくる問題が、〝換気〟。
換気をしないのは病気のもと、
というのは日本でも言われていることだが、
特にこちらの年配の人などはそれを忠実すぎるほど守り、
冬でも朝から夜まで換気しっぱなし
という状況が少なくない。
とはいえ、古い住宅「老房子」ならともかく、
最近では二重でスキマもあまりない窓に、
床もしっかりしたフローリングになっている家屋も多い。
さらには、ファンヒーターや電気毛布、
ユニクロの「ヒートテック」など、
最新の防寒アイテムも続々増えている。
今や部屋の中での防寒対策には
さほど困らないかもしれない。
だがしかし、そんな中でも、
やはり昔ながらの知恵は捨てがたいもの。
そこで次ページからは、
上海の人が昔から愛用している
〝冬のぽかぽか7つ道具〟
を紹介していこう。

元祖・湯たんぽ? 宋の時代から使用
東台路の骨董品街や豫園の近くなどでよく見かけるのが、
銅製品を売っている店。
そこで、ヤカンのようなものを見つけたら、
それが「湯婆子」だ。
字面や発音からも伺える通り、
日本の湯たんぽの元になったもので、
古くは宋の時代から使用されている。
中央のフタから湯を入れて
タオルなどで包み暖を取るのだが、
この湯婆子の利点は、
銅製なので直接火にかけられるということ。
冷めたらそのままコンロで温めれば再度使用できるのだ。
ただし使用後の水は飲用不可なので、
ヤカンのような見た目に騙されないよう注意しよう。
値段は大きさや銅の厚さ、
保存状態などによって異なるが、
目安としては小50~80元、大100~180元くらい。
一部地域では、嫁入り時の贈答品とされる場合もある。

睡眠促進効果も? 充電式は手間要らず
とっくり型のシンプルなフォルムが、
どことなく懐かしさを感じさせる、
ゴム製湯たんぽ。
「湯婆子」と同じく
夜中の布団のお供には欠かせないものだが、
こちらはゴム製で火傷の心配がないのが良いところ。
暖を取るだけでなく、
首元に当てれば睡眠促進効果も期待できるのだ。
中でも、このゴム製湯たんぽの老舗として有名なのが、
パッケージの〝永〟印が目印の
上海永和ゴム製品有限公司のもの。
90年以上の歴史を誇り、
年間生産量は700~800万個と、
常に国内トップ。
それだけに、偽物も横行しているので、
注意する必要がある。
さらに最近は、湯を交換する手間が省ける、
充電式の電気湯たんぽも活躍している。
いずれも10元前後と廉価なところも魅力のひとつだ。

繰り返し使える? エコエコカイロ
冬になると、コンビニなどでは
使い捨てカイロが大量に棚に積まれだす。
でも使い捨てるのって何だかもったいない…
というエコ志向な人にオススメなのが、
この「熱宝」。
オレンジ色の液体の中に浮かんでいる金属片を
パチッと押すと、液体がみるみる硬化し、
50度前後の熱を発するのだ。
効果が持続するのは約2時間と、
使い捨てカイロより短いが、ここからが肝心。
冷えたものを鍋で約10分ほど煮ると、
再び液体に戻り、繰り返し使える仕組みになっている。
何とも不思議なこの液体の正体は、
酢酸ナトリウム。
何らかの刺激を加えると結晶化が始まり、
その際に凝固熱が発生するのだ。
鍋で煮るのがやや手間ではあるが、
それもまた楽しく思えてくるだろう。
1個10元程度なので、おみやげにも最適。

キュートな中華版マフ? ラブラブカップルにも
布デザインがキュートな中華版マフ。デザインは、
赤い布に金の糸で刺繍が施された中華らしいものから、
藍染のもの、和紙柄のようなものまで様々だ。
淘宝ネットなどでは、キャラクターの形のものもある。
市内では豫園周辺などでしか見かけないが、
近郊の水郷などでは今でも使用されていたり、
土産物として売られたりしている。
「?(wu3)」は、
中国語で「覆う」という意味だが、
上海人でも正式名称を知らない人は多く、
「那個暖手的」(あの手を温めるやつよ)
などと言うことも。
もともとは16、17世紀頃に
ヨーロッパの上流階級で普及したものだが、
高級な毛皮のマフと違って、
こちらは1個10元程度とお手頃価格。
1人で使うのもよし、
カップルで手を繋ぎながら歩く際に使用してもよしだ。

2000年の歴史? 毎晩ぬるま湯で30分
足マッサージに行くと、まずやってくれるのが、
この「泡脚」こと足浴。
実は足浴の歴史はかなり古く、
遡ること約1700年の東晋の時代から
伝わっているものなのだ。
それというのも、足は経絡が集中している部分で、
60カ所以上のツボがあり、
足から血行を促進すれば、
全身が暖まるというわけだ。
そのため、昔から人々の間で
「天天泡脚、勝吃補薬
(毎日足浴すれば、薬を飲むのにも勝る)」
と言われている。
時間は毎晩15~30分程度で十分。
お湯の温度も江戸っ子のようにアツアツにするのではなく、
38~40度前後がちょうどだ。
足桶は広東路周辺や淘宝ネットなどで
約70元~で購入可能。
また、足浴剤も500㌘10元程度~と廉価なので、
身体を温める生姜入りのものなど、
気分に合わせて試してみよう。

必殺! 3枚重ね? 上から下までぽっかぽか
ウィンドウショッピングをしていると、
ひと際目を引くマネキン。
彼らが身につけている、
日本で言ういわゆる「ババシャツ」と「モモヒキ」は、
上海だけでなく、
中国全土で欠かせない冬の必需品となっている。
中国の人は、
子どもの頃からこの各種防寒下着を上下身に着けており、
薄手のものに裏起毛のものを重ね、
その上にパンツを履くという
3枚重ねもよく用いられるファッションだ。
商品を製造しているブランドは多数あるが、
市内でよく見かける10大ブランドには、
「三槍(THREEGUN)」や「兪兆林」、
「南極人」などが挙げられる。
カルフールなどのスーパー内でも販売されているが、
それぞれの専門店も市内各所にあるので、
一度試してみるのも良いかもしれない。

冬至が来たら漢方医へ? 身体の中から温める
日頃から漢方と馴染みの深い中国生活だが、
この時期になると特に賑わう理由がある。
その理由が、
「膏方」という冬至の前から2~3カ月ほど飲むと、
病気予防に良いとされる内服薬だ。
かなりの歴史があり、
漢の時代からすでに愛飲されているもので、
寒い冬を越すのには欠かせない。
とはいえ、行って買ったらハイおしまい、
というわけではない。
まず最初に「開路方(カイルーファン)」
と呼ばれるものを飲み、
身体を膏方に慣らせるとともに、
処方の効き目を1週間ほど様子見するのだ。
その後再度訪れ、
その後2~3カ月飲み続けるものを処方してもらう、
という流れになっている。
今年の冬至は12月22日(木)。
通常の生薬より甘くて飲みやすいので、
この冬、膏方デビューしてみてはいかが?

~上海ジャピオン11月25日号

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